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III プレ女王国連合の成立
トリッシュ国陥落 中 リュフミュランメンバー集合!
しおりを挟むシュンッッ!!
何度か瞬間移動(短)を繰り返し、ココナツヒメのル・ワンと生き残ったシャクシュカ隊Ⅱのレヴェル二機がサッワの前に姿を現した。
バシャッ
サッワのレヴェルのハッチが開いた。
「ココナツヒメさま申し訳ありません! どの様な罰も受けます……」
サッワが直にル・ワンに向かって頭を下げた。
「そんな事はもうどうでもいいわよ……ミリアが消えたポイントを教えなさい!!」
ココナツヒメもハッチを開けて機体同士を接近させて直接会話した。
「あ、ああ、そうでした!! 今送ります……」
「座標来たわ、じゃあ見て来るから、待機してなさい」
シュバッ!!
ココナツヒメは間を置かず、すぐさま瞬間移動でミリアが向かったポイントに移動した。
五分もする事無くココナツヒメは戻って来た。
「お帰りなさいませ、ココナツヒメさま!!」
「で、ミリアは??」
戻って来たココナツヒメにサッワ達がすぐさま聞いた。
「……ミリアの機体は破壊されていて、操縦席には遺体の一部があったわ。状況的にミリアは撃破されたのでしょうね……それだけよ」
ココナツヒメは淡々と答えた。
「ううっミリア……」
「うっっうっ……」
生き残った美女二人は相次ぐ仲間の撃破に涙した。そしてココナツヒメの操縦席の後ろでクレウはずっと黙ってフルエレを殺しかねない状況だった事に戦慄していた。
「申し訳ありませんココナツヒメさま、一体……」
「もういいわよ。それよりも早く帰るわよ、帰って作戦を立て直しましょうか」
ココナツヒメは長い髪をけだるくかき上げた。クレウは黙ってそれを後ろからじっと見ていた。
「はい!!」
サッワ達はハッチを閉めると円陣を組み手を合わせ、シュンッと消えた。
城壁外でココナツヒメ達を取り逃がしたY子達は一時ぼーっと立ち尽くしていたが、直ぐにメランに魔法秘匿通信を行った。
『メラン、敵魔呂三機取り逃がしたわ……』
『半透明は?』
『その半透明が瞬間移動して逃げてったの』
『あー~~で、どうするの?』
メランは頭を抱えた。
『折角南面に来たから、こっから城壁を越えて中に入り、中心の城まで行ってみる。上手く行けばイェラ達と合流出来て共同で城を落とすわ!!』
急にスパルタンになったY子にメランが驚く。
『えっY子さんもしかして魔呂で城をぶっ潰すおつもり? そんな事してもミミイは喜ばないですよ』
『……そんな事する訳無いでしょう、砂緒じゃあるまいし。あくまで威圧するだけだっ!!』
砂緒の名誉の為に書けば、砂緒は城壁や壁を壊したりするが、魔呂で城を破壊した事は無い。むしろ雪乃フルエレこそカッとなってリュフミュランの王様の頭上に突きを食らわした事を彼女自身もう忘れている……
『誰もいない様だな、本当に一部の兵達だけで東面を守っていたという事か。行くぞっ!!』
『ハッ!!』
Y子のル・ツーがよっこらしょっと城壁を乗り越えると、続けて五機のSRVも後に続いた。
ドンドン!! ドーンドーン!!
『何だ??』
『敵襲か??』
『大した敵では無い、無視しよう。敵兵に告ぐ、外で城壁を守っていた敵魔呂は全て撃破した! もはや外からの救援は無いぞっ!! これより中心の城に向かう、歯向かう者は容赦なく踏み潰す!!』
Y子は途中までは魔法秘匿通信で僚機に伝達していたが、途中からは魔法外部スピーカーに切り替えて攻撃を加えて来ていた少数の敵兵に警告を発した。もちろん踏み潰すつもりなど毛頭無かったが。
『よし、行くぞっ!!』
『はいっ!!』
Y子のル・ツーと五機のSRVはそのまま構わず中心の城に向かって進み始めた。
―東面で市街地を掃討していたイェラ達の本隊。
「イェラ様、敵の抵抗をほぼ制圧致しました! もはや組織的な抵抗は無く、このまま真っすぐに中心の城まで行くルートが確保されました」
身体を地面に強打して休息をとっていたイェラに各部隊の隊長達が報告した。
「うむ、では魔戦車を先頭に一気に中心の城前の堀まで進むぞ! そこで体制を立て直して遂に城攻めだっ!!」
「ハイッ!!」
「ハッ!」
イェラは魔戦車の上に腰を掛け、それに続き数は減ってしまったが約一万の大軍が次々と中心の城に向かって進軍を開始した。この中部小国群、Sa・ga地域最東端のトリッシュ王国の王城は、一応大国であるリュフミュランの王城や旧盟主ニナルティナのハルカ城などに比べても遥かに小さく脆かった。一万もの兵や魔戦車で力押しをすれば簡単に落ちる様な城であった。外側の魔ローダーを撃退し惣構えの城壁を突破した時点で既に勝敗は決していたと言える。
その中心の城の堀の前。
「うーーん、なんだか爆撃は止みましたし、市街地での戦闘音も消えましたし、私達ここでぼーっとしてても良いのでしょうか?」
「じゃ、帰りなさいよ!」
砂緒がぼそっと言った言葉に、即座に半泣きのカレンが言い返す。
「おお、なんとも気丈な乙女ですね、わかりました嫁にしてあげましょう」
「いい加減この縄を解け変態!!」
爆撃が止んだ後、衣図ライグはカレンを地面に置いたので、彼女は芋虫の様にぐるぐる巻き状態のまま暴れまくった。
「俺達トンネルまで掘って潜入したのってあんま意味なかったなあ」
衣図ライグが地面で暴れるカレンを細い目で眺めながら頭を掻いて言った。
「何を仰る? 衣図ライグがトンネルで潜入したからこそ、私と再会出来てさらにこの少女の命を守る事が出来たのですぞ。これだけの数の野郎どもが一人の少女の命を救った、なんともロマンチックだと思いますが」
突然砂緒が思いがけず真面目な事を言い出して衣図ライグが砂緒の額に手を置いた。
「病気でも熱でもありません。不気味な事しないで下さい」
ガガガガガガガガ
等と無駄話をしている内にイェラ達の大軍が砂緒達の前にぞくぞくと現れた。完全に放置されたカレンは亀の様に顔を持ち上げて大軍の到来に驚くと同時に、市街地で命を落とした自国の兵達の事を想い悲しんだ。
「おおーーい、砂緒、衣図ライグさん」
魔戦車の上でイェラが大きく手を振った。
「おおお、イェラ無事でしたか!? 先程市街地に向けて砲弾が飛んでったのでイェラの事だけが心配でしたよ、他の兵達の事はどうでも良かったのですが……」
「変な事を言うな、兵達の士気に関わるだろう」
「いえ、本当にイェラ以外どうでも良いので」
「いやだから何でも本心を言えば良いって物じゃないぞ!」
長続きしそうなので衣図ライグが割って入る。
「んで、どうするんだ? 大軍を生かして王城をぐるっと囲んで野営するか? それとも夜になってから夜襲して一気に落とすか?? 何にしても城の連中は全然攻撃してこねえな」
「いや、もうすぐ此処にY子殿が魔呂で来る。それから決めよう」
「まっ城は逃げねえし、気長に当たるか!」
「そうですね、暇つぶしに私が城門でも拳で叩き潰しましょうか?」
「やめとけって。潰す気なら魔呂に城ごと壊してもらえばいいんだろうが」
「ハハハ、それもそうですね~~」
Y子がここに到着すれば奇しくも猫呼が来るまでの初期リュフミュランのメンバーが揃う。最も砂緒のみY子が雪乃フルエレだとは気付いていないが。しかし自然と和やかな雰囲気になっていて、地面で転がるカレンを戸惑わせた。
(騙されちゃダメだっ! この人達なんとかしないとお城に避難してる人達や家族が危険な事になるわっ……)
ガシャガシャガシャ
そうこうしている内に、遠くから魔呂が歩いて来る音が近付いて来た。
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