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アキとユズ*第五章
uneasy night*8
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「…っは、はぁ…っあ…ユズ…?大丈夫?」
「…ん、ちょっと、くらってしちゃった…っへへ…ごめんね…アキくんこそ、大丈夫?」
「や、うん、まあ…ごめ…すげー手が…ベタベタで…」
「…あー…うん…大丈夫、自分、で、なんとかできる…っん…」
「ああ、まだいんじゃない?」
「でも…」
「俺は平気だから。気にしないで。」
実際、少しだけ腰が抜けていたから、すぐにどいてくれって言われなくてホッとしていた。せめて呼吸が整って治まるまでは、アキくんに少しだけ寄りかかっていたかった。
ぼうっと、10分ぐらい何も喋ることなく寄り添ったままでいた。テレビの音は相変わらずだったけれど、寄り添っていたアキくんから聞こえる彼の鼓動の方がうんとよく聞こえていた。ちゃんと生きてここにいる、アキくんの音だ。
当り前のいつものように肌を合わせられた事が嬉しくて、ちょっとだけひっそりと俺は泣いた。アキくんは気付いていたかもしれないけれど、何も言わなかった。
「風呂、流石に入んなきゃなー…つーかシャワーだけど。」
「てか、包帯…汚れて…るね……ごめん…」
「…ん、まあ…うん…どうせまた、行くし、病院…」
「それまでこのまんまなの?」
「うーん…」
あとでスマホでやり方ググってみようよって言いながら、ようやく落ち着いてきた身体をそっと放した。淡い熱と名残にまた少しだけ、甘い啼き声が漏れてしまった。
今度はアキくん、ちゃんと見ていて聞いていて、意地悪そうににやにやと笑っていた。ムッとした顔で俺が睨むと、怯む事も悪びれる事もなく、可愛い、なんて言ってきた。手がこんなきゃじゃなかったらぎゅってしたいぐらいに、とも。
ヌケヌケと何言ってんだか…って、呆れはしたけど、それ以上におかしかったから、俺は思わず笑ってしまっていた。
汚れたアキくんの掌やそれぞれの身体を拭って、風呂を準備しながら何か呑んだりテレビ見たり。だらだらとふたりの夜が更けていく。いつもと同じようで、少し違う夜が。
「今日、泊ってくんでしょ?」
「うん。」
当たり前に交わし合える言葉が嬉しい。寄り添えるあったかな肌が今日も隣にあることが嬉しい。
いつもと違う景色を経て辿り着いたいつもと同じような夜の中、俺とアキくんはそっと啄むだけのキスをした。
「…ん、ちょっと、くらってしちゃった…っへへ…ごめんね…アキくんこそ、大丈夫?」
「や、うん、まあ…ごめ…すげー手が…ベタベタで…」
「…あー…うん…大丈夫、自分、で、なんとかできる…っん…」
「ああ、まだいんじゃない?」
「でも…」
「俺は平気だから。気にしないで。」
実際、少しだけ腰が抜けていたから、すぐにどいてくれって言われなくてホッとしていた。せめて呼吸が整って治まるまでは、アキくんに少しだけ寄りかかっていたかった。
ぼうっと、10分ぐらい何も喋ることなく寄り添ったままでいた。テレビの音は相変わらずだったけれど、寄り添っていたアキくんから聞こえる彼の鼓動の方がうんとよく聞こえていた。ちゃんと生きてここにいる、アキくんの音だ。
当り前のいつものように肌を合わせられた事が嬉しくて、ちょっとだけひっそりと俺は泣いた。アキくんは気付いていたかもしれないけれど、何も言わなかった。
「風呂、流石に入んなきゃなー…つーかシャワーだけど。」
「てか、包帯…汚れて…るね……ごめん…」
「…ん、まあ…うん…どうせまた、行くし、病院…」
「それまでこのまんまなの?」
「うーん…」
あとでスマホでやり方ググってみようよって言いながら、ようやく落ち着いてきた身体をそっと放した。淡い熱と名残にまた少しだけ、甘い啼き声が漏れてしまった。
今度はアキくん、ちゃんと見ていて聞いていて、意地悪そうににやにやと笑っていた。ムッとした顔で俺が睨むと、怯む事も悪びれる事もなく、可愛い、なんて言ってきた。手がこんなきゃじゃなかったらぎゅってしたいぐらいに、とも。
ヌケヌケと何言ってんだか…って、呆れはしたけど、それ以上におかしかったから、俺は思わず笑ってしまっていた。
汚れたアキくんの掌やそれぞれの身体を拭って、風呂を準備しながら何か呑んだりテレビ見たり。だらだらとふたりの夜が更けていく。いつもと同じようで、少し違う夜が。
「今日、泊ってくんでしょ?」
「うん。」
当たり前に交わし合える言葉が嬉しい。寄り添えるあったかな肌が今日も隣にあることが嬉しい。
いつもと違う景色を経て辿り着いたいつもと同じような夜の中、俺とアキくんはそっと啄むだけのキスをした。
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