どうやら世間ではウイルスが流行っているようです!!

うさ丸

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014. 忍び寄る影!

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 集落の直ぐ側にある山、人の手が入っていない場所は雑草が伸びきり行く手を阻む。山であるからして野生動物も生息している筈なのだが約二年前から生き物の姿を見なくなった。
 そんな静かな山から大きな音が響き渡った。
 「オイ、今の音!」
 発砲音ーーー。
 「堀さんだ!!」
 西岡さんと顔を見合せ音のした方向に走り出した。

 一本の猟銃が火を吹いた。

 弾丸が発射され目標物に命中した。
 「大丈夫かぁ?!」
 「シゲ・・・爺・・・」
 「お前、西岡ん処の娘か?!!」
 近づき優子の無事を確認した。
 「一人で山に来たのか?鉄也はどうした?」
 知り合いの顔を見て涙が溢れ流れた。
 「シバ爺・・・コロが・・・コロが動かないよ」
 コロ助が優子の腕の中でグッタリしていた。
 「コロッ!!」
 堀さんは優子とコロ助の心配をするなか、飼い犬のハルだけは違った。
 「ウウウーッ!!!」
 ハルが唸り声を上げた。
 それに気がついた堀さんは持っていた猟銃を構え直した。
 「優、立って歩けるか?」
 ささやくように小さな声で話したが恐怖で足がすくんで動けず首をブンブンと左右に降った。
 何度か立ち上がろうとしたがやはり足に力が入らず動けなかった。
 
 「ガウガウッ!!」
 ハルが吠えた。
 殆ど吠えたコトが無い温厚な犬だったハルが今は別の犬かと思う程、目の前のソレに吠え続けた。
 弾丸を浴びたソレは一度身体をヨロケたが体勢を戻して、何も無かった様にまた身体を揺らし動き近づいて来た。
 「なっ何なんだ、ありゃぁ?」
 「バウバウッ!!」
 「くぅっ!!」
 
 ドォーーーンッ!!!

 猟銃から二発目の弾丸が放たれた。
 発砲音に驚き優子は片手で耳を抑えた。
 「キャァッ!!」

 二発も弾丸を発射し空になった容器を取り出し弾丸を混め直した。
 二発の弾丸を浴びたソレは地面に倒れた。
 狩猟を生業にしていた堀さんは息があるかの確認をするべく銃を構えながら近寄った。足で二、三回蹴り反応が無いコトを確認した。
 「こりゃあ~、一体何なんだ?」
 見たことがない生物、としか表現出来ない。
 上から下までソレの姿を焼き付けるかの様に、その姿をマジマジと確認する堀重文だった。
 人生八十年、集落で暮らしてきたが初めて目にする生き物だった。暗がりでよく分からないが、その姿は人の姿によく似ていた。
 「シゲ爺!」
 「お前はそこから動くな。今、鉄のヤツを呼んで・・・」
 スマホで連絡しようと懐に手を入れようとした時、最初に気づいたのはハルだった。
 「バウッ!!」
 二発の弾丸を浴び倒れたと思ったソレは動き出した。
 息が無いと思い銃を下げた処を狙われた。堀重文もコロ助と同じくはね除けられ、その場に尻餅をつき持っていた銃が手元から地面に落ち遠ざかった。
 「しまった、銃が!!」
 ソレはまた身体を揺らしながら近寄ってきた。
 自分がどうなってもこのは守らねばと堀重文は銃を取り戻すべく迷わず行動した。
 堀重文は走った!!
 銃を手にしソレに向かって構えるより、ソレの動きの方が早かった。堀重文を、猟銃で挟んでのし掛かる形で襲い掛かった。
 「クソッたれがぁ!!!」
 「シゲ爺!!」
 「お前は来るな、逃げろっ!!」
 コロ助を抱いた優子が近寄ろうとしたが堀重文は逃げる様に指示を出すが自力で動くコトが出来ずにいた。少しずつ体重を乗せてくるソレから逃げるコトが出来ずに力負けするのも時間の問題だった。
 「クソ・・・」
 諦めかけた、その時ーーー。
 何処からか飛んで来た石の破片がソレの身体に命中した。
 「当たった!」
 学生時代は野球一筋だった西岡鉄也が投げた石の破片は難なく命中した。
 「お前らぁ、その子連れて逃げろぉ!!」
 俺と西岡さんの姿を見つけ声を張り上げた。
 「でも・・・」
 
 俺は考えた。
 「西岡さん、優子ちゃんを連れて堀さんと逃げて下さい」
 「は?」
 ゴクリと生唾を飲み、深く深呼吸し覚悟を決めた。
 「優ちゃーん!!・・・コロを、頼んだよ!」
 
 俺は西岡さんの手から鉈を奪い持っていた鎌を投げつけた。西岡さんのようにしっかり当たるコトはなく身体にチョンと当たっただけだが二度目という事もあり注意を引くコトには成功した。
 堀さんにのし掛かっていたソレは俺の方を向いた。
 「そうだ、コッチだ!!」
 鉈で木を叩き、わざと音を立て近寄って来たのを確認すると俺は走った。それに釣られたソレは俺を追いかけた。
 「樹!!」
 「あんのバカ野郎がぁ!!」
 堀重文は田中樹の取った行動に対し怒った。
 老い先短い年寄りの自分が生命を駆け若者を生かそうとしたというのに樹の取った行動は許しがたいモノだった。
 銃の弾を確認すると樹を追いかけようとしたが西岡さんが止めた。
 「何処行くんだよ!」
 「仕留めるんだよ、今度は蜂の巣にしてやる!!」
 強く意気込んだものの、腰に痛みが走った。
 「フグッ、イタタ・・・ッ!!」
 「重さん、大丈夫か?!」
 地面に倒れた最に腰を打ち痛めたようだ。
 「これ位・・・何てこと、ウグッ!」 
 「無理すんなって!!」
 心配をする鉄也さんに娘の元に行くよう指示を出した。
 「優、大丈夫か?!」
 娘に近寄り無事を確認した。
 「オイ、急いで集落に戻るぞ!!」
 「樹は、あいつはどうするんだよ?!」
 「もっと武器がいるし、俺達だけじゃ無理だ!」
 人手が必要と判断し堀重文は西岡鉄也の肩を借りて山を降りた。
 「でも、皆には何て説明すれば・・・?」
 「皆には、熊が出たとでも言えば良い」
 熊?!
 そんなんで大丈夫だろうか?と思った西岡鉄也だった。何十年と昔、三メートルはあるだろう大型サイズの熊が発見された事があり猟流会が一週間以上駆けて仕留めた人喰い熊がいた事件があり当時は騒がれたらしい。
 「人喰い熊って言えば取り敢えず、大丈夫だろ」
 兎に角、人手が必要だ!急いで集落の人間に伝えて、あいつを探してもらわにゃぁ~・・・。

 
 その頃の俺は鬱蒼とした雑草林を走っていた。
 伸びた蔦や泥溜まりに足を取られそうになっても走り続けた。走った最にあちこち切り、切り傷や擦り傷だらけになっても気にする暇はなかった。注意を引き付けたが俺を追いかけて来る。
 (早いヤツだ!)
 コロ助の散歩で大分体力が付いたが追いつかれるのも時間の問題だ。そもそも俺、根っからの帰宅部で運動オンチだぞ!!全力疾走なんて学生時代の運動会以来だ。
 久しぶりに全力疾走をして、息も上がり心臓が痛い。
 だか俺だって無作為に引き付けた訳じゃない、考えがあって囮役を勝手出たんだ。
 (もう少し、もう少し・・・)
 「見えた!」
 俺が走った先にあったのは何十年も前に空き家となり使われなくなった場所だ。空き家と言っても村長や集落の人達が定期的に手入れをしているお陰で多少傷んだ所はあるものの建物として残っている場所エリアだった。
 悩んでいる時間はなかった。俺を追うソレは直ぐ後ろに迫って来ている。目に付いた一軒の空き家に入った。
 鍵が掛かっているんじゃないかと不安だったが簡単に戸は開いた。
 (此処に隠れてやり過ごそう・・・)
 音を立てない様に床を踏み隠れられそうな場所を探した。
 押し入れ、クローゼットの中、風呂場・・・。
 何処に身を潜めようかと考えていると大きな破壊音が聞こえて来た。
 
 ガシャーーーンッ!!!

 (入って来た!!)

 「クソッ!!」
 少しでも時間稼ぎが出来たらと思い、部屋にあった手近な物で入りにバリケードを作って凌ぐことにした。

 「こんな処でくたばってなるか!!」
 持っていた鉈を強く握り、その時に備えた。
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