24 / 58
アキとユズ*第三章
水蜜桃*7
しおりを挟む
軽くユズが腰を浮かせ、その刹那問うようにアキの方を見やった。これからしようとしている事への許しを乞うような怯えてすら見える眼差しに、アキはそっと彼の額と前髪を撫でて微笑んだ。好きなようにしなよ、そう、囁くように。
緊張した面持ちで、恐る恐る、それでいてアキが予想していたよりも大胆に、躊躇いなくユズは再び目を醒ました彼を食んだ。とろけるようにアツい感覚がアキを包み込み、呼吸が停まりそうなほどにアツい躰がユズの物言わぬ口を塞いだ。細く高い、甘い悲鳴が微かに上がった。
思い掛けないアツさに、ユズは一瞬意識が遠のく感覚を覚えた程だった。脳裏に描いていた物よりも、実際に自身が食むそれははるかにアツく、彼の快楽のツボを突いていた。
じっと、呑みこんだ熱の感触を確かめるようにユズは息を潜めていた。貫かれ繋がり合う肌と躰を確かめるように、味わうように。
やがてじわりと、まるで先程までふたりで黙々と食べていた果実のように、躰の奥から蜜が湧いてくるような感覚を覚えた。蜜は、ゆったりと肌をアキに擦り合わせる程に湧き、徐々に止め処を失った泉のように溢れた。
いつの間にか繋ぎ合っていた指先にまで、ユズの求めが滲んでいるのではと錯覚するほどに、アキは彼の上で肌を押しつけてくる躰の熱を感じていた。
普段儚げで物静かな分、こんな時ほど饒舌なんだろうか……不意に浮かんだ考えに、アキはひっそりと笑った。それほどに、彼の上で自らを押しつけてくるユズはいつになく大胆な姿と動作をしていたのだ。
「んぁ、ん…っは、あ…アキ、く…気持ち、い…?」
「ん…すげ、気持ちいい…っあ…ちょ…ユズ、さぁ…」
「んぅ…?」
「そん、な…激しーのされた、ら…俺、すぐイっちゃう、よ?」
冗談と本音を入り混ぜたアキの言葉に、ユズが動きを止めた。たちまちに肌の薄紅が色味を増していく。まるで、完熟の甘い果実のようだと、アキは思った。甘美で淫らで、愛しい果実……染まる頬にそっとアキが指先で触れる。ユズはそれをそっと両手で包むように握りしめ、口付をした。
「……好き、アキくん…好き…」
「…このまま、食べ尽くしたくなるぐらい?」
「…そう、って言ったら…?」
甘く緩い頬笑みを湛えた眼差しがアキを見下ろす。捕えられたままの指先を僅かに動かし、擦り寄せられた頬に触れた。薄く汗ばむそこには滴る程の情愛が雫となって伝っていた。
情愛の雫を掬うように、ふたりは口付を交わす。舌を絡め、水音を立てながら再び躰と躰の距離を無くすために肌を押し付け合う。繋がり合うそこからは果汁のように蜜が滴り落ち、床に水溜りを成していた。
「っあ、ん…あ、あ、ッはぁ!あぅ、あ…アキ、く…アツ、いぃ、アツ…あ、んぅ…!」
「ユズ…すっげ、アツい…溶けそ…っんぁ、あ…イイ…すげ、イイ…」
「アキく…んぅ…アマ、い…アキくん、甘くて…アツいぃ…」
「ん…ユズも、甘い…すげー、アツ…っは、あ…ぅあ…も…やば…!」
「あ、あぅ!あ、っやぁ!アキく…!アキ…あぅ…あっ…んぅ……―――!」
照り付ける陽の光に焦がされるように、ふたつの躰はアツく溶けあった。狂ったように互いの名を呼び合い、濡れた音をたてながら貪るように互いの肌に自身の躰を刻み込んだ。
白濁が弧を描き、内外を染めていく。声にならない悲鳴と、叫びが、入り混じりながら崩れていった。
抜けるように青い空だけが変わらずそこにはあり続け、ふたりが2匹へと堕ちていく様を眺めていた。遠く近く、蝉の歌声が聞こえていた。
緊張した面持ちで、恐る恐る、それでいてアキが予想していたよりも大胆に、躊躇いなくユズは再び目を醒ました彼を食んだ。とろけるようにアツい感覚がアキを包み込み、呼吸が停まりそうなほどにアツい躰がユズの物言わぬ口を塞いだ。細く高い、甘い悲鳴が微かに上がった。
思い掛けないアツさに、ユズは一瞬意識が遠のく感覚を覚えた程だった。脳裏に描いていた物よりも、実際に自身が食むそれははるかにアツく、彼の快楽のツボを突いていた。
じっと、呑みこんだ熱の感触を確かめるようにユズは息を潜めていた。貫かれ繋がり合う肌と躰を確かめるように、味わうように。
やがてじわりと、まるで先程までふたりで黙々と食べていた果実のように、躰の奥から蜜が湧いてくるような感覚を覚えた。蜜は、ゆったりと肌をアキに擦り合わせる程に湧き、徐々に止め処を失った泉のように溢れた。
いつの間にか繋ぎ合っていた指先にまで、ユズの求めが滲んでいるのではと錯覚するほどに、アキは彼の上で肌を押しつけてくる躰の熱を感じていた。
普段儚げで物静かな分、こんな時ほど饒舌なんだろうか……不意に浮かんだ考えに、アキはひっそりと笑った。それほどに、彼の上で自らを押しつけてくるユズはいつになく大胆な姿と動作をしていたのだ。
「んぁ、ん…っは、あ…アキ、く…気持ち、い…?」
「ん…すげ、気持ちいい…っあ…ちょ…ユズ、さぁ…」
「んぅ…?」
「そん、な…激しーのされた、ら…俺、すぐイっちゃう、よ?」
冗談と本音を入り混ぜたアキの言葉に、ユズが動きを止めた。たちまちに肌の薄紅が色味を増していく。まるで、完熟の甘い果実のようだと、アキは思った。甘美で淫らで、愛しい果実……染まる頬にそっとアキが指先で触れる。ユズはそれをそっと両手で包むように握りしめ、口付をした。
「……好き、アキくん…好き…」
「…このまま、食べ尽くしたくなるぐらい?」
「…そう、って言ったら…?」
甘く緩い頬笑みを湛えた眼差しがアキを見下ろす。捕えられたままの指先を僅かに動かし、擦り寄せられた頬に触れた。薄く汗ばむそこには滴る程の情愛が雫となって伝っていた。
情愛の雫を掬うように、ふたりは口付を交わす。舌を絡め、水音を立てながら再び躰と躰の距離を無くすために肌を押し付け合う。繋がり合うそこからは果汁のように蜜が滴り落ち、床に水溜りを成していた。
「っあ、ん…あ、あ、ッはぁ!あぅ、あ…アキ、く…アツ、いぃ、アツ…あ、んぅ…!」
「ユズ…すっげ、アツい…溶けそ…っんぁ、あ…イイ…すげ、イイ…」
「アキく…んぅ…アマ、い…アキくん、甘くて…アツいぃ…」
「ん…ユズも、甘い…すげー、アツ…っは、あ…ぅあ…も…やば…!」
「あ、あぅ!あ、っやぁ!アキく…!アキ…あぅ…あっ…んぅ……―――!」
照り付ける陽の光に焦がされるように、ふたつの躰はアツく溶けあった。狂ったように互いの名を呼び合い、濡れた音をたてながら貪るように互いの肌に自身の躰を刻み込んだ。
白濁が弧を描き、内外を染めていく。声にならない悲鳴と、叫びが、入り混じりながら崩れていった。
抜けるように青い空だけが変わらずそこにはあり続け、ふたりが2匹へと堕ちていく様を眺めていた。遠く近く、蝉の歌声が聞こえていた。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる