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III プレ女王国連合の成立
そうだっ聖都へ行こう!8 魔ローダー蛇輪とセレネVS金輪と桃伝説の戦い
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カキーーン!! コキーーーーン!!
邪叛モズが搭乗した魔ローダー・桃伝説が必死に剣を振り続けるが、全て兎幸の搭乗する魔ローダー・蛇輪の周囲に浮遊する攻防一体の魔ローンがことごとく弾き返して行く。
「だはははははは、何この子凄いダサい!! 隙を見て胸を突いちゃおうカナ~~~」
片手でお菓子を食べ、片手で操縦桿を握る兎幸が素早く尖った指先で桃伝説を突こうとするが、邪叛モズがぎりぎり寸前で避ける。
「危ないですね……剣が効かず、いきなり尖った手刀で突くとか悪役丸出しではないですか」
邪叛モズは一旦距離を置く。
「なんだーーー、いきなり襲い掛かって来て逃げちゃうのか! んじゃ砂緒を探そうっと!」
あっさりくるりと背中を向ける蛇輪を見て、桃伝説に乗るモズが戸惑う。
「がんばってーーー! 瑠璃ィ様そんなヤツやっつけて!!」
「そうだそうだ!! 瑠璃ィさまの桃伝説は無敵だっ!!」
「がんばれっがんばれっ!!」
聖都のナノニルヴァの宮周辺の住民が度ピンクの魔ローダー・桃伝説に瑠璃ィキャナリーが搭乗していると思い込み手を振り声援を送る。瑠璃ィは地元では人気があるようだ……
「なんと有難い声援……瑠璃ィ様の名を汚す訳にはいかん!! そこの賊まてい!!」
「えーーー? 放って置いてやろうと思ったのに!! バカー!!」
呼び止められて兎幸が再び桃伝説に向き直す。とその場面を丁度そこに到着したばかりの魔輪に乗った砂緒とセレネが目撃していた。
「ご近所さま方の大声援が……あちゃーーー酷い悪役扱いじゃないですか」
砂緒が頭を抱える。
「そりゃなあ……形的には正体不明のこっちが突然他国の領土に侵入してる訳だからなあ」
「なあじゃないでしょ、なんとかしないと兎幸がやられてしまう!」
「いや……むしろ兎幸先輩の方が押している様に見えるが……」
確かにセレネの言う通り、攻防一体のUFO魔ローンを周囲に配置する蛇輪の方が余裕があり、剣などリーチのある武器があれば完全に桃伝説を圧倒する勢いに見えた。
ガシャンガシャンガシャンガシャン!!
桃伝説が再び剣を構え、蛇輪に対してどの様に攻撃を加えようか思案している場面で、突如もう一体の魔ローダーが蛇輪の後ろから現れた。貴城乃シューネが搭乗する金輪だった。
「おおっ今度は金輪だっ! 旗機の魔ローダーが二体も!?」
「紅蓮さまかっ!?」
「ありがたやありがたやっ!!」
近隣住民のお婆さんが思わず涙を流しながら手を合わせる。遅れて現れた魔ローダーは、二十五Nメートルの全身の装甲全てがぴかぴかの黄金色だった……その姿はなんとか観音とかのレベルで神々しかった。
「うはっ何かド派手なのがまた来たよ!!」
兎幸が前と後ろをキョロキョロする。
「モズ遅れて済まない!」
「おおシューネ様有難い!! おかしな物体に攻めあぐねていた所なのです」
「何あれ……どピンクの次は全身金ぴかって、神聖連邦のセンスが恐ろしいわ」
「いや全身銀色鏡面仕上げの蛇輪も似た様な物でしょう。外見の話よりももう一体増えたらヤバいでしょう。今度こそ兎幸を助けないと!」
「そうだな……」
全て二十五Nメートル程度の巨大な魔ローダー達を、怪獣映画の一場面を見る様に見上げる砂緒とセレネが兎幸を心配する。
「だがおかしな麻痺術を掛けられて体調が万全では無い。スキルは使えないが剣は使える、同時飽和攻撃でやろう! それで絶対服従を浴びせるんだ!」
シューネは言い終わると、柄だけでは無く刀身まで黄金の剣を二本抜いた。
「ふむふむ分かりましたぞ! ではっ!!」
蛇輪を前後から挟む様に金色の金輪と、どピンクの桃伝説が襲い掛かる。蛇輪の周囲を浮遊する魔ローンは三つで、金輪の二本の剣と桃伝説の剣の対応で魔ローンが手一杯になる。
カキーンコキーーーンガッ カキーーーン!!
「なんだこいつらーーー女の子に向かって二対一なんてずるいぞ! 腹立って来たーーー!!」
「今ですっ!! 絶対服従!!」
片手で剣を振り回す桃伝説が突然掌をかざし、魔ローダースキル絶対服従のピンク色の玉を放出する。片手で抱えていたコンテナを急いで地面に置く兎幸。
「まただっ! 何だこれっ!! なんか当たったらヤバいヤツ? きっと当たったらエロい気持ちになるヤツだな……色からしてそんな感じだぞっ!」
兎幸が本能で危険を察知して、一見ふざけたポーズで必死にピンク色の玉をひょいひょい避け続ける。
「本当に兎幸がヤバイです! セレネいつもみたいにピョンピョン飛んで早く蛇輪に乗って下さい!!」
「めちゃくちゃ言うなお前……」
「お願いします、こんな事頼めるのは大好きなセレネさんしかいません! 早く……」
「じゃあいってらっしゃいのキスしよっんーーー」
激しい魔ローダー同士の攻防の下、突然セレネが目をつぶりキスをせがむ。
「セレネそんな性格でしたか? 今はそんな事してる場合では無いでしょう……」
砂緒はセレネの肩に手を置いて、くるりと眼前で戦う魔ローダー達に向かわせる。
「……あたしの事、利用してるだけじゃないよな?」
「当たり前でしょう、今日のセレネは変ですよ! アレが無いと帰れませんよっ!」
セレネは少し不服の顔のまま前を向くと、たたっと走りだしすぐに砂緒の動体視力では捉えられない程の速さになり、いつもの様に建物の屋根や街灯の上をピョンピョン飛んで、遂に金色の魔ローダーの胸辺りに突然飛び出す。魔ローンとの戦闘中の視界中央に突然人間が現れて驚くシューネ。
「何っ!? 人間だと?? 紅蓮様と同じくらいの体術!!」
「アイスベルクッ!!」
シューネの驚愕など露知らず、セレネの掌から氷結魔法が放出され金輪の頭が完全に凍り付く。魔ローダーには魔法攻撃は効果は無いが、物理的に視界を遮り首の自由が利かなくなる。
「なんだっ!? 目の前が見えん」
「次っ!!」
セレネはたんっと金輪の胸を蹴ると、真ん中に立つ蛇輪の頭を蹴り、一瞬で桃伝説の前に飛び出ると再び魔法を放った。一連の出来事は全て一瞬で起こった。
「アイスベルクッ!!」
「何っ!? 何が起こった??」
しかし一瞬で起こった事を理解した邪叛モズが、剣の柄で氷付いた自らの機体の頭を殴りに掛かり、シャリシャリと簡単に砕け始める氷。
「やべっ、早くしないと」
セレネは今度は桃伝説を蹴ると、両手で蛇輪の胸に鉄棒の様にぶら下がる。
「兎幸先輩!!」
「ほい来た!!」
バシャッ!!
兎幸がセレネに気付き、複座の上のハッチを開ける。飛び跳ねたハッチごと吹き飛びかけるセレネだが、器用にハッチの端にぶら下がり、体操選手の様にぴょいっと座席に入り込む。
「あうっ兎幸先輩、そこはあたしの席! 下に行って下さい」
「えーーっめんどくさいなあ」
等と言いながらシャッターを開け下の操縦性に移る兎幸。それと同時に前後の魔ローダーが剣で氷を叩き割り戦闘に復帰する。
「ふざけた真似を! 目隠して何を?」
「シューネ様、先程と同じ落ち着いて行きましょう、こちらが有利なのは違いありません!」
金輪と桃伝説が気持ちを落ち着かせ、再び前後から挟み撃ちに掛かる。
「兎幸先輩は飛んでるヤツに集中して下さい。何もしないで下さい、この二対は私が倒します!」
「えーーーなんか偉そうだなあ、でもカワイイから許すっ! やっちゃってセレネ!!」
蛇輪は手刀を構え、前に立つ桃伝説に何時でも打ち込める構えを見せる。突然セレネが叫ぶ。
「兎幸先輩! わざと後ろの剣を一本見逃して下さい!」
「ひゃっ?」
手刀を浴びせようとする蛇輪の後ろから、金輪が二本の剣で襲い掛かる。セレネの言葉通り、兎幸は普段は自動で機体を守る魔ローンの一体を意図的にズレた動きをさせた。その隙を見逃さず襲い掛かる金輪。
「ふっ! しめたっ後ろががら空きだっ!!」
バシッッ!!
「何っ!?」
突然蛇輪が綺麗に足が伸びきった後ろ蹴りで、剣を掴む金輪の手首を蹴り上げ、黄金の剣を一本弾き飛ばす。くるくると回転する剣を軽くジャンプして器用に掴み取る蛇輪。
「何だ……さっきまでと動きがまるで違う……」
「はいはい、今度はこちらから行きますよー!」
すたたっと軽いステップで走り出した蛇輪が凄まじい動きで剣を繰り出す。
「何!? 動きが見えん!?」
優れた家臣でも剣士としてはセレネに数段劣るシューネは全く動きに追い付けない。
「はい、ここまでっ!!」
シュバッ!!
セレネがあっさりと金輪の残った剣を握る手首を斬り落とす。
「ぐあっしまったッッ!!」
「シューネさまっ!! なんという事だ、待ってて下さい!」
シューネの危機に桃伝説が両手で剣を振りかぶって襲い掛かる。
「遅いっ!!」
すぐにくるりと反転した蛇輪が軽く身を屈めて桃伝説の剣をかわすと、その剣攻撃を掻い潜る様に片手で軽く剣を振るい、桃伝説の剣を握った両手をあっさり斬り落とす。
「がーーーーーーっ!? 強いっ何者??」
「なんだ見かけ倒しかよ……弱いな。まーーーいーーやーー、砂緒でも回収するか」
「今ですね」
倒れた二体の魔ローダーの様子を見て、奇しくも二人は同じ事を考え、必死に魔輪を押してコンテナの元に向かう砂緒。
「何ですかこれ、魔力が無いとすっごく重いのですけど」
さらにその砂緒の様子を見て、コンテナの蓋を外側から開けるセレネ。
「ぎゃーーー蓋が開いた!? セレネさまですか??」
「セレネちゃん!? 一体何が??」
コンテナの中の猫弐矢と伽耶が慌てふためく。
『砂緒、魔輪ごと掴むから乗って!!』
「ええ?? 強引ですね」
砂緒は慌てて魔輪にまたがると、直後にひょいっと蛇輪の巨大な指先で魔輪ごと掴まれ、コンテナに放り込まれた。
邪叛モズが搭乗した魔ローダー・桃伝説が必死に剣を振り続けるが、全て兎幸の搭乗する魔ローダー・蛇輪の周囲に浮遊する攻防一体の魔ローンがことごとく弾き返して行く。
「だはははははは、何この子凄いダサい!! 隙を見て胸を突いちゃおうカナ~~~」
片手でお菓子を食べ、片手で操縦桿を握る兎幸が素早く尖った指先で桃伝説を突こうとするが、邪叛モズがぎりぎり寸前で避ける。
「危ないですね……剣が効かず、いきなり尖った手刀で突くとか悪役丸出しではないですか」
邪叛モズは一旦距離を置く。
「なんだーーー、いきなり襲い掛かって来て逃げちゃうのか! んじゃ砂緒を探そうっと!」
あっさりくるりと背中を向ける蛇輪を見て、桃伝説に乗るモズが戸惑う。
「がんばってーーー! 瑠璃ィ様そんなヤツやっつけて!!」
「そうだそうだ!! 瑠璃ィさまの桃伝説は無敵だっ!!」
「がんばれっがんばれっ!!」
聖都のナノニルヴァの宮周辺の住民が度ピンクの魔ローダー・桃伝説に瑠璃ィキャナリーが搭乗していると思い込み手を振り声援を送る。瑠璃ィは地元では人気があるようだ……
「なんと有難い声援……瑠璃ィ様の名を汚す訳にはいかん!! そこの賊まてい!!」
「えーーー? 放って置いてやろうと思ったのに!! バカー!!」
呼び止められて兎幸が再び桃伝説に向き直す。とその場面を丁度そこに到着したばかりの魔輪に乗った砂緒とセレネが目撃していた。
「ご近所さま方の大声援が……あちゃーーー酷い悪役扱いじゃないですか」
砂緒が頭を抱える。
「そりゃなあ……形的には正体不明のこっちが突然他国の領土に侵入してる訳だからなあ」
「なあじゃないでしょ、なんとかしないと兎幸がやられてしまう!」
「いや……むしろ兎幸先輩の方が押している様に見えるが……」
確かにセレネの言う通り、攻防一体のUFO魔ローンを周囲に配置する蛇輪の方が余裕があり、剣などリーチのある武器があれば完全に桃伝説を圧倒する勢いに見えた。
ガシャンガシャンガシャンガシャン!!
桃伝説が再び剣を構え、蛇輪に対してどの様に攻撃を加えようか思案している場面で、突如もう一体の魔ローダーが蛇輪の後ろから現れた。貴城乃シューネが搭乗する金輪だった。
「おおっ今度は金輪だっ! 旗機の魔ローダーが二体も!?」
「紅蓮さまかっ!?」
「ありがたやありがたやっ!!」
近隣住民のお婆さんが思わず涙を流しながら手を合わせる。遅れて現れた魔ローダーは、二十五Nメートルの全身の装甲全てがぴかぴかの黄金色だった……その姿はなんとか観音とかのレベルで神々しかった。
「うはっ何かド派手なのがまた来たよ!!」
兎幸が前と後ろをキョロキョロする。
「モズ遅れて済まない!」
「おおシューネ様有難い!! おかしな物体に攻めあぐねていた所なのです」
「何あれ……どピンクの次は全身金ぴかって、神聖連邦のセンスが恐ろしいわ」
「いや全身銀色鏡面仕上げの蛇輪も似た様な物でしょう。外見の話よりももう一体増えたらヤバいでしょう。今度こそ兎幸を助けないと!」
「そうだな……」
全て二十五Nメートル程度の巨大な魔ローダー達を、怪獣映画の一場面を見る様に見上げる砂緒とセレネが兎幸を心配する。
「だがおかしな麻痺術を掛けられて体調が万全では無い。スキルは使えないが剣は使える、同時飽和攻撃でやろう! それで絶対服従を浴びせるんだ!」
シューネは言い終わると、柄だけでは無く刀身まで黄金の剣を二本抜いた。
「ふむふむ分かりましたぞ! ではっ!!」
蛇輪を前後から挟む様に金色の金輪と、どピンクの桃伝説が襲い掛かる。蛇輪の周囲を浮遊する魔ローンは三つで、金輪の二本の剣と桃伝説の剣の対応で魔ローンが手一杯になる。
カキーンコキーーーンガッ カキーーーン!!
「なんだこいつらーーー女の子に向かって二対一なんてずるいぞ! 腹立って来たーーー!!」
「今ですっ!! 絶対服従!!」
片手で剣を振り回す桃伝説が突然掌をかざし、魔ローダースキル絶対服従のピンク色の玉を放出する。片手で抱えていたコンテナを急いで地面に置く兎幸。
「まただっ! 何だこれっ!! なんか当たったらヤバいヤツ? きっと当たったらエロい気持ちになるヤツだな……色からしてそんな感じだぞっ!」
兎幸が本能で危険を察知して、一見ふざけたポーズで必死にピンク色の玉をひょいひょい避け続ける。
「本当に兎幸がヤバイです! セレネいつもみたいにピョンピョン飛んで早く蛇輪に乗って下さい!!」
「めちゃくちゃ言うなお前……」
「お願いします、こんな事頼めるのは大好きなセレネさんしかいません! 早く……」
「じゃあいってらっしゃいのキスしよっんーーー」
激しい魔ローダー同士の攻防の下、突然セレネが目をつぶりキスをせがむ。
「セレネそんな性格でしたか? 今はそんな事してる場合では無いでしょう……」
砂緒はセレネの肩に手を置いて、くるりと眼前で戦う魔ローダー達に向かわせる。
「……あたしの事、利用してるだけじゃないよな?」
「当たり前でしょう、今日のセレネは変ですよ! アレが無いと帰れませんよっ!」
セレネは少し不服の顔のまま前を向くと、たたっと走りだしすぐに砂緒の動体視力では捉えられない程の速さになり、いつもの様に建物の屋根や街灯の上をピョンピョン飛んで、遂に金色の魔ローダーの胸辺りに突然飛び出す。魔ローンとの戦闘中の視界中央に突然人間が現れて驚くシューネ。
「何っ!? 人間だと?? 紅蓮様と同じくらいの体術!!」
「アイスベルクッ!!」
シューネの驚愕など露知らず、セレネの掌から氷結魔法が放出され金輪の頭が完全に凍り付く。魔ローダーには魔法攻撃は効果は無いが、物理的に視界を遮り首の自由が利かなくなる。
「なんだっ!? 目の前が見えん」
「次っ!!」
セレネはたんっと金輪の胸を蹴ると、真ん中に立つ蛇輪の頭を蹴り、一瞬で桃伝説の前に飛び出ると再び魔法を放った。一連の出来事は全て一瞬で起こった。
「アイスベルクッ!!」
「何っ!? 何が起こった??」
しかし一瞬で起こった事を理解した邪叛モズが、剣の柄で氷付いた自らの機体の頭を殴りに掛かり、シャリシャリと簡単に砕け始める氷。
「やべっ、早くしないと」
セレネは今度は桃伝説を蹴ると、両手で蛇輪の胸に鉄棒の様にぶら下がる。
「兎幸先輩!!」
「ほい来た!!」
バシャッ!!
兎幸がセレネに気付き、複座の上のハッチを開ける。飛び跳ねたハッチごと吹き飛びかけるセレネだが、器用にハッチの端にぶら下がり、体操選手の様にぴょいっと座席に入り込む。
「あうっ兎幸先輩、そこはあたしの席! 下に行って下さい」
「えーーっめんどくさいなあ」
等と言いながらシャッターを開け下の操縦性に移る兎幸。それと同時に前後の魔ローダーが剣で氷を叩き割り戦闘に復帰する。
「ふざけた真似を! 目隠して何を?」
「シューネ様、先程と同じ落ち着いて行きましょう、こちらが有利なのは違いありません!」
金輪と桃伝説が気持ちを落ち着かせ、再び前後から挟み撃ちに掛かる。
「兎幸先輩は飛んでるヤツに集中して下さい。何もしないで下さい、この二対は私が倒します!」
「えーーーなんか偉そうだなあ、でもカワイイから許すっ! やっちゃってセレネ!!」
蛇輪は手刀を構え、前に立つ桃伝説に何時でも打ち込める構えを見せる。突然セレネが叫ぶ。
「兎幸先輩! わざと後ろの剣を一本見逃して下さい!」
「ひゃっ?」
手刀を浴びせようとする蛇輪の後ろから、金輪が二本の剣で襲い掛かる。セレネの言葉通り、兎幸は普段は自動で機体を守る魔ローンの一体を意図的にズレた動きをさせた。その隙を見逃さず襲い掛かる金輪。
「ふっ! しめたっ後ろががら空きだっ!!」
バシッッ!!
「何っ!?」
突然蛇輪が綺麗に足が伸びきった後ろ蹴りで、剣を掴む金輪の手首を蹴り上げ、黄金の剣を一本弾き飛ばす。くるくると回転する剣を軽くジャンプして器用に掴み取る蛇輪。
「何だ……さっきまでと動きがまるで違う……」
「はいはい、今度はこちらから行きますよー!」
すたたっと軽いステップで走り出した蛇輪が凄まじい動きで剣を繰り出す。
「何!? 動きが見えん!?」
優れた家臣でも剣士としてはセレネに数段劣るシューネは全く動きに追い付けない。
「はい、ここまでっ!!」
シュバッ!!
セレネがあっさりと金輪の残った剣を握る手首を斬り落とす。
「ぐあっしまったッッ!!」
「シューネさまっ!! なんという事だ、待ってて下さい!」
シューネの危機に桃伝説が両手で剣を振りかぶって襲い掛かる。
「遅いっ!!」
すぐにくるりと反転した蛇輪が軽く身を屈めて桃伝説の剣をかわすと、その剣攻撃を掻い潜る様に片手で軽く剣を振るい、桃伝説の剣を握った両手をあっさり斬り落とす。
「がーーーーーーっ!? 強いっ何者??」
「なんだ見かけ倒しかよ……弱いな。まーーーいーーやーー、砂緒でも回収するか」
「今ですね」
倒れた二体の魔ローダーの様子を見て、奇しくも二人は同じ事を考え、必死に魔輪を押してコンテナの元に向かう砂緒。
「何ですかこれ、魔力が無いとすっごく重いのですけど」
さらにその砂緒の様子を見て、コンテナの蓋を外側から開けるセレネ。
「ぎゃーーー蓋が開いた!? セレネさまですか??」
「セレネちゃん!? 一体何が??」
コンテナの中の猫弐矢と伽耶が慌てふためく。
『砂緒、魔輪ごと掴むから乗って!!』
「ええ?? 強引ですね」
砂緒は慌てて魔輪にまたがると、直後にひょいっと蛇輪の巨大な指先で魔輪ごと掴まれ、コンテナに放り込まれた。
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