Forever Friends

てるる

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工藤くんというひと4

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呼び名の件は、工藤くんにまんまと逃げられて、
うやむやにされてしまったけど、
不満を直接表明することができて、ちょっと
気が晴れた。

言っても仕方がないことを言いたくなるのが
女というものなのです、多分。
工藤くんなら、適当にいなしてくれるという
甘えがあるのよね、多分。
ダンナに何か言っても、暖簾に腕押しだし、
面白くないんだもん。
工藤くんなら、赤くなったり青くなったりして、
いい反応してくれるから、ね。


あたしは、ひとあたりがいいと思われがちだけど、
結構ひとは選ぶほうなのです。
プライベートで食事に行くなら、
絶対好きなひととしか行きたくない。

一緒に食卓を囲めるかどうか、で
すべてが決まると言って過言ではない。

工藤くんとは、同じ釜の飯を喰った仲である。
積極的にご一緒したいと思える、レアなひと。

OB会は昼から大学の会館でやるので、
昔よく行っていた大学近辺か、京都駅のどこかで
ランチをいたしましょう、とふたりで、
わくわくと相談をしてきた。

数年のことで、近所の風景が変わってしまうのだから、
卒業以来ほとんど訪れていない大学の界隈など
激変しているだろうね。


「そもそも京都駅がだいぶ変わってるかも?」


「迷子になっちゃうかも?」

工藤くんは方向音痴だ。
あたしたちは、スマホが苦手。
地図を表示されたって、どう使っていいか
よくわからない。
地下鉄やバスのルート自体は変わっているはずもないから、
まあ、なんとかたどり着けるだろう。
知らんけど。

なんか観光客でえらいことになってるらしいけどね。




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