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婚約破棄

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「ミリリアン・レイシーーーーーー。第1王子で未来の王であるこの俺様はお前との婚約を今ここで破棄するーーーーー」

会場中の人が一斉にシーンとなる。
何事かと声の主、この金切り声をあげたネアンタール王国第1王子アスラ・ネアンタールを見た。
第1王子で未来の王って聞くと、威厳のある声と体格、そして品格を持っていそうだけど、コイツは真逆。ま・ぎゃ・く。

全く威厳のないか細い声しかあげられず、大声を出そうと思えば金切り声に。体格は貧相で、剣振り回したら骨折しそう。
脳内に詰まって蟹ミソなんじゃないかっていうくらい、あったまスッカラカンのバカ王子。

アスラは隣に震えながら立っている令嬢の肩を抱き寄せながら再び叫ぶ。

「この俺様はーーー、お前のような野蛮な女ではなくーーー、この俺様の隣いるーーー、可憐でお淑やかなーーー、ユア・レーガン嬢を新たな婚約者とするーーー」

応援団の団長かとツッコミを入れたくなるほど、語尾を伸ばす。
そんなに叫ばなくても聞こえていますって。
ついでに会場中の人は俺様と何回連呼すれぼ気がすむんだ!とツッコミたくなったこと間違いなしだ。

ちなみにここで名前の呼ばれた、ユイ・レーガン嬢とは、誰であろうこのわたくしノワール・アルティのことですわ。

バカ王子に隣に立っている悪役令嬢役なんて本名でやるわけないじゃありませんか。

わたくしは今回の依頼も順調に行きそうだとほくそ笑みながら更に追い打ちをかけようとする。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「何をおっしゃっているのかしら?あなた達は」
口裏を合わせている、ミリリアン。

「うるさいわねー。田舎娘。私の方が女としての魅力があるから選ばれたのよ~。嫉妬したって仕方ないんだからねー」

思ったよりも私がバカそうな喋り方をしていたことにミリリアンは少し驚いたように目をみはる。

「そうだぞ。嫉妬なんて見苦しい。お前は田舎にさっさと引っ込め」

「衛兵を呼んでくださいな。付き合ってられません」

「何言ってんのよー。衛兵?私たちが捕まるわけないじゃない」

「勝手に言ってなさい」


そう言ってからすぐに本当にすぐに衛兵が来る。しっかりと手は回している。

衛兵が私を拘束しようと、両脇から掴んでくる。

「汚らしい手で触らないでよー。ねえって!」

と、騒ぎながら、私は引きずられて行く。

そろそろ、宮廷にも報告入っているだろう。

後はなるようになれだ。

視界の隅で第1王子が拘束されているのも見えた。
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