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討伐部活動
最深部湖
しおりを挟む―兎幸と猫呼が腕によりを掛けて野営とは思えぬ豪華な夕食が振舞われた……
「食事の詳細は避けるけど、凄い豪華な夕食だね!」
「なんで避ける?」
めんどくさいのか目の前の豪華な食事の解説を避ける紅蓮に呆れるセレネ。
「ホレ、肉とか魚とか豪華な夕食じゃろ?」
「雪布留さんじゃろとか普段言わないでしょ?」
『セレネさん何カリカリしてるんですか、豪華な夕食でいいじゃないですか』
等と言いつつ、スナコは巨大な骨に突き刺さった謎肉を頬張りながら器用にホワイトボードに書いた。
「スナコ今回はなかなかボードが続くな?」
『何を言ってるの? 私のボードは永遠に続くわ。うっかり言葉を発する事なんて無いのよ』
「部室館前で一瞬地声が出てたんじゃね?」
「あー部長が仰る通り一瞬何か叫んだ様な?」
「そうだったっけ?」
ミラとジーノが言う様に、一瞬だけスナコが地声で叫んだ場面があったが、皆誰も気付いていないとタカを括っていたスナコであった。
『そんな事より折角のお料理よ、もっとガツガツ食べましょう!』
「ガツガツ食べる事は無いが、まあ味わって食べようか」
「そうね」
何故か笑顔のフルエレであった。
―夕食後。
一行は此処で兎幸が準備したテントで野営する事となった。
「あたしと雪布留さんが同じテントで、兎幸先輩と猫呼先輩も同じテント、で残りのミラとジーノとスナコが最後の三つ目のテントで、紅蓮が野宿と……本当にこんな割り振りでいいのか?」
雪布留の提案をセレネが渋々発表した。
「ハハハ、僕だけ野宿なんて酷いよセレネちゃん!」
「わーーい、セレネと同じテントで寝るのよ~~~」
「いやいや、フルエレさん本当にミラとジーノのテントにスナコぶち込むのかよ?」
「そうよ?」
「どうなっても知りませんよ!」
「どうもならないわよぉ」
二人はこそこそ言い合った。
『あ、あのー私も寝袋で野宿で良いですけど……』
遂にスナコが気を遣って小声で言った。
「オラッスナコ遠慮すんなよ! お前もウチらのテントで寝な!」
「そうだよ、いくら王子さまでもなんかヤバめな雰囲気がするからな」
「そうだよ、部長には悪いがスナコが襲われかねんしな」
途中から小声になって紅蓮を見ながらこそこそ言った。
『い、いやお気を使わなくとも』
「遠慮すんな来い!!」
スナコは腕を引っ張られ、遂に仮眠する事となった……目を細めてセレネはそれを見ていたが、彼女も笑顔の雪布留に連れられてテントに入って行った。
―ミラとジーノのテント内。
「さっ明日の為に真面目に寝ようぜっ!」
「乙女のときめきトークは無しだなフフ」
『そ、そうね』
「何おどおどしてやがる? 取って食やしねえよ!」
等と言いながら、ミラはいきなり上着を脱ぎに掛かった。
ぬぎっ
『あ、あのミラさん何を??』
「あーあたい寝るときゃ上半身裸じゃなきゃ寝れねー性質なんだよ!」
ぬぎっ、んボロンッ!!
ミラが無造作に制服の上着を脱ぐと、薄いシミーズに包まれたかなり大き目な巨乳が露わとなった。砂緒としてはノーマークであったミラのいきなりの艶めかしい姿に度肝を抜いた。
パサッ
脱いだ上着を床に置いた瞬間、深い胸の谷間に目が吸い込まれる……
「ごくり」
「おま、今唾飲み込んだだろ?」
「もしかしてそんな属性があんのかよ??」
ぬぎっ
さらに薄いシミーズまで脱ごうとする。
『そ、そんな属性は全く無いけど、何か恥ずかしいから、それ以上はヤメテッ!!』
スナコは思わずミラの腕を押さえた。
「なんだよ、変なヤツだなお前。ほらっこんなもん揉めばいいんだよ」
モミッ
目の前でジーノがミラの大きな胸を無造作に掌で掴み、やわっと掴んだ手の形に胸が歪んだ。
ブバッ!!
確かに一瞬スナコの鼻から鼻血が噴出したが、力業で手で押し戻した。
「ふぐがっ!?」
「どした!?」
「スナコ大丈夫か??」
実は優しいミラがシミーズ姿のまま接近してさらに鼻血が噴出しそうになる。
『も、もう寝ましょう!?』
(死ぬ……)
スナコは赤面したまま後ろを振り返った。
「何だよ本当に変なヤツだなあ、仕方ないね寝るか」
「ミラも大変だな貧乳の部長の為に巨乳を隠してて……」
『どんな気遣いですか』
等と言いながら三人は一つのテントで寝た。が……スナコはミラのあられもない姿が頭から離れずなかなか寝れ無かった。
―次の日。
一行はそそくさとベースを撤収すると、すぐに出発し第九層までに至った。
「次はとうとう最下層の第10層ね」
「ああ、雪布留さん行こう」
「僕も忘れずに」
『お前も居たんか? 寝てれば良かったのにな』
等と言いつつ下に降りて行った。
ザッザッザッザッ
「うっ……これが第10層なのか!?」
「凄いわ」
セレネと雪布留が絶句した様に、階段を降りて直ぐに地下には地下空間と思えない程の巨大な地底湖が広がっていた。地底湖と言ってもそれまでダンジョン然としていた天井の低い世界では無く、高い天井と拾い空間で、此処が地下空間とは忘れさせる様な広大な空間であった。いや、空間と言うか何処まで広がっているのかも謎であった。
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