魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記 弥生史上最悪の悪役令嬢と記される最強魔力少女は最愛の不死従者を手に入れて破滅フラグを叩き壊します!

佐藤うわ。

文字の大きさ
647 / 698
 転校生の二人

スナコちっと面ァ貸しな

しおりを挟む

『あ~あ、セレネ行ってしまいましたなあ』

 スナコは肩をすぼめ両手を広げる猫呼ねここ直伝のポーズで、消えたセレネの方を見つめた。

「ちょっと待てや、セレネ様だろ?」
「お前態度デカクね?」

 セレネが消えた途端にミラとジーノの態度が硬化して来た。

 キュキュッ
『ハハハ、気にせずともセレネと私は抜き差しならぬ仲にて、いつもこの様な感じなのです』
「部長が何も言わないからって調子乗んじゃねーぞ」
「従者だろ、ヤキ入れてやろうか? あーん」
『およよ?』

 スナコには暖簾のれんに腕押しであった。

「およよじゃねーわ」
「お前舐めてんだろ?」
「ちょっと御免なさい! 私が謝るわ、この子自身も邪竜に襲われてしまって……礼儀とかが壊れてしまったのね……」

 邪竜に襲われて礼儀が壊れたという、女王フルエレの説明にいまいち得心が行かない二人であったが、セレネが忠誠を誓う女王だけに逆らう事は出来なかった。

「……はい分かりました」
「今度から気ィ付けろよ、チッ」

 ミラとジーノはスナコを一瞬睨んで事を一旦収めた。

「所で今日授業中ずっと寝てたから分からないんだけど、いつになったら魔ローダーに乗る授業があるのよ??」
『フルエレ今日魔輪まりんで来てたの覚えてます?』

 女王と言いながらも、一日中寝ていたというフルエレの言葉に面食らったが、二人は一応答えた。

「はい、魔ローダー実習は一日掛かりなんで、体育の授業みたいに着替えて一時間で終わるってモンじゃねーです」
「じゃあ今日はもう?」
「今日は普通の授業しかないですねえ」

 よく考えれば当然の事であった。

「そっか凄く残念、じゃあ午後の授業も寝ちゃおっと!」
「はぁ……」

 とか言いながらミラとジーノの二人も此処に入り浸って、授業をサボり勝ちなのであった。

『所でお主らは魔呂に乗るのですかな?』
「はぁ?」
「何だテメー??」

 もちろんこの二人はスナコの正体である砂緒すなおが旗機の蛇輪へびりんに乗って、幾多の戦場を駆けた事など知らないので、いちいち言う事が勘に障った。

「どうなの、乗るの乗らないの?」
「あたいらは魔呂に乗れるだけの魔力はねーです」
「魔戦車に少々」
『ハハハ、魔戦車とて立派な戦力ですぞ、肩を落とす事はござらん!』

 気にしていた事をズバリ言われて、遂にミラとジーノはプツンと切れた。

「もう我慢出来ねえ、コイツ締めてやろうか」
「……ちょっと待ちな、ジーノ便所行きたくねーか?」
「お、おおじゃあちょっとスナコも面ァ貸しな」
『お?』

 ミラとジーノはスナコの華奢な両手をガシッと掴んで連行しようとする。

「あら良かったじゃない! 早速お友達行動ね」

 フルエレは良く状況が理解出来ていなくて、両手を合わせて喜んだ。

『いやいや、行ったらマズイでしょ女子トイレですよ、今割とセンシティブな問題なんですから』
「何がマズイのか知らんが、とっとと来いや」
「安心しな、此処の洋館のトイレは誰も来やしないよ」
『フルエレーッ止めて下さい!! 人気芸人でも使い方誤ると一発で芸能生命失うくらいに危険な場所ですよっ』

 スナコは叫びながらもズルズルと館の奥に連れられて行った。


 ガチャリッ
 スナコが女子トイレに連行された直後、ドアが開き猫呼ねここ兎幸うさこがようやく辿り着いた。

「あら、猫呼に兎幸じゃない何処行ってたのよ! 身体中葉っぱやら小枝がいっぱい付いてるし何してたの!?」
「此処探すのにあっちこっち探検してたのよ」
「探検してたよー」
「何処を探検したらそうなるのよ?」

 ぱんぱんっ
 等と言いつつフルエレは彼女の小枝や葉っぱを落として上げた。

「ふぅーありがと。所で砂緒の奴は何処行ったのよ?」
「あ、それが早速お友達が出来て、面ァ貸しなって言われて首根っこ掴まれてトイレ連れていかれたわっ」

 猫呼は目を細めて呆れた。

「ヤバイじゃないそれ。軍事介入しなくて良いの?」
「何言ってるの? 友情が生まれる瞬間を壊してどうするのよ!!」

 猫呼は何処まで本気なのかとフルエレを白い目で見たが、彼女は終始にこにこしていた。


 ―洋館の女子トイレ。
 此処は学舎からも離れており、その上セレネ達の溜り場ともなっていて、女子トイレも恐れられていて普通の生徒は一歩も近寄らない。

『あのーーーハァハァ……一体何用でしょうか? はぁはぁ』

 バンッ!!
 スナコは個室に押し込められるなり、壁ドンされて睨み付けられる。

「何お前、異常興奮してるんだよ? ふざけてんのか」
『だってスケバンに壁ドンされてるんですよ、ハァハァ』

 クイッ
 今度は顎くいされて顔を持ち上げられる。

「お前、ちっとセレネさんに甘い顔されたからってウチらが許さないよ」
「アンタ、部長の何なのさ?」

 スナコの目が光った。

『タラッタッタッタターー』
「?」
「!?」
『違います?』

 今の意味不明なおふざけで、二人は完全に切れた。もはやフルボッコにしようと腕を振り上げた。

『待って下さい! 分かりました……脱ぎます……上下とも脱ぎます!! それで堪忍して……』

 等と書いた直後、スナコはスカートにスッと両手を入れるとパンツを降ろしにかかった。
 シュルッ

「ややっやめろよ! 別に脱げ言ってねーよ!」
「何やってんだよ、ウチらはそんなえげつない事は言ってねーよ!!」
『脱ぎます……』
「脱ぐなーーーーーっ!!」

 つづく。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...