星空の声

haco.

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思考の波

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「今の状況によりますと、関東地方一帯から謎のウイルスが発生しているとのことです。」

マスクと防護服を着た女性アナウンサーが、原宿駅から実況している。
通り過ぎる人波がアナウンサーの後ろで慌ただしく動いていた。

「救急車!救急車早く!」叫ぶ声がテレビを通して伝わっていた。

「なんだよ。これは…」カナタは手で口を塞いで画面を眺めていた。

「先輩!昨日のこと覚えてますか?」

「昨日?」

「ほら、社員全員で原宿で飲んでたでしょ。」

「俺は行けなかったからだけど。社長も香織さんも参加してたでしょ」

「ああ…そうだったな」

「あいつは?経理の仲原」

「仲原さんも今繋がらない状態でもしかして…」

「もしかして?」
聞かずとも、カナタは分かっていた。

「じゃあ、なんで俺だけなんともないんだよ!」

カナタは心臓が震えながら、身を構えていた。

「先輩だけ生きているのになにか理由があるとしたら、思い当たる節があります?」

カナタは考えていた。昨日、飲みに行って他の人としなかったこと。

そういえば、彼女の紗耶にその後、公園に呼び出された。

デートのお誘いかと思っていた。切り出されたのは「別れましょう」の一言だった。

カナタにとっては殴られるよりも重い一発。

「カナタは私のこと見てくれてるの?」

「なぜ、自分から誘わないの?」

「いつも私ばかり‥」

「・・・」

カナタは一言も言わないまま、一方的な別れ方だった。

原宿駅まで1人寂しく歩いていると
突然の揺れが起きた。

おそらく震度3度弱の揺れだ。

駅内にいる人達も冷静な顔と裏腹に少し戸惑っていた。

カナタにとってはどうでもいいことだ。

酔いが今頃来たのかもしれない。

朦朧としながら、アパートまでたどり着いていた。

記憶を遡ってみるが、このウイルス状況とはなにも関係がない。

「先輩。聞いてますか?」

当麻からの電話で、我に戻っていた。

「ああ・・・」

ニュースでは倒れていく人混みとニュースキャスターが白く向いた目が目の前で倒れていく。

画面にノイズが入る、そして砂嵐の画面へと切り替わった。

カナタは、この状況のヤバさにやっと理解が追いついてきた。

チャンネルを切り替えるとどのチャンネルもウイルスの話題で騒然としている。

「まじかよ。これやばくないか」カナタは汗をかいていた。

「先輩、外に出ないでください。俺も出ないつもりです。」

当麻の言う通りかもしれない。

もし、外の世界が人類滅亡していたなら自分もそうなる確率があるからだ。


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