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第1章 幼少期
1話 わたしは死んだの?
しおりを挟むマイ!
マイ!
「マイってば!聞いてる?」
パッとマイは我に返った。
「ごめーん、今なんか凄く遠くを見てた」
「ほんとマイっていつもボケーとしてるのに、なんで、そんなに勉強もスポーツ、音楽やら家事やら出来るわけ?何か頭に埋められたりしてるんじゃないの?」
「やだな、そんな、サイボーグみたいないい方しないでよ!人を化け物みたいな言い方して、ミホだって何でもそつなくこなすじゃない!」
「いやいやいや、あなた様には負けますよ、モデル以上に可愛くて、その上優しいし、なんでも完璧以上にこなしてモテるかと思いきや、もう神々しくて異性は誰も話しかけてこないレベルだし!」
「いや、ミホ最後!わたしの事馬鹿にしたでしょ、わたしだって恋愛したいんだから!早く学校にいこ!」
そう言うとマイは少しふてくされた顔で歩き出した。
「いやー、そのふてった顔はもう反則だねー!あたしすら恋しちゃうよ!」
「もう、馬鹿にしないでって!」
マイとミホは17歳の高校生で、いつもの通学路を歩いていた。
毎日周囲の男性からの視線が異常なのは言うまでもない。
スポーツ万能・成績優秀・性格温厚
マイは少し鈍感なところもあり、そう恋愛感情は全然気が付かない子だった。
逆にミホは、敏感で明るい性格だ。
二人はとても仲がよく、昔から無二の親友だった。
少し歩くと、朝から工事をしている工事現場に差し掛かった、
その下に、小学生数名が横切ろうとした時。
ガシャン!!
「危ない!!」
気がつくと、マイは走り出し、小学生を突き飛ばした。
ドッカーン!
ガシャン!
ガランガラン…
シーン…
工事現場の周りに建てられた足場が倒れたのだ。
小学生数名は突き飛ばされた反動で擦りむいたらしく泣き出した。
えーん、えーん!
周囲の人たちも気付き近づいてくる。
「マイ?」
ミホが反応のないマイの側による。
「マイ、マイ!」
誰か救急車!
周囲の人たちが急に騒ぎ出す。
えっ?わたし死んだの?
マイは何故か上から自分を見てる様な感覚に驚いた。
『そうよ、君は今死んだの』
自分より上で声が聞こえて上を見上げ
る。
そこには、天使の姿をした女性がいた。
『君は、死んではいけない人物だったのに、何で死んじゃうかな~』
いや、何でって言われても。
『君は、もっと沢山の人を助け、幸せに導く存在になる予定だったのに、なんでだろう』
やっとマイが喋り出す。
「わたしにも、それはわからないわ、痛みも無いし、死んだって実感なんてないんだけど、それはそうと、あなたは誰なの?」
『わたし? そうそう、紹介が遅れたわね、わたしは神の代行者、女神のウリエル、よろしくね』
「はい、よろしくお願いします、それで女神様、わたしはどうなるのでしょう?」
『えっ?君話し理解するの早く無い?
普通夢かな?とか、死にたく無いとか、
わたしが接した人間は大体そんな感じだけど、君は怖がったりしないの?』
「いや、怖いです、友達が悲しむし、地獄に連れて行かれちゃうのかなとか、考えちゃうし、閻魔様や鬼とかいるのかなとか、いろいろ考えちゃいます、でも、もし、わたしがあの小学生達を突き飛ばさないで、目の前で事故に巻き込まれて小学生達が亡くなる方がもっと怖いです!」
『ほぉー!感心だねー、君は何て素晴らしい人間なんだ、感動したよ!本当はダメだけど、君には特別に教えてあげよう、本当の現実を、実はあの小学生達を助けるのは君の親友ミホだったんだ』
「えっ!そうなんですか?もしかしたら流れ的にミホは軽傷で済んだんだ!みたいな流れですか」
『うーん、惜しいな~、残念ながら、亡くなるのは君じゃなくミホだったんだよ…』
「よかった!ミホじゃなくてわたしで!」
『えー!なんで?本当は君は死ななくてすんだのに、そして、君は沢山の人を助ける人間になれるのに!』
「いいえ、いいんです、ミホに亡くなられる位なら、わたしが助けて亡くなった方が、ミホを悲しませてしまったけど、ミホには、家族がちゃんと居ますし、友達も沢山居ます。わたしには家族も居ませんし…」
マイの両親は親族が居なく、マイが8歳の時に事故に巻き込まれ他界してしまっていた。
子供がマイだけだった為、施設に預けられるはずだったが、もともと両親それぞれが経営者だった為、一人で何でも出来るように優しく両親に教育されていた。
そして、マイは豪邸で一人で生きていく事になった。
多額の保険金と大量の遺産がマイに入ったためお金の心配は無かったが、
家族愛に強い憧れがあったのだ。
『へー、君は本当にできた人間だね、少し意地悪したくなるよ、この後どうなるか話しようかな~』
マイは直ぐに言葉を返す。
「やめてください!みんなが悲しんでる姿見たくありません…」
マイは涙を流していた。
『ごめんね、君を悲しませる為にわたしは此処に来たわけじゃないんだよね、実は君に相談があるんだ』
相談?
マイは涙を溜めた目で首を傾げる。
『うっ、すごくこの子かわいい、わたしの世界に連れて行きたい…ダメダメ連れて行っちゃダメ…』
「ウリエル様?」
『あっ、そうね、相談と言うのは、君を生き返らせると言う話だったんだけど、迷惑なら、天国に連れて行こうか?
君を死なせたのは、人類にも多大な影響を与えたし、わたし達にもイレギュラーだった事も考慮してるんだけど』
「生き返らせて下さい!」
『だよねー!でもこの世界では君を生き返らせられないんだよね、こればっかりは神法1658条に抵触してるからさ、それでもいい?』
考え込むマイ、生き返りたいけど、知っているこの世界だと思っていた…って。
「生き返る世界ってどんな世界ですか!?」
『えっ、あー、色んな世界があるけど、君はどんな世界がいい?特別に聞いてあげるよー』
マイの目が輝き出す。
「じゃあ、わたしファンタジーの世界が大好きなんです!どんな世界か説明します!」
少したじろぐウリエル。
『けっ、結構意外な趣味を持っているのね君は、分かったわ、君の想像している世界に近い設定の世界探してみるわ』
そう言うと、ウリエルは急にマイに抱きついて、そして光出す。
2人は光に包まれた。
『う~ん…、よし分かったわ、これなら何とか、でもこれは無理ね…良し、完了』
光が収縮していく、ウリエルは目を閉じ、何やら不可思議な言葉をぶつぶつ唱えている。
『よ~し、早速君を生き返らせますか、君の思い描く世界観ににた世界も見つけれたし、準備はいい?』
静かに頷くマイ。
『分かったわ、それとこれは本当はやっちゃいけない事なんだけど、わたし君の事を、ものすごく気に入ったから少し君にサービスしちゃう、一つ目は、君に女神の加護を、もう一つは今の記憶を残してあげる、だって君の性格変わっちゃうのやだし、また次あったとき、やな奴になってたらわたし困るから!』
それは大分個人の感情が優先してる様な。
マイが質問する。
「あの、ウリエル様?記憶を残すのは分かりましたが、女神の加護ってどんな意味があるのでしょうか?」
『あっ、やっぱりそこ気になるよねー、わたしもよくわかんないんだけど、その世界、世界で違うから、まっ、全てうまく行きます的なやつだから、君は気にしなくていいよ』
説明雑すぎません…?
大丈夫かなぁ。
『よし!それでじゃあ、早速君を生き返らせるね、又君は赤ちゃんからやり直しだけど、振り出しに戻ったと思って頑張ってね!後、絶対に君は悪い存在にならないでね!』
頷くマイ。
また、ウリエルがマイに抱きつく、そして今度は先程より激しい光に包まれる。
あっ、暑い…
シュワーーー!
もうそこには2人の存在はなかった。
ピーポーピーポー…
救急車の音が良く聞こえるすんだ空が広がっていた。
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