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30話 (4章)ソラ~聖女
小ネタ① 中庭ドラゴン
しおりを挟む「さぁ早く泣きながら抱き着いたら? 師匠~~って」
うっ何故そんな事を言う? 今まさにそうしようと思っていたのに……
「何じゃ、泣きながら抱き着く予定だったのかえ? それっさぁ来いっ!!」
バッ
師匠は両手を広げて待ち構えた。
「……そんな事する訳無いでしょ、小さい子じゃあるまいし。ただいま戻りましたっ!」
ビシッ
ヘンな感じになって俺は敬礼した。
「キュウゥッ」
と、そんなグダグダな再会を果たしていると、後ろで飛竜が首を縮めて地面に伏せた。あれーいつものスリスリが無いな。
「どうした? 急に何かに怖がって」
「師匠さんを怖がってるんでしょ」
「このワイバーンどうしたんじゃ?」
師匠がのぞき込むと、地面にえぐれるくらいに飛竜が隠れて震えてしまう。さすが最強のドラゴン……の一人?
「そ、そうだっ師匠とブルー・ネモフィラー・ドラゴンとどっちが強いの!?」
シィーーン
一瞬師匠とマリがキョトンとする。よく考えたら子供みたいな事を聞いてしまった。
「何じゃと!? そんな物聞かぬでも分かるであろうがっ蒼鉛竜よりもワシの方が百億兆倍強いわっ!!」
うっ百億兆倍? 小学生みたいな師匠可愛い。
でも蒼鉛竜って山を吹き飛ばしたし、本当に師匠勝てるのかなあ、恐ろしい戦いになりそうだ。出来れば師匠には傷付いて欲しく無いな。見た目はこんな色っぽい美人のお姉さんでも中身は多分年寄りだし……
「きゅう」
「ちょっとこのワイバーンの話でしょ!」
ハッ! マリが妄想から現実に戻してくれる。
「そうそう、敵の第二王子アルデリーゼとか言う奴と戦った時からなついてしまって、馬車の代わりに乗って帰って来たんだ。凄く早く帰れたよ」
「その代わりに酔うし疲れるけどね」
「それでどうするんじゃ?」
当然だけど師匠はモンスターや竜など見慣れてるので全く動じない。
「そうだなあ銀竜の洞窟にでも放して自然に帰してやるかぁ」
「きゅうう~~」
それまでじっとして震えていた飛竜が急に甘えた様な声を出して来た。
「あれ~~どうしたんだろ?」
「師匠さんは怖いけど、貴方からも離れたく無いんじゃないの」
「ワシが何をしたと言うのじゃ」
「きゅうっ」
師匠はそこにいるだけでモンスターが恐れるんだろうな。
「よーし、よしよしよし、よーーしよしよしよし」
俺は伝説の動物可愛がり法で飛竜を必死にナデナデしてあげた。
「それでどうするのじゃ?」
「そうよ」
「うん、この中庭で飼うよ!」
マリが目を丸くする。
「ちょっと何勝手に決めてるのよ、ここは私の館よ! 中庭にこんなのいたらご近所で噂されちゃうわよ」
「安心してよ師匠がいる限り暴れないしおとなしくしてるよ!」
「きゅうう~~~!!」
飛竜は嬉しそうにして、初めて顔を上げた。
「ほらほら喜んでるよ! 師匠からも何か言ってあげて」
「ふむふむ怖がる必要はないぞ。どちらが地上の主でどちらがちっぽけな下僕か、ちゃんと上下関係さえ守れば命の保障はしてやるからの?」
「きゅっ!」
飛竜は激しく超高速うなづきを繰り返した。
「言い方が怖いわ」
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