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勇英士試験
一次試験
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「一次試験の内容はこの建物からの脱出です」
試験官が話し始めると参加者の顔色が変わった。遂に試験が始まるということで顔つきがどこか神妙になっている。どのような試験が行なわれるのか皆緊張感を漂わせながら聞いている。
「お気づきの方もいらっしゃると思いますが、ここはある建物の地下フロアで上にいくつものフロアがあり、全10フロアの建物となっています。そしてこの建物から無事脱出することができた方は一次試験合格となります」
それだけかよと他の参加者達はざわついていた。難関と言われている試験の最初の内容に拍子抜けのようである。ジークもその中の一人のようで、つまらなそうな顔をして試験官を見ている。
「一次試験における禁止事項を発表します。一つ、試験官に対する暴力などの戦闘行為を禁止し、行なった者は則失格と見なす。二つ、建物の破壊行為を禁止し、行なった者は則失格と見なす。以上です」
そろそろ始まるのかと参加者達はそれぞれ気合いを入れていた。拍子抜けな内容の試験とは言え、もしもの時も想定しておかなければならないため準備は怠れないのである。
するとサイガ達の背後から機械音がなると壁が音を立てて開いていく。現れた新たな壁には四つの扉があり、その脇にはそれぞれ小さな機械が埋め込まれていた。
「皆様には扉を用意させていただきました。この部屋の扉の内一つだけ上のフロアへと続く扉となっています。扉の横についている機械に皆様が持っているナンバープレートをかざしてもらいますと扉が開くようになっています」
参加者達は自分の持っているナンバープレートをまじまじと見ている。アリシアやジークも表裏しっかりと見ながらどんな仕組みになっているのかと疑問に思っている。サイガは試験官の話に少し疑問を抱きながらもそのまま聞いていた。
「しかし気をつけてください。この部屋の扉ですが、一度扉をくぐったら二度と戻れないようになっています。そのため扉を選ぶときは慎重に選ぶよう心がけてください」
マジかよと参加者達がざわつき始める。まさか簡単だと思っていた試験が選択を迫る運要素の強い博打のような試験なのだ。参加者達の中にはふざけるな、ただの博打じゃないかと騒ぎ立て、文句や不満を言うもの者もいた。試験官はざわつく参加者達をしばらく見ていたが、急に目を見開くと
「お静かにっ!!」
と部屋中響き渡る大きな声で叫んだ。それに驚き圧倒された参加者達は皆黙るように口を閉じた。試験官は小さく咳をすると話を続けた。
「試験の内容は絶対的なものです。不平不満があるのなら今すぐ辞退してもらって結構です」
参加者達は皆黙ったまま何も語らなかった。試験の内容は絶対。それを仕切る試験官の存在もまた絶対。下手なことを言うと失格になる可能性があるのである。
「・・・いないようですね。それでは私が始まりの合図の音を鳴らしますのでそれが鳴り終えたら試験スタートです。よろしいですね」
息を呑む。参加者達は試験の始まりに緊張感を漂わせている。試験官は懐からスイッチのついた機械を取り出すと最後に一言だけと言って参加者達を見回すと、
「建物からの脱出、これが合格条件です」
それではと言うと試験官は手に持っていた機械のスイッチを押した。そして機械から音が鳴る。
プゥゥゥゥ・・・・・・
すかし屁のような音が部屋中に鳴り響いた。高まっていたやる気をそぐような音を聞いた参加者達は誰一人動かず何か言いたげな眼で試験官をにらみつけていた。集中する視線に何かを感じた試験官は恥ずかしそうに小さく咳払いすると小声で呟いた。
「・・・試験始め」
参加者達は一斉に歓声を上げると勢いよく扉にむかっていった。試験官はそのまま入ってきた扉から出て行った。出て行く途中、試験官はスイッチに対して文句を呟いており、それを耳にしたサイガは試験官も大変なんだなと思わず笑った。
試験官が話し始めると参加者の顔色が変わった。遂に試験が始まるということで顔つきがどこか神妙になっている。どのような試験が行なわれるのか皆緊張感を漂わせながら聞いている。
「お気づきの方もいらっしゃると思いますが、ここはある建物の地下フロアで上にいくつものフロアがあり、全10フロアの建物となっています。そしてこの建物から無事脱出することができた方は一次試験合格となります」
それだけかよと他の参加者達はざわついていた。難関と言われている試験の最初の内容に拍子抜けのようである。ジークもその中の一人のようで、つまらなそうな顔をして試験官を見ている。
「一次試験における禁止事項を発表します。一つ、試験官に対する暴力などの戦闘行為を禁止し、行なった者は則失格と見なす。二つ、建物の破壊行為を禁止し、行なった者は則失格と見なす。以上です」
そろそろ始まるのかと参加者達はそれぞれ気合いを入れていた。拍子抜けな内容の試験とは言え、もしもの時も想定しておかなければならないため準備は怠れないのである。
するとサイガ達の背後から機械音がなると壁が音を立てて開いていく。現れた新たな壁には四つの扉があり、その脇にはそれぞれ小さな機械が埋め込まれていた。
「皆様には扉を用意させていただきました。この部屋の扉の内一つだけ上のフロアへと続く扉となっています。扉の横についている機械に皆様が持っているナンバープレートをかざしてもらいますと扉が開くようになっています」
参加者達は自分の持っているナンバープレートをまじまじと見ている。アリシアやジークも表裏しっかりと見ながらどんな仕組みになっているのかと疑問に思っている。サイガは試験官の話に少し疑問を抱きながらもそのまま聞いていた。
「しかし気をつけてください。この部屋の扉ですが、一度扉をくぐったら二度と戻れないようになっています。そのため扉を選ぶときは慎重に選ぶよう心がけてください」
マジかよと参加者達がざわつき始める。まさか簡単だと思っていた試験が選択を迫る運要素の強い博打のような試験なのだ。参加者達の中にはふざけるな、ただの博打じゃないかと騒ぎ立て、文句や不満を言うもの者もいた。試験官はざわつく参加者達をしばらく見ていたが、急に目を見開くと
「お静かにっ!!」
と部屋中響き渡る大きな声で叫んだ。それに驚き圧倒された参加者達は皆黙るように口を閉じた。試験官は小さく咳をすると話を続けた。
「試験の内容は絶対的なものです。不平不満があるのなら今すぐ辞退してもらって結構です」
参加者達は皆黙ったまま何も語らなかった。試験の内容は絶対。それを仕切る試験官の存在もまた絶対。下手なことを言うと失格になる可能性があるのである。
「・・・いないようですね。それでは私が始まりの合図の音を鳴らしますのでそれが鳴り終えたら試験スタートです。よろしいですね」
息を呑む。参加者達は試験の始まりに緊張感を漂わせている。試験官は懐からスイッチのついた機械を取り出すと最後に一言だけと言って参加者達を見回すと、
「建物からの脱出、これが合格条件です」
それではと言うと試験官は手に持っていた機械のスイッチを押した。そして機械から音が鳴る。
プゥゥゥゥ・・・・・・
すかし屁のような音が部屋中に鳴り響いた。高まっていたやる気をそぐような音を聞いた参加者達は誰一人動かず何か言いたげな眼で試験官をにらみつけていた。集中する視線に何かを感じた試験官は恥ずかしそうに小さく咳払いすると小声で呟いた。
「・・・試験始め」
参加者達は一斉に歓声を上げると勢いよく扉にむかっていった。試験官はそのまま入ってきた扉から出て行った。出て行く途中、試験官はスイッチに対して文句を呟いており、それを耳にしたサイガは試験官も大変なんだなと思わず笑った。
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