どうやら世間ではウイルスが流行っているようです!!

うさ丸

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03. 集落先住組と移住組のお宅へ

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 「ちょっと待って、コロゆっくり~っ!!」
 今日も朝からいつものコースで愛犬コロ助と散歩中である。本能が目覚めるのか猛スピードで走るコロ助に引っ張られながら散歩をしている。朝が弱い自分にとっては日課となったコロ助との散歩は体力を根こそぎ奪われる。家に着く頃には休憩を挟まないと農作業が出来ない。
 しかし、移住したばかりの頃に比べれば体力と筋力はついたのではないかと自負している。
 舌をペロペロするコロ助、オヤツくれの催促だ。
 俺の手からオヤツを貰い味わうコロ助。この間に畑の雑草取りと水やりを行い、収穫できそうな野菜を選んだ。
 「ピーマンと玉ネギ・・・後は白茄子も食べられそうだな」
 収穫作業をしながら仕分けをした。ご近所に配る野菜を水洗いして綺麗に拭き取った。
 
 「おはよー!!コロ、撫でて良い?」
 元気良く登場したねは西岡鉄也の娘の優子だった。
 「また勝手に・・・」
 確認しながら既にコロ助を撫でている優子。
 「学校はどうしたんだ?」
 都心の影響を受け時短になった学校へ通う子供達。
 「此処にいたのか、行くぞーーー!」
 探しに来た鉄也が声を掛ける。
 「おはようございます、今日も送り向かえ大変ですね」
 「全く面倒だよ」
 疲れの色が顔に出てるのかゲンナリしていた。
 「どうやら時短は小学校だけじゃなく中学校もなったらしいぞ」
 サラっと口にした鉄也。
 「中学校まで?!」
 今回都心で猛威をふるっているウイルスはかなり達の悪いモノのようだ。
 娘の襟首を掴んで車へ押し込み麓の学校へ出発し、その姿を見送った。
 インフルエンザの様に学級閉鎖みたいになるんじゃないか?一抹の不安を抱え仕分けした野菜を配りに行った。
 「おはようございます松井さん、島さん、関山さん」
 「おはよう、この前は野菜ありがとうな」
 彼は松井耕作こうさくさん奥さんと一緒にお米をつくっている米農家さんだ。
 「野菜旨かったよ」
 彼は島ごん造さん奥さんと二人で農家をしている。
 「また収穫したらお願いするよ」
 彼は関山大助、二人の娘さんと一緒に農業をしている奥さんは麓で仕事をしている。
 彼ら三人は集落の人間で移住したばかりにの頃はお世話になっていた。
 三人は旦那さんも奥さんも仲が良いので奥さんだけで井戸端会議をしている姿も見る事もある。
 俺は三人に挨拶を交わし上田家の家へ足を運んだ。
 「おはようございます楓さん、未代さん」
 二人の女性に挨拶をした。
 「あら、おはよう」
 ニッコリと上品な笑顔で返事を返してくれた。
 「いつもありがとう樹くん」
 楓さんの傍にいた未代さんも上品な笑顔を返した。二人は親子で生活している。楓さんはこの集落の人間の中でも最年長な方だ。縁側に腰掛け、娘の未代さんが支えて生活しているのだ。
 楓さんは何処か雰囲気が上品で西洋の貴婦人っというオーラをいつも感じのだ。
 挨拶を済ませ足早に次の家へ向かった。
 「おはようございます杉元さん」
 「あら、おはよう」
 玄関から出てきたのは奥さんのルミさんだった。
 こちらの杉元さんも集落の人間で息子夫婦と一緒に鶏農家をしている。収穫した野菜を配り、簡単な挨拶をしてまた別の家へ向かった。
 「ウチの玉子持っていって」
 お土産に玉子を頂いた。
 別の家へ向かう途中、拓真さんと目が合いドキっとした。移住して約二年、この人だけは苦手だ。集落の人達からも犬猿されている嫌われ者やトラブルメーカーな感じの人だ。
 「ちっ!」
 眉間にシワを寄せ舌打ちされた。
 春日部拓真・・・この人嫌いな人種だと脳内にインプットし、急ぎ次の家へ向かった。
 
 
 次のお宅は自分と同じ移住されて来た方の自宅だ。
 チャイムを鳴らすとパタパタと足早に走って来た。
 「おはようございます」
 軽く挨拶をして野菜を配った。
 「いつもごめんなさいね」
 磯辺家の奥さんのミチルさんが対応してくれた。ご夫婦二人で畑仕事をしながら木材で物造りを兼業している。お宅を訪問すると塗料か薬品の匂いで鼻がムズ痒くなる。
 夫婦で同じ仕事をするって少し羨ましいなと思うが、確か三十代の息子さんが絵描きさんって聞いたな~と思い、急ぎ次のお宅へ向かった。
 ちょうど畑で作業していた沢沼さん夫婦とと会い挨拶を済ませ野菜を配った。
 「ニャ~ン」
 沢田さんが飼っている猫のミミが挨拶をしてくれた。
 可愛い~。ウチのコロ助とまた違った可愛いさでとろけそうだ。ひと撫でして次へ。
 次は相河家へ向かった。
 庭で洗濯物を干していた奥さんに挨拶をし野菜を配った。
 此方は旦那さんが陶芸家で奥さんがブロガーさん。
 ご主人の仕事で移住したのだとか。
 今度のお宅は九条さんのお宅だ。
 「いつも美味しく頂いてます」
 旦那さんのヒロシさんが対応してくれた。
 挨拶もそこそこで急いでお宅へ向かった。
 次はいつもお世話になっている西岡さんのお宅へ向かった。
 「こんにちは」 
 声をかけると奥さんの美咲さんが身重の身体で対応してくれた。聞けば三人目だそうだ。 
 最後は照屋さんのお宅だ。
 こちらはご兄弟で住んでいて、林業を生業している。体格が良い二人だ。自宅は留守の様だったので、メモと一緒に野菜を扉へ置いて帰った。
 鉢合わせにならず良かった。前に宅飲みに誘われ飲まされ二日酔いで苦しんだ事があった酒豪の家。
 ちょっとおっかない照屋家。
 野菜を全て配り終え帰路の途中で小さな人影が見えた。
 「あの子は確か・・・すみれちゃん?」
 九条家の娘さんだった。
 「こんにちは」
 声をかけると驚き走って逃げた。
 ・・・何も逃げなくても。

 自宅に着き留守番をしていたコロ助を捕まえモフモフを堪能すべく捕獲に掛かった。
 「コロ~ただいまぁ~」
 何かを察して逃げるコロ助。
 「コロ助~」
 逃げるコロ助と追いかける俺の攻防をしていると先にコロ助が諦めた。抱きしめモフモフしながらコロ助を愛でる。
 
 「樹くん、今いいかい?」
 訪ねて来たのは集落の村長、日野さんが声を掛けてきた。
 恥ずかしい処を見られてしまい顔が真っ赤に染まめる。
 「・・・えっと、コレは・・・そのぉ~・・・」
 日野さんが何かを察し笑顔を向けた。
 「嗚呼、ゴメンよ邪魔して」
 コロ助をそっと離し日野さんを居間へ招きお茶を出した。
 「それで、どうされたんですか?」
 「うん、実はね・・・」
 
 「え!?うみさんと星さんが来てない??!」
 うみさん・・・青海おうみさんの愛称で長年集落に車両販売をしていた二人組で主に日用品の商品を売っている人達だ。お年寄りの多い集落の人達にとっては片道三十分も掛けて麓へ向かう手間が掛からずに重宝していた。
 「今週一週間待ってたんだけどねぇ~」
 どうしたもんかと悩んだ末に俺の所へ来たのだという。要は若い人に麓まで行って日用品を調達してこいって事か。
 比較的に頼みやすい俺にお鉢が回って来たというコトだ。
 「分かりました、明日の朝に麓へ行って来ます。ついでにうみさんのコトも市役所で聞いてみますよ」
 その言葉を聞き明るくなった日野さん、さっきまでの暗い表情が嘘みたいだ。
 まぁ~明日も畑仕事かパソコンでネット開くかだし・・・いっか。

 明日の朝は麓で日用品購入と市役所行き決定となりました・・・とさ。
 
 
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