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【実話】身代金型ウイルスに感染し2000枚以上の思い出を失ったので、みなさまご注意を!
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まず、最初に一言。
失われるのは大切な思い出であり、かけがえのない経験なのです。
涙に打ちひしがれぬよう、こまめにファイルのバックアップを!
それでは、今回の顛末に移ります。
仕事から帰り、いつものようにパソコンの電源を入れた。
見慣れた起動画面……のはずが、何かがおかしい。
デスクトップが下世話なピンクの文字列で埋まっている。真っ黒な背景に浮かぶ奇怪な英文。
えもいわれぬ胸騒ぎがした。
が、その不安は直後に現実を伴って襲ってきた。
こともあろうに2000枚を超える家族の思い出が、すでに失われてしまっていたのだ。
ことの発端はこれにさかのぼること、およそ3週間前だった。
某有名通販サイトAで買い物をした。目的の商品を検索し、内容や価格などを吟味する。
少しでも安いものを、と願うのは決して悪いことではないだろう。とびきりの最安値を示していたその業者は海外の、正確に言えばアメリカを所在地としていた。
購入者の評価や口コミなど業者の情報はなかったが、送料などに関して日本語で丁寧な説明がなされていたことを信用し、手続きを進めてカードでの支払いを済ませた。アメリカ発とはいえ商品の到着までに3週間以上の納期が示されていることに、若干気がかりを覚えた程度だった。
数日経って業者から商品発送と伝票番号を知らせるメールがあった。
その伝票番号を米国の郵送会社の追跡サービスに入力すると、なぜか「Not found」と表示される。業者からのメールには「追跡サービスに反映されるには数日掛かることもあります」とあったので、ついつい信じて込んでしまった。
そして3週間経った。その間、何回か追跡サービスに伝票番号を入力したのだが、相変わらず「Not found」のままだった。さすがに、これはおかしい。
ネットで調べると、国際郵便でも日本郵政HPでの追跡サービスを受けられることを知った。淡い期待を抱きつつ、業者から知らされた伝票番号を打ち込んだ。
信じられない検索結果がパソコンの画面に表示された。
中国・上海発の荷物で、すでにとある日本の大都市に「配達済み」となっていた。
アメリカ発だったよね。
それに配達済みって、どういうこと?
不安が一気に増幅する。
某大手通販サイトの購入履歴をたどって、販売業者に問い合わせのメールを送りつけた。
「商品が届かないが、どうなっているのか。連絡を請う。」
相手がアメリカ人だろうが誰だろうが、日本で商売するのなら日本語で対応しろ、と心の中で毒づきながら強い文面のまま送信ボタンを押下した。
即座に反応があった。
しかし、それは今回の買い物を仲介する某大手通販サイトからのものだった。
「出品業者はすでに退会しており、連絡を取ることができません」
どうなっているんだ、これは。
濃厚な詐欺のニオイ。あまりにも腹がたったので、再度「連絡を請う」と業者にメールを送りつけた。
後から考えれば、結果的にこれがアダとなってしまった。
数分後、業者とおぼしき外国人から一通のメールが届いた。その英文の内容を読み解くと、
「ご迷惑をおかけいたします。当方のプリンターの調子が悪く、伝票番号を印刷することができません。お手数ですが、伝票番号を撮影した画像を添付いたしましたので、そちらをご参照くださいませ」
という内容だった。
怒りは、時にして冷静な判断を狂わせる。
煮えたぎった心の勢いのまま、何の疑問も抱かずに添付ファイルをダブルクリックしてしまった。
その瞬間に何かが起こった訳ではなかった。
奇妙な名前のファイルが数個、デスクトップに生成された程度だった。
商品に関する情報が手に入らず拍子抜けしたまま、その日はパソコンの電源を落とした。
翌日、会社から帰りパソコンを起動した。
すると見たこともないピンク色の文字が画面を覆っていた。
カビや黴菌バイキンなどの外見がそうであるように、生理的嫌悪感を抱かせるに十分な、ウイルス感染の画面そのものだった。
あわてて、通信回線を遮断した。記憶ではネットを介してウイルスに感染、ファイルなどがネットにばら撒かれる危険性があると判断したからだった。
けれども、このウイルスは予想以上に性質タチの悪いものだった。エクセルやワードの文書、テキスト文書、そしてデジカメの写真データ。それらのファイルをすべて暗号化し読み込めなくしてしまうのだ。
個人資産ともいえるデータの積層が、一夜の内に破壊された。
幸い、仕事のデータはバックアップを取っていたので難を逃れた。
最大の被害はデジカメのデータとなった。
正月から半年を超えて取りためた家族の記憶、およそ2000枚超がアクセス不能となってしまった。
お節料理にほっこりする姿
誕生日のケーキにわくわく
鮮やかだった花見
初めて立ちあがった日
琵琶湖のキャンプ……
すべての記憶がハードディスクの中に凍結されてしまった。
いや、ここで落胆している場合ではなかった。
詳しく調べてみると、なんと現在進行形でウイルスがファイルの破壊を続けているではないか!
すがるような気持ちで某有名会社の除去ソフトをダウンロードし、憎きウイルスを駆除した。
さらに念を入れて、別の2社のソフトでファイルをすべてチェックし直した。
やっとのことでウイルスの猛威は去った。
が、同時に激しい後悔に襲われた。
元はといえば……安物買いの銭失いという言葉どおりか。
少しくらい高くても信頼できる業者で買い物をすればよかった。いや、決してこっちが悪いわけではない。どう考えても被害者なのだけれど。
惜しむらくは、あの添付ファイルをクリックさえしなければ。
商品が届かない怒りで冷静さを欠いていた心の隙間を狙われしまった。
被害者の心の動きをそこまで計算してのウイルス配布とすれば……恐るべき犯罪者の知恵ではあるが、その絶妙な機微をもっと別のことに生かしてほしいと心から願う。
「暗号を解いてほしければ30万円寄越せ」
身代金型マルウェア、ランサムウェアというらしい。
話には聞いていたが、まさか自分がこのような憂き目にあおうとは想像もつかなかった。
このウイルスの暗号化レベルは国家機密並みの複雑さとのことだ。こんな悪事に使う力があるのなら、もっと世の中のために使ってくれよ、まったく。
ちなみに、届かなかった品物に関しては、某大手通販会社Aから謝罪があり、全額返金してくれることになった。
不幸中の幸いといえるのだろうか。
以上が今回のバタバタの顛末です。
みなさまお気をつけください。
基本的に他者からのメールの添付ファイルを触ってはいけません。
ヤツラは非常に巧妙な手口でクリックを誘ってきます。
「○○さま、お問い合わせのサイズより少し大き目ならご用意できます。詳しくは写真を添付しましたので、そちらをご参照ください。」
「申し訳ありません。以下の手続きは写真で確認願います」
まったく赤の他人からのメールだとしても、サイズ違いで返品している人、何らかの手続き上のトラブルの渦中にある人などからすれば至極まっとうな文面なので、思わず添付ファイルをクリックしてしまいそうになります。
こちらの情報をどのようにして入手するのか分かりませんが、あまりにも「現状」にマッチした文面で誘ってくるので、疑問を挟む余地もなく騙されてしまいます。
ソフトウェアはインストールし直せば回復しますが、大事な想い出の記録は失われると永遠に戻ってはきません。
汗を流して入力した仕事や作業の記録は、二度と取り戻すことができません。
失われるのは大切な思い出であり、かけがえのない経験なのです。
涙に打ちひしがれぬよう、こまめにファイルのバックアップを!
お伝えしたいのは、ただただこの一点です。
みなさまどうか、お気をつけくださいませ。
パン大好き
失われるのは大切な思い出であり、かけがえのない経験なのです。
涙に打ちひしがれぬよう、こまめにファイルのバックアップを!
それでは、今回の顛末に移ります。
仕事から帰り、いつものようにパソコンの電源を入れた。
見慣れた起動画面……のはずが、何かがおかしい。
デスクトップが下世話なピンクの文字列で埋まっている。真っ黒な背景に浮かぶ奇怪な英文。
えもいわれぬ胸騒ぎがした。
が、その不安は直後に現実を伴って襲ってきた。
こともあろうに2000枚を超える家族の思い出が、すでに失われてしまっていたのだ。
ことの発端はこれにさかのぼること、およそ3週間前だった。
某有名通販サイトAで買い物をした。目的の商品を検索し、内容や価格などを吟味する。
少しでも安いものを、と願うのは決して悪いことではないだろう。とびきりの最安値を示していたその業者は海外の、正確に言えばアメリカを所在地としていた。
購入者の評価や口コミなど業者の情報はなかったが、送料などに関して日本語で丁寧な説明がなされていたことを信用し、手続きを進めてカードでの支払いを済ませた。アメリカ発とはいえ商品の到着までに3週間以上の納期が示されていることに、若干気がかりを覚えた程度だった。
数日経って業者から商品発送と伝票番号を知らせるメールがあった。
その伝票番号を米国の郵送会社の追跡サービスに入力すると、なぜか「Not found」と表示される。業者からのメールには「追跡サービスに反映されるには数日掛かることもあります」とあったので、ついつい信じて込んでしまった。
そして3週間経った。その間、何回か追跡サービスに伝票番号を入力したのだが、相変わらず「Not found」のままだった。さすがに、これはおかしい。
ネットで調べると、国際郵便でも日本郵政HPでの追跡サービスを受けられることを知った。淡い期待を抱きつつ、業者から知らされた伝票番号を打ち込んだ。
信じられない検索結果がパソコンの画面に表示された。
中国・上海発の荷物で、すでにとある日本の大都市に「配達済み」となっていた。
アメリカ発だったよね。
それに配達済みって、どういうこと?
不安が一気に増幅する。
某大手通販サイトの購入履歴をたどって、販売業者に問い合わせのメールを送りつけた。
「商品が届かないが、どうなっているのか。連絡を請う。」
相手がアメリカ人だろうが誰だろうが、日本で商売するのなら日本語で対応しろ、と心の中で毒づきながら強い文面のまま送信ボタンを押下した。
即座に反応があった。
しかし、それは今回の買い物を仲介する某大手通販サイトからのものだった。
「出品業者はすでに退会しており、連絡を取ることができません」
どうなっているんだ、これは。
濃厚な詐欺のニオイ。あまりにも腹がたったので、再度「連絡を請う」と業者にメールを送りつけた。
後から考えれば、結果的にこれがアダとなってしまった。
数分後、業者とおぼしき外国人から一通のメールが届いた。その英文の内容を読み解くと、
「ご迷惑をおかけいたします。当方のプリンターの調子が悪く、伝票番号を印刷することができません。お手数ですが、伝票番号を撮影した画像を添付いたしましたので、そちらをご参照くださいませ」
という内容だった。
怒りは、時にして冷静な判断を狂わせる。
煮えたぎった心の勢いのまま、何の疑問も抱かずに添付ファイルをダブルクリックしてしまった。
その瞬間に何かが起こった訳ではなかった。
奇妙な名前のファイルが数個、デスクトップに生成された程度だった。
商品に関する情報が手に入らず拍子抜けしたまま、その日はパソコンの電源を落とした。
翌日、会社から帰りパソコンを起動した。
すると見たこともないピンク色の文字が画面を覆っていた。
カビや黴菌バイキンなどの外見がそうであるように、生理的嫌悪感を抱かせるに十分な、ウイルス感染の画面そのものだった。
あわてて、通信回線を遮断した。記憶ではネットを介してウイルスに感染、ファイルなどがネットにばら撒かれる危険性があると判断したからだった。
けれども、このウイルスは予想以上に性質タチの悪いものだった。エクセルやワードの文書、テキスト文書、そしてデジカメの写真データ。それらのファイルをすべて暗号化し読み込めなくしてしまうのだ。
個人資産ともいえるデータの積層が、一夜の内に破壊された。
幸い、仕事のデータはバックアップを取っていたので難を逃れた。
最大の被害はデジカメのデータとなった。
正月から半年を超えて取りためた家族の記憶、およそ2000枚超がアクセス不能となってしまった。
お節料理にほっこりする姿
誕生日のケーキにわくわく
鮮やかだった花見
初めて立ちあがった日
琵琶湖のキャンプ……
すべての記憶がハードディスクの中に凍結されてしまった。
いや、ここで落胆している場合ではなかった。
詳しく調べてみると、なんと現在進行形でウイルスがファイルの破壊を続けているではないか!
すがるような気持ちで某有名会社の除去ソフトをダウンロードし、憎きウイルスを駆除した。
さらに念を入れて、別の2社のソフトでファイルをすべてチェックし直した。
やっとのことでウイルスの猛威は去った。
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「暗号を解いてほしければ30万円寄越せ」
身代金型マルウェア、ランサムウェアというらしい。
話には聞いていたが、まさか自分がこのような憂き目にあおうとは想像もつかなかった。
このウイルスの暗号化レベルは国家機密並みの複雑さとのことだ。こんな悪事に使う力があるのなら、もっと世の中のために使ってくれよ、まったく。
ちなみに、届かなかった品物に関しては、某大手通販会社Aから謝罪があり、全額返金してくれることになった。
不幸中の幸いといえるのだろうか。
以上が今回のバタバタの顛末です。
みなさまお気をつけください。
基本的に他者からのメールの添付ファイルを触ってはいけません。
ヤツラは非常に巧妙な手口でクリックを誘ってきます。
「○○さま、お問い合わせのサイズより少し大き目ならご用意できます。詳しくは写真を添付しましたので、そちらをご参照ください。」
「申し訳ありません。以下の手続きは写真で確認願います」
まったく赤の他人からのメールだとしても、サイズ違いで返品している人、何らかの手続き上のトラブルの渦中にある人などからすれば至極まっとうな文面なので、思わず添付ファイルをクリックしてしまいそうになります。
こちらの情報をどのようにして入手するのか分かりませんが、あまりにも「現状」にマッチした文面で誘ってくるので、疑問を挟む余地もなく騙されてしまいます。
ソフトウェアはインストールし直せば回復しますが、大事な想い出の記録は失われると永遠に戻ってはきません。
汗を流して入力した仕事や作業の記録は、二度と取り戻すことができません。
失われるのは大切な思い出であり、かけがえのない経験なのです。
涙に打ちひしがれぬよう、こまめにファイルのバックアップを!
お伝えしたいのは、ただただこの一点です。
みなさまどうか、お気をつけくださいませ。
パン大好き
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