371 / 698
Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
雌伏のじっ、ジークフリード 中 思わぬ再会
しおりを挟む「アイスベルグッ!!」
「ふははは、もはや無駄だと分からん様だなっ!」
シャキーーーーン!!
セレネが後ろから氷魔法を掛けるが、魔ローダーアネーロは完全に見切って避け続ける。
「……これで本当に良いのか砂緒? どうなっても知らんぞ」
セレネは砂緒と事前に打ち合わせた通り、ある程度攻撃をすると後は何もしないで見守った。
「はーーはっはっはっ、もはや衣図ライグの館は目前、あれを踏んでトンズラだぜっ」
パンッ!!
アネーロに乗る騎士風の男が勝ち誇った直後、魔ローダーの眼球に正確に魔銃の魔法が当たった。
「な、何だ!? 何のつもりだ??」
バンバンッ!!
再びアネーロの眼球に正確に魔法弾がヒットし続ける。
「馬鹿かっ!? 歩兵の魔銃ごときが魔ローダーには傷一つ付けられんと分からんのか!?」
騎士風の男が言う通りだった。例えガラス質や透明の鉱石を削って作られている薄い部分とは言え、魔ローダーの眼球も中枢機関魔ァンプリファイヤで増幅された膨大な魔力による防御力が掛かっており、フルエレの魔銃弾では全く何の影響も与えられなかった。
「何やってんだフルエレさん!?」
バンッ!!
「砂緒、本当にこれで良いの? どんどん迫って来てるわっ!!」
バンッッ!!
フルエレは疑問を感じながらも再びカートリッジレス魔銃を撃ち続けた。この魔銃は魔法弾を込めるタイプと違い身も蓋も無い言い方をすれば、腕から外したコ〇ラのサ〇コ〇ンみたいな武器であるが、だからと言って感情で威力が増幅するという事も無く、いくら撃ち続けても敵魔呂を撃破処か傷を付ける事も出来ないのは明白だった。
「バカにしおって! この正義の騎士を愚弄する者は許さんっ!! 位置が丸わかりだぞ!」
アネーロはフルエレが隠れて狙撃する建物の屋上にどんどん迫って行く。
「もういいわよ、信じて撃ち続けるわっ!」
バンバンッ!!
「そこだっ!!」
グシャッッ!!
接近途中から突如スピードを上げてダッシュした魔呂アネーロは、騎士風男が発見時から剣を持っていないので、そのまま拳でフルエレが居た建物の屋上を破壊してしまった。
「フルエレさーーーーーーん!? くっそーーー生きてるかーーー?」
セレネは血相変えてフルエレが居た建物の屋上に向かった。
「くっそ、言わんこっちゃ無い」
セレネは魔呂が背を向けた後、滅茶苦茶に破壊された屋上を漁った。
ボコッ!
直後、ガレキの下からサ〇エさんのEDの様に、頭に板を乗せたフルエレが生きて出て来た。
「安心して、リズさんに貰った腕輪のシールドと砂緒の硬化で何ともないわっ」
「本当にどこも骨折とかしてないですか!?」
セレネはフルエレの身体中をペタペタ触り始めた。ついでに前から興味があったフルエレの胸も軽く触ってみた。
「やっやんっ、やめっやめてっくすぐったい!」
「……何反応してんすか? 分かりましたもっと触ります」
「やっややっやめっだめっあん、てやめろー」
ガスッ!
「アブッ!?」
赤面して反応していたフルエレは突如セレネを銃床で殴った。
「痛いです。所で砂緒は??」
「はーーはっはっはっ栄光まで後一歩!!」
魔呂アネーロは遂に衣図の邸宅の前に立ち、腕を振り上げた。
「これで終わりだっ!!」
ガキーーーーン!!!
が振り上げた直後、振り上げた腕は肩の根元辺りからダランと垂れ下がった。
「イテッッ何だこれは?? どうした事だっ??」
「乗り移れればこっちの物です」
砂緒は意図的にフルエレの狙撃位置を狙わせた上で、攻撃がヒットした瞬間に硬化して受け止めて防いだ後に腕に乗り移っていた。そのまま二十五Nメートルの魔呂の巨大な腕の上を素早く伝って走り、鎖骨の辺りまで来ていた。
『ちっしまったゴミムシみたいな奴がっっ!!』
「敵を虫呼ばわりした者は負ける法則がありますよっ! はああああああああ!!!」
砂緒は言いながら拳を最大限硬化させて、振り上げた腕が白く発光して輝き出した。
ズキーーーーン!!
間髪入れずに今度は首の付け根に痛撃を与えた。激しい打撃でボロが来ていた魔呂アネーロの首は付け根から斜めに歪んで止まった。
『いてーーーーっっ』
「アイスベルグ!!」
ジャキーーーン、コキーーーン!
その直後、フルエレを放置したセレネが飛んで来て頭に氷魔法を掛け、完全に凍り付かせた。
「もう一度!! はあああああああああああ、おりゃあああ!!」
ゴシンッ
凍り付いた首の付け根に再び砂緒が痛撃を与え、遂に脆くなっていた首が飛んだ……
フッッ
その瞬間、激痛の中操縦席の魔法モニターから映像が消えた。
『くそったかが主魔法カメラが消えたくらいでっ!!』
バシャッ
騎士風は視界を確保する為に本能的にハッチを開けた。黒くなっていた魔法モニターの代わりにあちこち点々と炎が上がる夜の街が広がり、冷たい風が吹き込んだ。
「もう一方の肩を潰せば取り敢えずはっ!!」
砂緒がすかさず飛んだ首の向こうに走って行こうした。
『次はそうするだろっ!!』
ガッ
しかし動きを読んでいた魔呂は素早く砂緒を巨大な掌で掴んだ。
『獲った!』
「どー。しまった捕まってしまいました……」
『? 何だ? どーって何だ?』
「死ぬ事は無いでしょうが、困りましたね」
砂緒の言葉通り、全身を硬化させれば死ぬ事は無いのだが、身動きが出来ず手指に傷でも無い限り雷攻撃も効果は無く、手詰まりになってしまった。
『ハハハッ虫呼ばわりがどうしたって? 完全に虫ケラではないかっそこで俺が足で館をぐちゃぐちゃにする様子を見てればよいぞ砂緒よ!』
「へ? 何故私の名前を」
その瞬間、フルエレは丁度潰れた屋上から開いた操縦席ハッチの中をバッチリと覗いた。
「じっちゃんさん!? 貴方じっちゃんさんね??」
「ちっしまった」
フルエレの叫び声を聞いて、騎士風の男は慌てて片腕で顔を隠した。
0
あなたにおすすめの小説
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった
ぐうのすけ
ファンタジー
無才・貧乏・底辺高校生の稲生アキラ(イナセアキラ)にゲームの悪役貴族が憑依した。
悪役貴族がアキラに話しかける。
「そうか、お前、魂の片割れだな? はははははは!喜べ!魂が1つになれば強さも、女も、名声も思うがままだ!」
アキラは悪役貴族を警戒するがあらゆる事件を通してお互いの境遇を知り、魂が融合し力を手に入れていく。
ある時はモンスターを無双し、ある時は配信で人気を得て、ヒロインとパーティーを組み、アキラの人生は好転し、自分の人生を切り開いていく。
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない
仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。
トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。
しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。
先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる