星空の声

目覚め

「ジリリ…！」

目ざまし時計がなる音を止めようと寝返りをして押そうと手を置いた。

動き続ける時計のスイッチボタンに触れると、一気にボタンを押す。

なり続けていた時計はただの静けさと変わっていた。

脳だけははっきりと動こうという意思はある。

「ふああ…」

身体を起き上がらせる、そして両手を伸ばして深呼吸をした。

ぼーっとした脳は少しづつ目覚めさせた。

カナタは、昨日のことを思い出した。

彼女の紗耶にフラレたことを、何度もため息が積もる。

フラレた原因も自分にあることも自覚していた。

付き合い初めた当初から、カナタには計画性がなかったことを、紗耶は最初は許してくれていた。

デートする前から全く考えなしにその場の思いつきで、行動するしかなかった。

「デートするなら、ちゃんと調べてリサーチしてよ。」
　何度も怒られては、それでも付き合ってくれた。


「ごめん。次の時こそ、調べるよ」カナタは口癖になっていた。

そんなやる気のないカナタにさらに仕打ちを受けたのが昨日のことだった。

「あのさー、カナタ。付き合う気あるの？なんでいつも私が考えなきゃならないのよ。どうせ、付き合う気もないんでしょ。」

「ごめん…」

そんなカナタにイライラが募っていた。

カナタは小さい頃からずっとそうだった。
積極的もなく行動もしない。

誰でもそっぽを向くわと言わないばかりだった。

「はあ～。なんでいつもこうなるんだろ。気が弱すぎだろ、自分。」

辛い思い出を思いだしながら、またベッドに横たわった。

天井を見上げながら、目線をテレビに向ける。
リモコンを付けた。

チャンネルを変えるとどこも同じニュースだ。

「新型ウイルスによる恐怖」と題売ったニュースがほとんどだった。

「やれやれ、どこも同じだな。面白いことないかなあ。」

テレビの電源ボタンを終了させた。

天井を見上げると、外からやけに救急車のサイレンが鳴り響いている。

「うるさいなあ」

「ジリリ…」
携帯の着信音が鳴る、手に取ると

「もしもし！」

「カナタさん！今、家ですか？」
税理士事務所の後輩、当麻玄からだった。

「ああ、家だよ。どうした？」

「家にいたほうがいいみたいですよ。」

「なぜ？」

「ニュース見ました？」

「ああ」

「新種のウイルスが出回ってるみたいですよ。」

「それと出るなとなにが関係するんだよ」

「それが先輩！今日、会社に電話したんですけど誰も出なくて壺井社長に電話したんですよ。　奥さんが出てきて、社長が亡くなったって。」

「え！？」

「医師の話では例のウイルス感染されたとかで。」

「まじか」

カナタはあまりの衝撃発言に言葉が出てこなかった。

「それから…、香織さんも感染してたらしく…」

香織は、職場の同僚、事務所の立ち上げ当初からの付き合いだった。

「亡くなったとかで…」さらに当麻は続けた。

「二人とも同じ病死ってことか」口が開いたまま塞がらなかった。

「テレビつけてみて下さい、先輩！」

当麻の言われるまま、リモコンでオンにして見た。