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6話
出発、心残り
しおりを挟む「銀竜よ、あれらはどうするのだ?」
うっファニーが整然と並んだ俺のおしぬいとやらに指を指した。
「仕方が無いのぅ、一番お気に入りの推しぬいと銀のホウキは持って行くが、残りは燃やそうぞ!」
「うわっ燃やすの!?」
「ワシが留守の間に推しぬい達が辱められるといかぬであろう」
「えっおしぬいって辱められるの!?」
どんな風にだよ?
「それはゆゆしき事態であるな」
ファニーまで同調した!?
「うぐっ燃えよ推しぬい達よっ!」
シュバッゴーーーッ!!
少し涙ぐんだ師匠が軽く腕を振るだけで、大量にあった俺のおしぬい達は一気に燃え上がった。あぁなんか可哀そうだよ。師匠が辱めてない?
ちらり。
俺は燃えるおしぬい達の向こうに、無造作に積みあがる剣や鎧を見た。
「師匠、ついでにあともうちょっと剣や鎧もらって良いですか?」
「そんな物どうするのじゃ?」
「いやー売って生活費の足しに……」
俺は頭を掻いた。
「今着ておるヤツは?」
「これは師匠に最初にもらった大切な記念品だから」
「コラッわらわのフィアンセがセコイ事を言うな! 生活費くらい出してやるぞ」
「それは前にやめてって言ったじゃん! じゃ、じゃあ剣を数本だけ」
ぷくーっ
恒例行事の様に師匠が頬を膨らませた。
遂に出発の時が……
「ここともしばしの別れじゃな……」
「師匠」
「早くせい!」
ファニーがしびれを切らし始めたぞ。
「そうじゃ! まだ偽の【尽きぬ銀貨】のストックがあるゆえ適当にまいておこう!」
「それは良いですね師匠」
ファニーがコケた。
「今度は何なのだ? それが何の意味があるというのだ?」
「ここに来た冒険者がワシがおらぬと分かって部屋に入って来て、尽きぬ銀貨を発見したらどう思う?」
「それはもう戦わなくてアイテムゲットで大喜びです!!」
「だろう、だからあちこちにまいて置こう。フフフフ」
「そうだっ後発組にも意外な発見を提供する為に、柱や壁にもねじ込んで置きましょう!」
「分かり難い場所が小にくい演出じゃのぅ」
二人はしばし時を忘れて必死にあちこちに尽きぬ銀貨を仕込んだ……
今度こそっ遂に出発の時が。
「さっ今度こそ出発だからな? 引き返したら二人ともブツぞ?」
ファニーはコブシを振り上げた。
「うっ釜戸や戸締りが気になりだしたのぅ」
「やっぱり鎧と剣が……」
「良いからさっさと行けーーーっ!!」
ドゲシッ!!
命知らずのファニーが俺達のお尻を蹴った。
ザッザザッザ
ー正門
ここは俺が最初にルウィナ達と共に突入した入口だが……
ズララッ
「凄い! ダンジョンのモンスター達が整列している!?」
「ヌシである銀竜を見送ろうと言うのか? この女、本当にシルバー・リリー・ドラゴンだったのだな?」
「まだ疑っておったのか?」
中には泣いているモンスターもいるよ。
「何だこんな女でも人望があったのだなあ」
「や、やっぱりここに居ようかのぅぐすっお、お前らー」
年寄りだから涙腺ゆるくてもらい泣き? と思ったらファニーが背中を押す。
「もう良いから行くーっ! あとどのくらい歩くのだ?」
「トラップも戦闘も皆無だとしても、どんなに順調だとしても5時間は……」
ファニーの顔が凍った。
「5時間も姫が歩けるかっ!! 例の近道に戻るぞ」
俺達が引き返すと、整列するモンスター達はポカーンとした顔をした。
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