せんせい、僕に描き方を教えてください

てるる

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母の味

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俺は高校のとき弓道部で、大学でもそのまま続け、
今は弓道部の顧問をしている。

馬子にも衣装。
弓道姿の俺は、なかなか悪くない。
彼女もうっかりそう思ってしまったのだろうな。
帝大に合格するくらいだから、高校時代はわき目もふらずに
真面目に勉強してきたのだろう、2学年上ではあったが、
とてもピュアな感じのひとだった。
完全に文系の俺にはさっぱりわけのわからない研究の話を
夢中になってするのが、とてもかわいいと思ったんだが、
なんだかいつも謝っていたっけな。
もっとフォローしてあげられたらよかったんだろうけど、
俺もまだ子どもで未熟だったんだと思う。
今でもまだ青いと思うのに、当時は経験値も低くて、
まあ、そのへんはしょうがない、か。
ふたりで楽しい時間を過ごしたことをいい思い出に、
するしかないんだよな。
そのつづきがもうないんだから。


週末は午前中部活を観て、午後からは久しぶりに
実家に戻った。
たまには母の手料理をいただくとする。


「で、誰かいいひと居ないの?」


攻撃にはもう慣れた。

俺はまだ20代ですよ、母上。
慌てなくても、大丈夫です。

そう。
今日日初婚は40という男性は多い。
子どもの将来を考えなければ、いくつで結婚しようが、
そう問題はない。


「大いに問題でしょう!
おじいちゃんに間違われたら子どもがかわいそうよ」


「それは子どもが決めることだよ、かーさん。
そうやって外野がうるさいことが…」


言い終わる前に、いつものように、
高齢の親を持つ子どもの悲哀について、
怒涛の如くトークがはじまった。
いつものことだから、父は耳をふさぎ、
俺は右から左に流し、
母の肉じゃがをおいしく召し上がる。

イマドキ、40で母になるひとだってたくさん居る。
たいへんには違いないが、いろんな年齢のお母さんが
居てアタリマエの世の中になっているのだから、
まわりが不憫がるほうが間違っているんだよ。


「あんた、忘れたの?」


母が目を三角にした。


「幼稚園のとき、
『こんなおばあちゃんみたいなおかあさんはイヤダ!』
って、泣いたのよ、みんなが居るところで」


そうでしたっけ。
記憶にございませんなあ。


たまたまそのときは、同級生に若いお母さんが
多かったようで、俺の母は、30代にして、
俺におばあちゃん扱いされてしまったようだ。
それは確かにショックだよな。
文子先生より少し年上なだけのはずだから。
文子先生はとてもきれいだけど。


そんな20年以上前のことを、昨日のことのように
言い出す母は、ある種もうおばあちゃんだ。
まあ、実際孫が6人居るおばあちゃんだけど。
そんなに居るんだから、これ以上要らないんじゃない?
俺は子どもは好きだけど、別に自分の子でなくても
とてもかわいいと思えるし。

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