あの頃の夏には

haco.

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遠い日のノスタルジア

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カーテンから漏れる日差しが顔に直面してしまう。

眩しさから手で隠していると目覚ましがなった。

ジリリリ・・・・・


「ふわ~。ふあ」力がでないあくびで起き上がった。

優斗は、ベッドから離れるといつものように白シャツを着るとネイビーと白ドット柄のネクタイを目立つように
着飾った。

ミラースタンドで確認すると

「よし!!」

自分に喝を入れるとドタバタと階段を降りていった。

「おはよーー!」

キッチンの奥から「おはよ。」母がご飯の準備をしていた。

「あれ?お父さんは?」

「今日は朝から出張だって。」

「どこまで?」

「青森まで出張」

「遠いねえ。」

「来週に帰ってくるから、お土産よろしくって言っておいたわ」

話しながら、味噌汁とご飯が運ばれる。

「ふーん。昨日、遅くまで飲んでよくやれるよね」
味噌汁に手をつけながら優斗が言う。

「それで。恵美さんはどうたった?」

「ああ・・。結構抱え込んでいたみたいね。うちらのことで。館長には話したよ。それでさ」

食いついてくるように母が椅子に腰をかけ、お茶を飲みながら

「驚くことがあった。」と優斗が言った。

「どんな?」

「館長も夢人がいたらしい、俺と恵美が同じように。なにか理由があるかまではわからなかったけど。ただね」

優斗は言うべきか迷ったけど。母ならすぐに理解してくれるだろうと思い話を続けた。

「館長の場合は、実際に会いに行ったことがあるらしい。」

「え?会いに行ったの?」驚きの顔の母は素直な反応だった。

「辿っていった住所は存在していたらしいんだけど、そこに住んでいたのはまったく違う家族が住んでいたんだ。」

「えーーー!!!どういうことかしら?」

「それは僕にもよくわからないんだ。これは確かなことではないけど。もしかしたらパラレルワールド的なことなのかもしれない。その間でぼくらは繋がったとしか言えない。」

「映画やドラマ的な展開ね。でもそれがほんとならファンタジーね。優斗はどうするの?このままお互いが歳とるまで見続けるの?」


「・・・・。」

頭で考えても追いつけない・・と優斗はどうするかというよりこの夢に終わりはあるのか。。不安しかなかった。

「とりあえず・・」食べ終わった食器をキッチンまで持っていくと

「また帰ってから考えるよ。」

歯磨きを済ませて家を出た。

「行ってきます」



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