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討伐部活動
お宝発見
しおりを挟む「これどーすんの?」
猫呼が果てしなく続く地底湖を指さして言った。地底湖と言ってもこれまでのダンジョン行と同じく、紅蓮は小枝を燃やしセレネ達は魔法ランプを使い、さらに兎幸のUFOが魔法サーチライトを照射しているので明々としていた。にしても地底湖の先がどのようになっているのか果てしなかった。
『仕方ありませんね、川○浩探検隊みたいにボートで探索を続けましょう』
「スナコ、川○浩って誰だ?」
ミラが素で聞いた。きっと著名な冒険家か何かと誤解したのであろう。
「ミラちゃん、実はスナコは邪龍に襲われた時に脳を強打して……それ以来少しだけ不思議な事を言い出したのよ」
ミラは雪布留の言葉を聞いて、少し悪い事を言ったなという顔をした。
「そうか、スナコにも辛い過去が……」
「うっスナコ」
ジーノも目頭をぬぐった。
「あんた、あの子達本気にしちゃったじゃないの」
「いーのよ!」
『それでボートはどうするのよ?』
「いや~ね、困った時の兎幸頼みじゃない!」
フルエレは笑顔で兎幸を見た。
「わかったわかった。魔法膨らましボ~~ト!」
急かされて兎幸はUFOから魔法ポンプで膨らむゴムボートを三艘取り出した。
「もうこの子が居たら何も要らないね。嫁にしたいよ」
「お前本当に見境無しだな」
怪しい目で兎幸を見る紅蓮から兎幸を守るセレネ。
『全くもって危険な男です。置いてきましょう』
「ってわしわい?」
突然猫呼が両手親指で自分を指さしながら叫んだ。
「……ごめん、なんかネコミミの君は兄の顔がちらちらしてそういう対象には」
「ふぅ、兄の問題なら仕方ないわ」
などと冗談めかして言う猫呼を見て、雪布留は彼女が父大猫乃主を失ったショックから回復しつつあって少し安心した。
ーという訳で一行はテントの割り振りと同じ感じでボートに乗って地底湖を進みだした。
「ふう、結構何も居ない物ねえ」
等と猫呼が言った途端に、ボートの下に何者かの巨大な影がすーっと進んでいく。
「今何かが見えた! みんな警戒しろ」
『○ョーズでしょジョー○!!』
「スナコ……」
「はい部長!」
「スナコぼやぼやするなよ!!」
『じゃあ何か出たら私の電気で……』
「ダメー! みんな感電しちゃうでしょ?」
『そうでしたトホホ』
中程度の怪力しか無いスナコは肝心な時に役に立たなかった……などと言っていた直後。
ザバアッッ!!
突如巨大な魚型モンスターが水面から飛び上がって襲い掛かって来た。
「きゃーーーー何かでたっ!!」
「豪炎!!」
紅蓮アルフォードが叫ぶや否や、持っていた小枝から数Nメートルの炎が吹き上がり、剣の様な形状になって飛び上がった魚型モンスターをあっさりと焼きながら両断した。
ボトボト……
落ちた肉片で大きな水柱が上がる。
ザバーン!
『つまんな』
「つまらんとは何だ貴様! 僕は皆を救ったんだぞ!?」
「王子様性格は兎も角、やっぱりお強いっスね」
「ま、まあね」
セブンリーファではあんまり大切にされていない紅蓮が、感心するミラとジーノに褒められてまんざらでも無かった。
「性格は兎も角言われてるんが気付かんのか、能天気な奴め」
「褒められる事に飢えてるのね、かわいいわ」
等と言っているうちにまた巨大な水棲モンスターがザバッと飛び上がって来る。
「ギャーーーーッ!!」
「よし、アイスベルグ!!」
ジャキーーーン
セレネの得意技氷魔法でまたもやあっさり倒される敵モンスター。
「確かにつまらないわねえ」
「雪布留さん!?」
この異世界で1,2位を争う二人なので、雑魚敵など敵では無かった。という訳で今後も数多くの水棲モンスターが次々現れたがすべて割愛する事になる。
ー約1時間後。
「はぁはぁ……弱い癖に次から次へと」
「僕はまだまだいけるよ、セレネちゃん休んでくれたらいい」
「要らんわ! お前の助けは要らーん」
「いいなあ、ああ言ってても本心ではラブラブなんだろーな」
「本当にそうか?」
等とミラとジーノが二人を眺めていた時であった。
『ちょっと、向こうになんか異様に光り輝いてる巨大な金色の物があるわ!』
今やすっかり忘れ去られたが、砂緒の有料双眼鏡の能力が巨大な光り輝く何かを発見してしまった。
「まあ凄いわ! それで贅沢な生活費が賄えるわ」
フルエレが目を輝かせて叫んだ。
「生活費に充てる前に討伐部の成果ですよ!! よし警戒しつつ先を急ぐぞ!!」
「じゃあ私、先にUFOで見てくる!」
『あっ兎幸私も連れて行きなさい!』
「うーん!」
「あっこら待て!!」
とセレネが叫んだ時には既に遅く、スナコと兎幸はUFOで飛んで行ってしまった。
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