あの頃の夏には

haco.

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夏の香り

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林優斗(22)は、生まれてからずっと同じ夢を見続けていた。
夢の中に佇む自分は、どこか懐かしさがある街並みで海に面した場所にとある家族と過ごしていた。
それが果たして自分なのか、それとも別の人格なのか。それは今でもわからないままだ。

2016年に夏になるまで、夢は平行線のままだった。






目を覚ますと、白いカーテンが揺れる中、開けていた窓から夏風が部屋の中まで入ってきていた。

天井に映し出される反射され映る水面の輝きと海のさざ波でうとうとしていた。

「トントン・・・」

ドアのノックが部屋中に響きわたった。
そして開かれると

「ねえちゃん、朝だよ。もう7時30分だよ」

妹の「寧々」が起こしにきた。


「ふあーーーー。まだ眠いよ・・・・」

「今日、一緒に行くって言ったじゃん。水族館」

「まだ、7時30分…ぐう~」
恵美は、眠りたいためにまた寝ようとする。

「ねえ!ねえってば」
ブスっと膨らませた顔して、無理矢理に起こそうと力が入りはじめた。

寧々に気付かれないように、横向きになりながら目を開けた。
「はあ~。もうずっとだ。夢の中のワタシはなぜか男なんだよね。」頭の中で思いながら、気になっていた。

はっきりと学校の名前まで覚えている。
「私立武市高校」。男女共学の学校で夢の中のワタシの名前は、「林雄斗」だ。

なぜか覚えている、彼もまた夢に入る頃に、こちらの私が目覚める。ずっと同じ繰り返しだった。
それもお互いが生まれた頃から。もしかしたら、ほんとに実在する人物なのかもしれない。

「ねえ・・・ねえってば・・・」
また寧々がねちっこく言ってくる。

「わかったわよ。起きるから!」
半ギレになりなら、起き上がるとすでに8時を回っていた。

カレンダーに確かに今日の日程が書いてある。
「寧々と水族館」

「すっかり!忘れ・・・」

寧々の顔はムスっとしたままだ。

「ごめん・・さてと準備して出かけよう」

「やったー。ねえねえとデートだ!」
やっと寧々は笑顔になった。

引っ張られるまま、下の階まで連れていかれた。


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