せんせい、僕に描き方を教えてください

てるる

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チーム橋詰

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哀れなフラれ男に突然、三角関係が降って湧く、か。
学生時代の素敵な元カノと、子持ちの美人シンママ。

ラストはともかく、過程があまり晴れやかには
ならなさそうだが、読者には受けるかもしれない。

誰が描くか、そんな話。
全然楽しうないわい、描いているほうが、な。


「読むほうはきっと面白いです。
読者のために、描いてみたらどうですか?」


「俺はいい。キミが描け」


そうだよ、テンプレで一度書いてみればいいんだ。


「子どもにはそんなドロドロ荷が重いですよ」


翔が破顔した。
屈託のない笑顔だ。


生徒がこういう顔を見せてくれると、本当に安心する。

ほのぼのした気分で職員室に戻ったら、
文子先生をはじめとする、「副教科」の先生が
ずらりと待ち受けていた。
何かあったのだろうか。
てゆーか、俺、何かやらかした?
とうとう、

「生徒を図書室に連れ込んで
桃色談義に花を咲かす猥褻教諭」

という噂が流れたのだろうか。
背中を嫌な汗が伝う。


「ねえ、工藤先生」


翔の担任の英語教師が口を開いた。


「橋詰翔、どう思います?」


どうって?
俺は何も邪な気持ちなど…


「そのまま就職させるの、もったいないと
思いませんか?」


まだ若いのにきれいに禿げ上がった頭ゆえ、
生徒にはEGGと呼ばれている。
なかなかいいセンスだ。
インテリという意味もあるからな。
その卵氏が続ける。


「橋詰は先生と世界史の勉強を熱心に
やってるみたいだけど、
他の教科もやらせたいんだよね。
大学受験のために」


翔のところは両親ともに大卒で、上のきょうだいふたりは
もう親元を離れており、翔を就職させなくてはいけないような
困窮状態にあるわけでもなく、ただ本人が就職希望している
だけだということを、担任が母親に確認したらしい。
大卒親だから、逆に学歴にこだわらないパターンか。


「このまま成績がトップだと、公立大学の
推薦も狙えると思うの」


文子先生が付け加える。


「だから、進学しても困らない学力を
付けさせたいなと思ってね」


つまり、「チーム橋詰」として副教科の先生一丸となり、
翔を大学に進学させようと企んでいるということか。


もちろん、やぶさかではない。


「で、本人は何と?」


「まだ訊いていません」


ハハハ。


「まあ、そういうことになれば、喜んで
協力させていただきますよ」


俺は快諾した。
願ったり、叶ったり、だ。

そうなると、昼休みも放課後も受験勉強まっしぐら、だな。
ナマイキなひよこ饅頭との創作談義は面白かったから
ちょっと残念だ。
鋭いところを突いてくるから、いろいろ
考えさせられたよ。
身内には誰にも知らせずに、コッソリ自分で
描いているだけだから、顧みる機会なんか
ないからな。
「次のが最高傑作」なわけじゃない。
済んだことはどんどん忘れていってしまうんだ。

終わった恋も忘れてしまえればいいのに。


俺の中でいつまでも終われないからか。
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