無色の君

代永 並木

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5話

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「ナイスタイミングです。沖田さん国家特殊暗殺部隊について知っているなら隠さずに全部教えてくれないでしょうか?」
俺が沖田さんに聞く
「国家特殊暗殺部隊? ……あぁ、知っている。あれがどうした。この少女が関係しているのか?」
沖田さんが聞いてくる
「そうです。関係しています。首元のこれを見てください」
少女の首元を見せる。沖田さんはじっくりと見て考える
「実験体剣0032? ……すまないが知らないな。国家特殊暗殺部隊が関係しているのか?」
沖田さんが首を横に振る
「知らないですか。調べてください。この国はかなり色々とやっているようです」
俺はそう言って牢に自分から入る
「お帰り、早かったね」
美鶴が言ってきた
「ただいま。そうだ沖田さん力を貸してくださいよ」
俺が沖田さんに言う
「……考えておこう。まずはこいつを調べないとな」
沖田さんはそういうと椅子に座りパソコンを起動する
「怪我はない?」
美鶴が聞いてくる
「怪我? ないぞ。お前特に何かされたか?」
美鶴に聞く
「されてない。大丈夫」
美鶴は答える
「そうか、なぁ、次の交渉の時にやって貰いたい事がある」
俺が言うと美鶴は頷く
「分かった。行く前に言ってたやつだよね」
美鶴が聞く
「そうだ。頼んだぞ」
俺は答える
しばらく待機して昼飯を食べてからまた待機をして午後5時になった時沖田さんがこっちに来た
「分かりましたか?」
おれが聞く
「わかったがまぁ力は貸せないな」
沖田さんが答えた
「それはどうしてでしょうか?」
おれが聞く
「おれは警官だ。正義の為とはいえ国を相手取ることは出来ない」
沖田さんが答える
「でしょうね。じゃあ手出しはしないでいただけますか?」
おれが聞くと首を横に振る
「それも無理だ。俺たち3人は外に出るがそこにいろよ。逃げれば殺さないといけなくなる」
沖田さんがそう言って3人を連れて外に出る
「どうする?」
美鶴が聞いてくる
「さて、どうするか。暇なんだよな。もう出来る事は無いからなぁ」
俺はそう言って銃を取り出す
「あの時の銃?」
美鶴が聞いてくる
「そうだ。佐原はもう知っている」
……このメモどうするかな? まさか佐原が俺たちを守ろうとしていたなんてな。車に乗っている時の取引もあるしあいつは手を貸してくれそうだ
……手を貸してくれたらどうします?
……俺と佐原で歪鵞を止める。2人で止めれば多分大丈夫だがあれを使ってきたら俺は間違いなく鎧を使う
……あれ? それは一体なんですか?
……歪鵞は実験体でな。自身のリミットを外せる。最大100%まで完全に開放できる
……勝てるんですか?
……無理だ。勝つ方法は無いに等しいが鎧を使って耐久できればいけるだろう
……身体が壊れるのを待つのですね
……それかリミットを外す前に鎧を使って決着をつけるかだな
「……言おうかな? でもこんな状況で言うのは変だよね?」
美鶴が何か呟いている
「どうかしたか美鶴?」
俺が聞くと美鶴は驚き戸惑う
「ええっと、ちょっと待ってて伝えたい事があるから」
美鶴はそう言って後ろを向く
……成る程です。
……何か分かったのか? 
……そりゃあ、こんな分かりやすい感じで言っているんですから
……分からん教えてくれ
……教えません。彼女の言葉を待ちましょう
……? 分かった。一体何なんだ?
しばらく待っていると美鶴が深呼吸をしてこちらを向いて真剣な面持ちでこちらを見る
「僕は貴方が好きです。付き合ってください」
美鶴が告白をしてきた
「は? どう言う事?」
俺は混乱する
「告白ですよ? 分かりませんか?」
美鶴が俺に聞く
「なんで俺のことを好きになったんだ?」
俺が聞くと
「……さぁ? どうしてでしょ?」
美鶴が首をかしげる
……訳がわからんぞ
……どうなってんのこれ?
……理由が分からないのか?
……さぁ? 本人に聞かないとわかりませんよ
「どう言うこと?」
俺が聞く
「好きになったんです。多分中学の拉致事件の時からだと思います」
美鶴が答える
「そうか」
俺は一応納得する
「付き合ってくれます?」
美鶴が聞いてくる
「悪いが無理だ」
俺は答える
……どうしてですか?
……どうしてって今の状況だ。死ぬ可能性も存在している今は交渉手段や止める方法を考える方が先だ
……そうですね。今でなければどう答えました?
……付き合ったかもな。その時にならねぇと分からんがな
「そうですよね。すみません」
美鶴が謝る
「……それよりまずはどうやってあいつらを止めるか考えないとな」
俺はそう言って携帯を取り出して連絡を取る『捕まったんだってな』
朱音が出た
「あぁ、交渉は無理そうだ。まぁ、戦って止める」
俺が答える
『それで何用なんだ?』
朱音が聞いてくる
「そっちに警察が行ってないか?」
俺が聞くと
『いや、来てないぞ』
朱音が答える
「それなら良いがバレないように注意しといてくれ」
俺はそう言って電話を切ろうとすると止められる
『ちょっと待て、私シーナだよ。君に伝えたい事がある。作戦開始時に君達は警察の主要戦力を止める。作戦時間は3時間だから頑張って』
シーナが俺に伝える
「分かった。3時間か。3時間でそっちはその時間で制圧出来るのか?」
俺が聞くと
『大丈夫。他にもメンバーを集めてあるからいける。一ヶ月後作戦実行だからよろしくね』
そう言ってシーナは電話を切る
「……3時間だってさ」
俺が美鶴に言う
「3時間耐久? その前に行かせなくすれば良いんだよね?」
美鶴が聞いてくる
「あぁ、それで大丈夫だがその場合も俺たちは行けないだろうよ」
俺が答える
……一ヶ月後ですか。それまでどうします?
……まぁ、警察に力を貸して恩を売り続けて佐原だけでも味方にしたいな
……たしかに相手が2人ならなんとかなりますよね
……多少は楽になるが油断出来ない
……2人は武器は剣ですか?
……沖田さんは剣だが歪鵞は槍を扱う。歪鵞は槍だから厄介なんだよ。リーチが長いからな、銃の距離を生かして戦う
「こうなるのは決まっていたんだろうよ。それなら今更足掻くことも不可能か」
俺はそう言って携帯をしまって寝転がる
「あいつらが帰って来たら考えよう」
そう言っておれは寝る
それなりしばらくして足音が聞こえたので目を開けると帰って来ていた
「こいつも入れる」
沖田さんがそう言って少女を牢に入れる
「3人って狭くなるんだが」
俺がそう言うと
「我慢しろ。作戦とやらを教えればお前を優遇してやるよ」
沖田さんはそう言って椅子に座る
「こわかった」
少女は俺に涙目で抱き着いてくる
「怖かった? 何かされたのか?」
俺は聞く
「人がいっぱいいて検査された」
少女が答える
「ここにいれば大丈夫だよ」
美鶴が少女の頭を撫でると少女は嬉しそうにしている
「沖田さん検査結果はどうでした?」
俺は沖田さんに聞く
「身体の内部に武器が仕込んであった。取り除く事は難しい」
沖田さんが答える
「そうですか。国が意図して隠していたと考えやすい」
俺はそう言って少女を強く抱きしめる
「もう心配ないぞ。俺達が守ってやる」
俺は少女の頭を撫でる
「そいつはいずれ国民に晒さないと行けないぞ。分かっているよな? 国を変えようと変えまいと」
沖田さんが聞いてくる
「分かっていますよ。だからこそ守るのですよ。こいつには罪がないのだから、そして国を変えるためにあなた方と戦います。俺がやる必要は無いでしょうがこの身に変えても必ず邪魔させない。悪いが操り人形が出る幕ではないんでな」
俺は覚悟を決めて3人に言う
「そうか、邪魔をしたければすれば良い。貴様らが勝てると思っているのならな」
沖田さんはそう言って仕事を始める
……少女は戦闘に参加させないのですか?
……させない。こいつを参加させてもそこまで戦力アップにならないと思うしその上で下手をすれば足手まといになる。銃での牽制しながら様子を見て鎧を使う多分これしか勝ち目がない。佐原がいてもいなくても変わらない
……沖田さんはそんなに強いのですね
……多分だが俺が戦うのは歪鵞の方だぜ。沖田さんを相手にしたら銃での牽制は効かない
……首輪を付けておくか
その後は美鶴と少女は佐原に連れられて風呂場に行き俺は歪鵞と一緒に風呂場に行った
「お前ってなんで俺らみたいなのと関わり持ってるんだ?」
歪鵞が聞いていた
「関わりを持っている理由? お前らとは確か事件解決後に知り合ったよな? 裏の人達とはその後の事故で死にかけた時に助けて貰ったってのが理由だな」
俺は答える
「助けて貰ったのか?」
歪鵞が聞いてくる
「あぁ、丁度近くにいたらしく助けて貰ったんだよ」
俺が答える
「へぇ、そうなのか。それから知り合ったのか」
歪鵞が感心している
「その後2ヶ月に一度程度はそこに行って検査をしている」
俺は答える
「検査? 身体の調子を調べているのか?」
歪鵞が聞いてくる
「そうだ。体質の問題もあるからな。まぁ、勝負になったら手加減はしないがな」
俺が答える
「俺も本気で行く気ではあるが佐原が言ってた言葉のせいで何が正しいとかよく分から無いんだよ」
歪鵞が上を見上げる
「それは自分達で考えろ。お前達が自分達の意思で動け。操り人形のままではつまらないだろう?」
俺はそう言って風呂を出る
その後2人とも出て仕事場に移動して俺は牢に入る。
……歪鵞さんって結構良い人なんですね。
……良い人かどうか分からんけど結構しっかりとしているぞ。3人とも常識を知らないだけでしっかりとしている。
……これが終わったら美鶴ちゃんに告白するの?
……多分しないな。俺は人殺しだぞ? 無理だろう。
……それはどうだろうね。英雄になれば出来るよ。
……そうなのか? まぁ、生きていれば考えておこう。
俺はニーナとの会話を終わらせて壁に寄りかかって寝る
翌日
「おはよう」
美鶴が挨拶をしてくる
「おはようさん……眠い」
俺は欠伸をしながら挨拶をする
「おはよ、う……ぐぅ」
少女は起き上がったかと思ったらまた寝始める。その姿を見て俺たちは笑う
「連、力を貸してくれる?」
佐原が聞いてくる
「良いぜ。次は何の仕事を手伝えば良い?」
俺が聞く
「闇商人と取引をするから来てもらう」
佐原が答える
「捕まえる気は無いんだろ?」
俺が聞く
「無い。闇商人には警察も力を貸して貰っているから」
佐原が答える
「分かった。じゃあ行こうか」
俺はそう言って歩き始める。俺たちは車に乗ってある場所に移動する。車に乗っている間にメールで連絡を取る
『あの場所にて合流な』
『了解です。相方は誰?』
『警察の最強メンバーの1人の佐原可憐だ』
『佐原? 大丈夫なの?』
『お前らは警察に恩を売ってるから捕まえる気は無いそうだ。そうだ小型の銃ってないか?』
『小型の銃? ハンドガンじゃない奴?』
『そうだ。なければないで良いが』
『隠せる武器ならあるよ。無理やりやればUZIは隠せるかな?マガジンを入れた奴も用意しておくね』
『頼んだぞ』
「そういえば何が目的だ?」
俺は佐原に聞く
「目的は武器の弾の追加と武器の追加」
佐原が答える
『P90のマガジンと別の武器の追加だってさ』
『了解持って行くね』
「作戦に対してのか?」
俺は聞く
「違うわ。その前に色々とあるから」
佐原が答える
……あいつらが作戦を言い出したとは思っていないのだろうな
……今の状況に問題がないと考えられますからね
……つまらない。あいつらが言っていた意味が何となく分かった
……闇商人なのに自分達は国に力を貸せば国の庇護下で自由になれるですか
「そろそろ着くぞ。準備しておけよ」
俺は外を見て言う
「えぇ、分かったわ」
佐原は銃を隠している
(やる気は無いだろうが警戒しておくか)
車が止まり俺たちは降りてしばらく歩いてから裏路地を通って行くと少し広い場所に出る。周りは建物で囲まれており逃げ場がない
「ここに来るの?」
佐原が聞いて来る
「あぁ、来るぞ。ここは取引の場所の一つだからな」
俺はそう答えて横の壁に寄りかかって待つ
……戦闘にならないですよね?
……多分な。ならないとは言い切れないがな。戦闘になったら鎧でも使うかな。
……死ぬ可能性あるのですが大丈夫ですか?
……試してみたいんだよ。死なないように頑張るかな?
……頑張ってくださいね。死んだら許しません
少し経つと2人が走って現れた
「呼ばれて登場したよ」
夜鬽がそう言って前に出る
「同じく登場」
澪がその後に現れた
「来たか。佐原取引するんだろ?」
俺が聞くと佐原は銃を取り出す
「いやしないよ。捕らえる」
佐原は答える
「はぁ? 何言ってんだ? 佐原」
俺は佐原を睨む
(こいつ戦う意思はないはずなのに……)
「捕らえるか。なら殺しあうしか無いのかな?」
2人が銃を取り出して構える
……戦闘になりますね
……なるな。仕方がない。使う
俺は首輪に触れて鎧を召喚する
「来い霊雷壊殲」
俺の体を黒い液状の何かが包み込むと全身を覆う鎧に変わった。
……これが霊雷壊殲か。特に問題が無いぞ
……そりゃあね。君は元々幽霊に取り憑かれた人間だったから弾かれたんだよ
……あなたが霊雷壊殲なのですか?
……そうだよ? 君達よろしくね
……お前は命を奪って来たんだろ?
……鎧を付けた人に取り憑いたら精神が崩壊しただけその結果暴れて死んだ
……そうなのか。まぁ良い。力を貸せ
……良いよ。存分に使って戦って
「おい、今喧嘩するなら俺も参加するぞ」
俺がそう言うと佐原が銃を撃って来るが全て鎧に弾かれる
「あまいぞ。佐原」
俺は鎧から剣を作り銃を弾いて佐原に剣を向ける
「嘘何で使えるの?」
2人が驚いている
「なんか使えた。まぁこれなら問題はないな」
俺は答える
「その鎧は?」
佐原が聞いて来る
「秘密兵器だ。こいつならあの2人に対抗できる」
俺が答える
「確かに出来そうね。でもそれを回収すれば問題が無い」
佐原がハンドガンを向ける
「それでは貫く事は出来ないぞ」
俺はそう言ってハンドガンを弾こうとすると横から来た衝撃によって吹き飛ぶ
「な‼︎」
俺は壁に当たるギリギリで止まる
……地味に痛いな。衝撃がやばいな。相手の武器はなんだ?
……これは対物ライフルだね。鎧にダメージは無いけど衝撃で体にダメージが入る
……厄介だな。それに距離が結構あるな
……警戒範囲内に居ませんので1Km以上です
……1Km以上かよ。この場を任せていくかな
「お前らこいつを任せるぞ」
俺はそう言って銃撃のあった方に向かう。建物を登り予想した場所に移動する。その際に人に見られて居たが警察が揉み消すだろう
……そのまま後800メートル約2分で接敵
……了解だ。‼︎ 撃ってきやがった。逃げる気は無いようだな
……警戒範囲に入りました。沖田さんのようです。まだ構えています
……あの人銃使えたんだな。成る程、どういう手段か分からんが捕らえろと伝えたんだな
俺はそのまま前に行き2分経って沖田さんと接敵した
「沖田‼︎」
俺は剣で攻撃するが防がれる
「あまいな。連」
沖田さんは剣を取り出す。二刀流であった
俺はすぐに剣をもう一つ作り攻撃をしかける剣同士がぶつかりあって甲高い音が鳴る。鎧のおかげでこっちへのダメージは少なくなっているが一撃一撃が重い
……な、なんだこれは
……重い。なんでこんなに重いの?
……気をつけてください彼は何かがおかしいです。
俺は武器をいくつも作り沖田さん目掛けて攻撃を飛ばすが全部防がれて攻撃を喰らい吹っ飛ばされる
……がっはぁ、クッソがダメージがデカイ舐め過ぎてた
……もう撤退してください危険です
……君の体は……成る程そうなっているのか。このまま戦うと死ぬ可能性あるわよ
……逃げられるとも思えないのだが方法はないのか?
……あるよ。使う? 使うなら契約しよう
……契約? まぁもう少し頑張ってみるが
俺は沖田さんに攻撃を行うが避けられて攻撃を喰らいそうになり盾を作って防ぐ。手数を増やすが全部防がれたり避けられたりしてしまう。
(こいつ人間なのか? まさか歪鵞と同じ実験体? だが一体何を手にしたんだ?)
……解析できたよ。最悪だよ。彼は数秒先の未来を正確にみる事が出来る。デメリットは神経を使うため寿命が普通の人間より少ない
……確かに最悪だな。勝ち目がないなこれじゃあ、契約するからやれ
……良いんだね? じゃあ使うよ
「さぁ、仕切り直しだ‼︎」
俺は沖田さんに攻撃を仕掛けるが避けられる
……これじゃあ無理だぞ
……心配無いよ。手数を増やせば良いから
鎧から尻尾のような形をした刃が生えて沖田さんに攻撃を仕掛けるが寸前のところで防がれる
……もっと増やすよ
更に尻尾が4本生えてから翼のような形状の物が生えて右手は剣の形状になり左手からは盾が現れた。完全に異形の姿をして居た
……未来が見えても関係ない。固有スキル ジャミング 我が能力を食らうが良い
……凄いなお前は一体何者なんだ? そしてこの鎧は何なんだよ
……教えてあげるよ。私はこの鎧の意思でこの鎧は概念武装の一つだよ。ところで概念武装って知ってる?
……概念武装? それって一体なんですか?
……時間が経って色々な思いや感情によって姿や力を変えて強い物なら不可思議な現象を起こすことが出来る物だよ。この鎧は呪いや負の感情などによって構築された破壊兵器で破壊するのに特化した物だよ。そしてこの鎧の力は固有スキルがジャミング特殊な電波を使い武器や人の動きなどを妨害する力、契約ってのはこの鎧を永遠に持ち続けないと行けないという事
……成る程な、概念武装なんてあるんだな。まぁ、これで攻撃が届く
俺は走って攻撃を仕掛ける。沖田さんは驚き避けきれずに攻撃を掠る。
(届いた)
俺はそのまま攻撃を仕掛け隙を作らない。沖田さんは攻撃を避けるのに精一杯のようだ。ジャミングのせいでうまく身体が動いていないようだ。行けると思った瞬間吹き飛ばされた
「ガッ‼︎ ぐっはぁ」
思わず血を吐いてしまう。沖田さんの方を向くとそこにはさっきまでとは違う赤い服を付けている沖田さんが立っていた。手には何も持っておらず剣が3本浮いていた
……あれも概念武装なのか?
……そうだよ。でもジャミングの効果は効いてるから本人はあまり動けないようだよ
……あれも固有スキルなんですか?
……絶対防御だよなこれ
……多分ね。あの剣3本で周りを守って死角からの攻撃すらも完全に防ぐんだと思う
……じゃあどうする? 打つ手なしか?
……いや、そうでもない。あの3本を封じながら攻撃をすれば大丈夫、でも多分後4本程度はあると思う
……どうしてだ?
……それじゃないと弱過ぎるんだよ。彼の概念武装は
……成る程、警戒しておくか。とはいえもう後数発食らえば鎧でダメージを極限まで減らしているとはいえ俺の体が持たない。それに痛みで感覚が麻痺していやがる。
……じゃあ最終ラウンドだね
俺たちは同時に走り出して攻撃を行う。両方とも武装を使って打ち合う。全力の打ち合いで建物が壊れ崩れ落ちるが俺は羽で飛んで沖田さんは剣を2本使い空中を浮く。使えるのが1本になった為7本取り出す
……7本かよ。もっと手数を増やせるよな?
…増やせるよ。しかし、身体に負荷が高くなるから危険だよ。
……今更関係ない。それに全力でないと死ぬぞ。
……撤退をしないと
……撤退をする訳には行けない。逃げたとしてあの2人が狙われる可能性が高い。
……さぁやろうかマスター武装全開……負の概念武装 霊雷壊殲全力で参ります。
鎧からもう2枚の羽が出て足から刃が現れ頭には角が2本現れ盾が刃に変わり身体の全体に電気を纏う。その姿は悪魔のように見える負の概念武装 霊神雷乱壊鎧殲舞《れいしんらいれんかいがいせんめい》
……名前が長いし字が難しいし厨二病?
……こういう名前なんだから仕方ないじゃんつけたの私じゃないもん。
……一応難しい漢字をただ繋げている訳じゃないみたいですよ
……そんな事よりやるよ
沖田さんが剣を飛ばしてくる。ギリギリで避けて少し距離を取る。何故か知らんうちに野次馬が集まっていたので一撃野次馬の近くに打って野次馬を逃がす。2人ともジリジリと距離を詰めて10メートルくらいになった瞬間に攻撃を打ち合う。俺は刃の尻尾と羽で攻撃をして沖田さんは全部の剣を飛ばして応戦する。吹き飛んだ剣や弾かれた刃の尻尾などで周りの建物に傷がつく。両者とも言葉を交わす事は無くただ前の敵目掛けて全力の攻撃を仕掛ける。ジャミングの力で弱らせている筈なのに実力は拮抗している
……ジャミング有りでこれなのかよ
……ジャミング無しならもっと強いって事だよ。もっと負の感情寄越せ~負の概念武装なのに保管されてたから全然力が足りん‼︎
……応援とかで強くなるとかは聞くのですが負の感情を寄越せってのは初めて聞きます
……沖田さんの使ってる概念武装は一体何の概念武装なんだ?
……あれは多分正義の概念武装だね。あれは所有者によって変わるタイプの概念武装だね。己の正義を貫けば貫く程強くなるって感じの奴だね。彼ってどんな人?
……操り人形、言い方は悪いけど正義のために身を捧げているような人だ。相性抜群だな。今更ながらに無理じゃないかな?
……外に出て間もないから力を使えてない。
……負の感情か。なぁ、吸収の範囲はどのくらいだ?
……100メートルくらいだけど
……伸ばせるか?
……出来るけど力をそっちに使うと力を一時的に下げることになるよ
……構わん。対象はこの世界全てだ。吸収するまで耐久してやるよ。手数を無理やり増やしているから一つ一つが弱いから押し切れないんだろ?
……よく分かったね。分かったよ時間は2分頑張ってね
鎧の姿が変わり尻尾1本になってしまったがいまある全力を注いでいる。沖田さんは異変に気付き全部一斉に飛ばしてくる
(全部避ける出来ないなら受け流してそれでも無理なら防ぐ)
神経を使い相手の攻撃を予測して全力を尽くして時間を稼ぐ。一回で二つの剣を防ぐ事ができるが沖田さんへの攻撃が出来ない。
……やばい身体が持たねえ。内臓にダメージが入っているな
……私の力も使ってください。2人分の神経でなら多少でも余裕が出来る筈です。
ニーナ分の力を借りて対抗するが流石に力を減らしているので押されている
……激しくなってきた。こりゃあ、きついぞ。おい、霊雷壊殲それでどんな感じだ?
……凄いいっぱい力が手に入るよ。でもこんなに力を取り込んだら精神が持たない
……構わん。それぐらいないとこの人には勝てないだろ?
……分かった全部渡すよ。受け取ってくれぐれも死なないでよ
「……ぐっがはっ……がはぁぁ…………はぁはぁ……があぁぁぁ‼︎」
全部の力を一気に吸収すると身体が千切れる感覚に襲われて俺は叫び始める。鎧が姿を変えて先程よりも恐ろしい姿に変わり周りを無差別に攻撃する。野次馬が居なくなった後だったので人への被害は出ないが建物が崩れ始める。
……大丈夫? 力が暴走しているよ。
……力が外に出ている。抑え込まないと
……私達全員で抑え込みましょう。
……分かった、やろう。マスター良いですか? 3人で抑えてマスターはそのまま力を自分の意思で操ってください
……分かった。やってみよう
力を抑え込み閉じ込めて時間をかけてゆっくりと力を解放する。沖田さんがそんな事許す事もなく全力で攻撃を仕掛けてくる
……攻撃が来ます
……まじかよ。吹っ飛べ
……ギリギリですね。頑張ってください
1本尻尾を作って攻撃を吹き飛ばす。
……第2波くるよ。私も操るの手伝う。私の身体だし出来るよね? 取り敢えずやってみようかな?
……警戒範囲を多少広げて警戒しておきますね。
……頼んだぞ。
ゆっくりとしかし確実に力を操っている。最適な姿に無駄の無い形に姿を変える。全 黒い鎧を全身に纏いながら尻尾は1本で羽が2本で足に刃を手を長い剣に腰から尻尾とは違う2本の刃を出す。残った力を速度や長さや力に変える。かかった時間は5分である。その間全攻撃を凌ぎきった
……成功したぞ。よっしゃこれでいける
……成功ですね。これで敵を倒しましょう
……よしやるぞ‼︎ マスター全力で倒しましょうか
沖田さんが攻撃を仕掛けるが全部避けて刃で攻撃を仕掛けると建物が真っ二つになるが沖田さんは避けていたようだ。しかし、沖田さんは膝をついていた
……どうだ‼︎ 我が能力ジャミング食らっているようだね
俺は沖田さんの攻撃を弾いて近づく
「勝ちです。ギリギリですけどね」
俺がそう言って刃の一つを首元に置く
「これでは勝てないな。それに俺の正義の為とはいえ此処まで建物を壊してしまったからな。少しやり過ぎてしまったように感じている」
沖田さんはそう言って手を上げて降参している。多少反省しているようだ
「全力でやり合ってましたからね。作戦に手を出せばこれじゃあ済まなくなりますよ? それに顔を見られてないので今なら逃げれますよ」
俺はそう言って鎧のままこの場から去ろうと走る。隣を見ると沖田さんも一緒に走っていた。
「まぁ、バレなければ良いよな」
沖田さんがそう言ったので俺は笑う。その後3人のいる場所に行くと佐原が縛られていた。2人とも最初はその光景を見て呆然としていたが笑ってしまった。すぐに2人と別れて3人で警察署に戻ると歪鵞は笑っており少女は目を輝かせており美鶴はジト目でずっとこっちを見ていた。かなり怒っている様子だ。俺は苦笑いをしていた
あれ程の戦いをしたにも関わらず両方とも怪我一つして居なかった。かなり問題になっていたが誰がやったかは分かっていなかった。見た人の情報だと赤服の魔導師と悪魔の戦争だとか言われていたらしい、言い出すことでも無いのでこの地域の警官に知っているか聞かれたが全員知らないふりをして居た。沖田さんの話では概念武装はこの2つ以外放置していれば危険はない存在らしくこの2つほど危険な物は確認されていないらしいのでこの2つの存在を知られないように居ないと駄目らしい。逆に言えばこの2つがあれば支配は容易いだろう。
「俺たちはお前らの作戦に手出しをしない。手出ししても勝てる気がしないからな。お前達はどうするんだ?」
沖田さんが答える
「作戦の援護する。この作戦だとスナイパーをやるつもりだ」
俺が答える
「僕はやる事ない。まぁ、茉耶姉と同じで指揮官に力を貸そうかな」
美鶴が答える
「そうか、それなら俺たちが力を貸そうか? 概念武装を使うから姿は見られないと思うし2人は仮面でもつければバレないだろう」
沖田さんが言う
「それは有り難い、全員に早く伝えよう」
俺は携帯を取り出してメールを送る
……嘘だと思わないの?
……共感覚を持っているから大体嘘かどうかは分かるぞ。まぁ分からん時は分からんが
……便利だねマスター
……凄いですよね。便利な分面倒ごともあるみたいですけど
『交渉成立したぞ』
『まじか。全員に伝えるからちょっと待ってろ』
『よくやってくれた。東京であったのはお前らが原因か?』
『そうです。少しやり過ぎまして』
『まぁ良い。それでお前達が援護に入れるのか?』
『援護いけます。それと3人程力を貸してくれるそうです』
『警察のあいつらか?』
『そうですよ。一応ですが沖田さんに勝ちました』
『そうか、シーナに変わるぞ』
『変わりましたよ。よくやりましたね。援護に関してもしっかりとしてくださいよ?』
『頑張りますよ』
『他のメンバーの話はこっちに帰ってきてからするよ。明日帰ってきて? 今日は休む事良いね』
『分かりました』
俺は携帯を閉じる
「明日向かいます。今日は休むように言われました」
俺は全員に伝える
「こいつは戦力に入れないのか?」
沖田さんが聞いてきた
「あっち行ってから考えます。医者が1人いますので」
俺が答える
「医者? 誰の事?」
美鶴が聞いてくる
「あっち行ってから教える」
俺が答える
その後は牢には入らずに自由に休んで明日に備える為にすぐに寝る
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