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事の発端ですわ!

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私がやっている『何でも屋』の依頼は鳩のジョセフを介して行われる。

今日もジョセフが一通の手紙を持ってやってきた。
その手紙を受け取り、中身を確認すると、

わたくしミリリアン・レイシーとネアンタール王国第1王子アスラ・ネアンタールの婚約をなかったことにしてほしい?」

要約すると、このようなことが書かれていた。

アスラ・ネアンタールとはネアンタール王国第1王子だ。
そう、順当に行けば未来の王様である。

多分、その未来はいくら待っても来ないだろうが。


ミリリアン・レイシーはネアンタール王国の辺境伯で、宮廷での発言力も強い。

ミリリアン。どこかで聞いた気がする名前だ。
まあ、どこかのパーティーか何かで聞いたのだろうが。


続きを読み進めると、

わたくしがアスラ王子と結婚すれば、アスラ王子は王になるでしょう。しかし、アスラ王子は王の器ではないとわたくしは思うのです」
と書かれていた。

確かに言いたいことはわかる。アスラ王子は第1王子という地位にあぐらをかいて全く王とはなんたるかを学ばなかったバカ王子だ。
第1王子であれば自然と王の器が身についているだろうとアホな考えを改めないまま今年18になると思う。
というか、こいつは自分が王の器にふさわしくないことに気づいてないと思う。



「言いたいことは分かるけど、辺境伯の発言力があれば普通に婚約破棄出来ると思うけど…。うーん。この依頼面白そうなんだけど、国の中枢に関わりすぎちゃうな。私の身が危なくなるかも。ただ、最後に書かれている依頼料って普通に暮らせば五年くらいは持つ額よ?経済的皆無の男爵令嬢としては…。まあ、いいや。とにかく、ミリリアン嬢と会って見ましょう!」


そう言って、私は返信をジョセフに持たせる。


☆☆☆☆☆☆☆☆

彼女と会う場所は町の少し高級めな酒場に決まった。
密会するのにはしきりもあるし最適な場所だ。
彼女は頭が切れるという噂だし、ちゃんと場の空気にあった格好で来てくれるだろう。

かくいう私は、短い髪のかつらをかぶり、目が小さく見えるように化粧する。更にお腹周りに布を大量に詰めて、口にわたを詰めた。

飲み食いしなければ問題ない。
酒場だから匂いにつられて飲み食いしたくなるだろうけど、正体がバレたら、一貫の終わりだから仕方ない。





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