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勇士集う
始まりの出会い
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「おっちゃん、ここ知ってる?」
店先で一枚の紙切れを店番の男に見せ、黒衣の少年は尋ねる。男は見慣れない姿をしている少年を奇妙な目で見つめる。そして紙切れを受け取り見るとまたかと呆れたような顔をする。
「もう今日はにいちゃんで50人目だよ」
「50人?そんなに来ているのか」
「昨日は105人、一昨日は123人だったかな。どいつもこいつも聞くだけ聞いて店のものを何一つ買ってきやしない」
それは難儀な話だなと笑う少年。そんな少年を見て、若干不機嫌になりながら笑い事じゃないよと男は呟く。
「その場所なら町の外れにあるよ。この町を出て東の森の一本道を抜けると見えてくるよ」
文句を言いながらもしっかりと教えてくれる男に礼を言うと、少年は質素な荷物を抱えて店を出て行こうとする。そんな少年を男はちょっと待てと言わんばかりに呼び止め問いかける。
「おいおい、商売で困っているって言っている男がいるのに何も買わずに出て行くのか?こっちは親切にその場所を教えてあげたというのにそっちは何もしてくれないなんて薄情だろう」
そんなこと言ってもなぁと少年は足を止め、困ったように頭を掻いている。そして手をあげて、
「申し訳ないけど俺はもうすっからかんで金がないんだよ」
こんな身なりだしと続けると少年は質素な荷物を男に見せた。男は呆れたようにため息をつくと、もう良いよと言ってとっとと出て行けと言わんばかりに手を振る。少年はまぁ待ってくれよと言って男をなだめる。
「俺は無理だけれどその代わりに・・・・・・」
そう言って少年は背後にある店の扉を指さす。するとその扉から一人の少女が一枚の紙切れを持って入ってきた。少女は紙切れを見て頭を掻きながら何かブツブツと呟いている。
「アイツが出してくれるから安心してくれ」
少年はそう言うと少女の方に顔を向けるとにやりと笑う。その背後で男もOKと言わんばかりに少女にむかって不気味な笑顔を向けていた。そんな二人の姿を見た少女は一瞬ビクッと驚くと、何か邪な考えを感じとりたじろぐ。
「嬢ちゃん、もしかして道を尋ねに来たんじゃないかい?」
「そ、そうですけど・・・・・・」
「私はその道を知っているんだ、教えてあげるよ」
「本当ですか!ありがとうございます!」
男の言葉を聞いて思わずうれしそうな顔をする少女。一応紙を見せますねと少女は男に紙を見せようとする。
「ただ・・・・・・」
そう言って男はわざと悲しそうなふりをして顔を伏せると、今にも消えそうな、しかし少女には聞こえるような大きさの声で呟く。
「店の売り上げがなぁ・・・今月厳しいんだよなぁ・・・・・・」
どんよりした雰囲気を醸し出す男の姿に何かを感じ取ったのか、少女はわかりましたと言って肩にかけていたショルダーバッグから財布を取り出した。
「じゃあ俺の分も頼むわ」
そう言って少年はグッと親指を立てると少女よりも一足先に店を出て行く。少女は少年が出て行った店の扉をポカンとしながら見つめていた。
「あぁ・・・嬢ちゃん、名前はなんて言うんだ?」
「え?あ、アリシアです」
「そうかい。アリシアちゃん、こんなこともあるさ。あのにいちゃんの分もよろしく」
そう言って男はカウンターの下から何か箱を取り出すと手を差し出す。アリシアは複雑な表情を浮かべなから財布を開くのであった。
店先で一枚の紙切れを店番の男に見せ、黒衣の少年は尋ねる。男は見慣れない姿をしている少年を奇妙な目で見つめる。そして紙切れを受け取り見るとまたかと呆れたような顔をする。
「もう今日はにいちゃんで50人目だよ」
「50人?そんなに来ているのか」
「昨日は105人、一昨日は123人だったかな。どいつもこいつも聞くだけ聞いて店のものを何一つ買ってきやしない」
それは難儀な話だなと笑う少年。そんな少年を見て、若干不機嫌になりながら笑い事じゃないよと男は呟く。
「その場所なら町の外れにあるよ。この町を出て東の森の一本道を抜けると見えてくるよ」
文句を言いながらもしっかりと教えてくれる男に礼を言うと、少年は質素な荷物を抱えて店を出て行こうとする。そんな少年を男はちょっと待てと言わんばかりに呼び止め問いかける。
「おいおい、商売で困っているって言っている男がいるのに何も買わずに出て行くのか?こっちは親切にその場所を教えてあげたというのにそっちは何もしてくれないなんて薄情だろう」
そんなこと言ってもなぁと少年は足を止め、困ったように頭を掻いている。そして手をあげて、
「申し訳ないけど俺はもうすっからかんで金がないんだよ」
こんな身なりだしと続けると少年は質素な荷物を男に見せた。男は呆れたようにため息をつくと、もう良いよと言ってとっとと出て行けと言わんばかりに手を振る。少年はまぁ待ってくれよと言って男をなだめる。
「俺は無理だけれどその代わりに・・・・・・」
そう言って少年は背後にある店の扉を指さす。するとその扉から一人の少女が一枚の紙切れを持って入ってきた。少女は紙切れを見て頭を掻きながら何かブツブツと呟いている。
「アイツが出してくれるから安心してくれ」
少年はそう言うと少女の方に顔を向けるとにやりと笑う。その背後で男もOKと言わんばかりに少女にむかって不気味な笑顔を向けていた。そんな二人の姿を見た少女は一瞬ビクッと驚くと、何か邪な考えを感じとりたじろぐ。
「嬢ちゃん、もしかして道を尋ねに来たんじゃないかい?」
「そ、そうですけど・・・・・・」
「私はその道を知っているんだ、教えてあげるよ」
「本当ですか!ありがとうございます!」
男の言葉を聞いて思わずうれしそうな顔をする少女。一応紙を見せますねと少女は男に紙を見せようとする。
「ただ・・・・・・」
そう言って男はわざと悲しそうなふりをして顔を伏せると、今にも消えそうな、しかし少女には聞こえるような大きさの声で呟く。
「店の売り上げがなぁ・・・今月厳しいんだよなぁ・・・・・・」
どんよりした雰囲気を醸し出す男の姿に何かを感じ取ったのか、少女はわかりましたと言って肩にかけていたショルダーバッグから財布を取り出した。
「じゃあ俺の分も頼むわ」
そう言って少年はグッと親指を立てると少女よりも一足先に店を出て行く。少女は少年が出て行った店の扉をポカンとしながら見つめていた。
「あぁ・・・嬢ちゃん、名前はなんて言うんだ?」
「え?あ、アリシアです」
「そうかい。アリシアちゃん、こんなこともあるさ。あのにいちゃんの分もよろしく」
そう言って男はカウンターの下から何か箱を取り出すと手を差し出す。アリシアは複雑な表情を浮かべなから財布を開くのであった。
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