あの頃の夏には

haco.

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黄昏る時を・・・

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館長に今までの夢の出来事を話をした。

それが、ほら吹き話と呼ばれても。おかまないなしに話が止まらなかった。
話が終わると相槌をしていた館長の顔の様子を伺っていた。

「こんなに話をしてすみません・・・」
タジタジとなりながら、館長の返事を待つ。

「そうねえ。夢人って美しい言葉ね。その言葉の通りだと思うわ。」
館長は、笑みは朝日に照らされながら、女神のような笑みだった。

「え!」

「人と夢とは、ひとつの仮想に見えても、実はあなたのもう一つの現実なのかもね。その優斗さんも向こうでそう感じているんでしょ。」

「はい」

「それは、夢の向こうの優斗さんも同じ思いをしているはずだわ。それにね」

館長は、古書・辞書コーナーまで誘導すると一つの本を棚から出して恵美の手に乗せた。

「はい。」

「え!これって・・・」

【日本国語大辞典】を手に取っていた。

「私もかつて、調べたことあったわ。あなたと同じ体験をしたことがあるの」

辞典を捲り、「夢人」について調べ始めた。

① 夢に見た人。夢の中で会う人。
② 夢のように、はかなく思われる人。恋しく思っている人。


と記されていた。

館長は続けて言う。

「儚い思い出もあるけどね。この辞典を手にとった時に私は気づいてしまったのよ。夢の中の彼に恋をしていたことを。」

「それでどうしたんですか?」興味が湧いてきた恵美は質問をした。

「ちょうどあなたと同じぐらい歳の頃ね。夢の中の記憶を探りながら、彼を求めに行ったわ。それも夢のパーツをパズルで組み合わせるようにして。彼は東京に居たわ。住所も鮮明なの。」

「実際に会ったんですか?」

「でもね、会えなかったの。」

「どうして・・・」

「彼が住んでいるはずのアパートの同じ部屋から出てきたのは、三人家族だったわ。まだ幼い女の子を連れてね。まったく夢の彼とは違う現実だった。これは私のただの夢だと感じしまった。それからはもう彼との夢は見なくなったわ・・・」

恵美は、一つの希望を失ったように無言でしかなかった。

「あなたも一緒なのね。」

「はい。でもその話を聞いてしまったら私も運命を受け入れるしかないのかも・・・」

「がっかりする必要はないわ。私の場合はそうだったとしても恵美ちゃん。あなたは違う人生になるのかもしれないわ」

「ターニングポイントというやつですね」

館長の話を聞いて夢の中の「優斗」にすぐに会いたくなった。


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