無色の君

代永 並木

文字の大きさ
上 下
6 / 9

6話

しおりを挟む
翌日の朝
「全員いるな? 連案内してくれ」
沖田さんが確認する
現在車に全員が乗ってアジトに向かう所であった。その後2時間かけて向かう
「ところで朝霧は元気なのか?」
沖田さんが聞いていた
「元気ですよ。あの人と知り合いなんですか?」
俺が答える
「あぁ、前に戦場で共に戦った。あれ程の力を持った人間がいるとは思っていなかった。概念武装を使わなければ未来を見れるとしてもきついかもしれない」
沖田さんが絶賛していた
「貴方ですらきついのですか。流石化け物集団のリーダーをやってるだけはある」
俺が答える
「テロリストになんで強いのがいるんだよ?」
歪鵞が聞く
「知らんわそんな事」
俺が答える
「本当に化け物集団だよね。朱音さんとか素手で首切ってたんでしょ?」
美鶴が聞いてくる
「ああ、そうだ。武器なしで殺してる」
俺が答える。復讐者の集いのメンバーは朱音程度の実力を全員が持ち合わせている
「作戦とやらを止めに行っても勝てる自信がないのですけど」
佐原が言う
「まぁ、そうだろうな。最初見た時は別次元の人間だと思ったし」
俺が答える
……そんな強いのか。どんな奴らか楽しみやな
……私は知っていますよ。本当にやばいです
……まず人間だと思っては行けない
「そうだ美鶴知ってるか? 凌さんっていただろ? あの人ってあの組織のNo.2だぜ」
俺が美鶴に伝えると美鶴は驚いていた
「あの人が⁉︎ てっきり朱音さん辺りかと思ってた。そんな強いんだあの人」
美鶴が答える
「凌? あぁ、そいつも戦場に居たぞ。中々の化け物だった記憶がある」
沖田さんが答える
「凌さんも戦場にいたんだ。かなり意外だな。あの人そんなに戦闘得意そうじゃなさそうなのに」
俺がそう考えていると
「真正面からの戦闘は苦手だよ。ただ暗殺の技術がやばい。敵だったらあの2人とは敵対したくない」
沖田さんが答える
「うっわやばいな。隊長にそんな事言わせる奴が2人もいるなんてやばすぎるだろその組織戦わなくて良かった」
歪鵞は安堵する
「戦ったら私達って完全に足手まといになりますよね?」
佐原が聞いてくる
「多分そうだろう。一応お前らはまだ人間だからな。沖田さん達が人間をやめているだけでおかしいのは沖田さん達なので」
俺が答える
「お前も昨日人間やめたじゃねえか悪魔様」
沖田さんが言い返してきた
「何も言い返せない。まぁ、完全に人間の姿をしてなかったからな俺は」
俺は苦笑いをする
「それは見て見たかった」
美鶴が俺を見て言う
「見ても面白くないぞ。悪魔とか言われてたらしいしな」
俺が答える
「真っ黒の鎧を纏って尻尾や刃が生えて羽も生えて手が長い剣になって足にも刃が生えてるのを見て人間だと思わないだろ」
沖田さんが苦笑いする
「人間ではないな」
歪鵞が答える
「いや、中はれっきとした人間だ」
俺が答える
……負の概念武装だからね。悪魔みたいになるのはそこまで変じゃない
……負の感情によって姿が変わるからな。悪魔にもなるか
……なりますね。勝った理由は世界全体から負の感情を集めたからってのがなんか釈然としないのですが
……気にしたらダメだよ
……気にするな。気にしたら負けだ
……あ、はい、分かりました。ところで告白
はしないのですか?
……まだ終わってない。
……告白? なにそれ
……鎧を付ける少し前に告白されたんですよ。なのに断ってしまったんですよこの人
……告白したのって横に乗っている子?
……あぁ、そうだ。
……上に乗ってる子は?
……国の実験体になった少女だ。現在保護している。名前は剣0032だ
……剣0032? 知らない。他の子が居ないと言う事は死んだのね
……こいつの話では死んだらしく生き残りはこいつだけだ
「そういえば沖田さんの概念武装の名前ってなんですか?」
俺が聞く
「俺の? アルゲドランって名前の筈だが、一応正義の概念武装」
沖田さんが答える
「アルゲドランですか。俺の概念武装は霊雷壊殲です。正式には霊神雷乱壊鎧殲舞です。負の概念武装です」
一応俺も説明する
「負の概念武装? いきなり強くなったのは負の感情を取り込んだからなのか?」
沖田さんが聞いてくる
「そうですよ。世界全体から負の感情を集めて取り込んだからです」
俺が答える
「悪役だな」
歪鵞が笑う
「完全に悪役でした。それと契約で永遠にこの力を持ち続けないといけなくなりました」
俺が苦笑いをした
「そうか、まぁ、頑張れよ。まずは合流して作戦を聞かないとな。作戦実行はいつだ?」
沖田さんがきいてくる
「1ヶ月後くらいです」
俺が答える
……今のうちに行けば警察が混乱しているから簡単に制圧出来ると思うけど?
……たしかにそうだな。俺たちの起こした事件の犯人を探しているから結構な警察や自衛隊員を導入してる
……出来る限り早くしてもらいますか?
……そうだな。まぁ少し油断したところを突きたいから2週間後くらいになるだろう
……それまでに力を吸収しておこうかな。範囲拡大世界全体でやっておくか
……沢山手に入るだろうよ。まぁ、もう使う機会は無いだろうけどよ
……有ったらあったで困ります。特に国が、都市一つ程度なら壊れるのでは?
……簡単に壊れるだろうよ。しかし、負の概念武装に対抗出来る奴なんてあるのか?
……正義の概念武装でも対抗出来ないけど多分あるよ。名前だけ聞いた事がある。無邪気な概念武装の存在を
……無邪気な概念武装? なんだそりゃあ?
……無邪気であればあるほど強くなるのですか?
……詳しくは知らないけど行動に罪を感じない事が一つの条件だった筈
……条件? 概念武装が決めるのか? 使用者を
……そう、一応私も選ぶタイプなんだけど色々とあってこうなったわけ
その後エリアについた為車を降りて中に入る。ちらほらこっちを見ている人達がいるが完全に無視して進んで居た。美鶴と少女は俺の服を掴んで歩いている。手を出そうにも剣を持った沖田さんと後ろに歪鵞と佐原が立っている為手を出せないようだ。しかし、周りを見ると囲んでいる者達がいた
……完全に狙ってますよ。どうします?
……ほっとけ、手を出してきたら殲滅すればいい
……警戒しておきます
……いつでも私は使えるよ。
……使わない。使う必要が無いだろう?
……そうだね。しかし、数が多いね。相手にしたら一苦労するだろうよ
ニーナが警戒しながら俺たちはアジトに向かう。すると目の前から2人の男性が歩いてきた。
「久しいな。沖田」
男は沖田さんに挨拶をする。正体はリーダーと凌さんであった
「確かに久し振りだな。朝霧神居」
沖田さんが返す
「リーダーだ。どうしたんですか?」
俺が聞く
「迎えにきた。囲まれておるな? まぁ、付いて来い」
朝霧さんはそう言って前を歩く
「凌も久し振りだな。朝霧の所に居たんだな」
沖田さんが凌さんに話しかける
「久し振り、戦場を彷徨ってたらリーダーに誘われて入ったんだよ。沖田は警察の最強になってるから驚いたよ」
凌さんは説明する
「なんか凄い光景」
美鶴が言う
「警察と裏の人の会話だからな。それと両方とも戦場に行った事がある人」
俺が答える
「アジトに着くぞ」
朝霧さんがそう言ってアジトに入る
「ここがアジトなのか?」
沖田さんが聞く
「そうですよ。全員居ます?」
俺が答える
「いるよ。この中に全員揃っている」
凌さんがそう言って中に入るので全員で中に入る
「おっきたか。お前らすげぇな。なんだあの戦い」
朱音が近づいてくる
「悪魔やってた」
俺が答える
「会議するぞ。といってもこのメンバーならぶっちゃけ全員参加じゃなくていいような」
朝霧さんが考える
「それなら数人を支配後直ぐに政治に入れるようにすれば良い。国が混乱しているうちに軸を固める作戦」
シーナが答える
「政治方法は?」
朱音が聞く
「1人を代表に置くかここにいるメンバーで権力を分けるか」
シーナが答える
「それならシーナを代表に置けばよくないか? 1番頭いいし」
一夜が提案する
「異議なし」
「文句無いぜ」
などと反対意見がなかったため決まった。
……早い
……早い方が楽だから良い
……シーナさんってそんなに信頼あるんですね
……まぁ、欲が少ないって点では1番信用できる人だからな
……いつも寝ているそうですからね。
……良いんじゃ無いのマスター達が望む国を作れるならさ。
「それじゃあ戦闘は誰がする?」
シーナが聞いてる
「俺と沖田さんとリーダーと凌さんと歪鵞ぐらい居れば問題ないと思います」
俺が答える
「5人なら連携も取れるし潜みやすいから問題ないよ。2人は概念武装使うんでしょ?」
凌さんが聞いてくる
「悪魔と赤服の魔導師の共闘作戦だな。色々とおかしいが」
沖田さんが答える
「腕がなるぜ。悪魔の力を見せてやるよ。はははは」
俺は笑う
「こいつ鎧に取り憑かれて居ないか?」
一夜が聞く
「一応大丈夫だと思うぞ……多分」
歪鵞が答える
「取り憑かれて居ないですよ。これテンション上がると時々なる奴です」
茉耶姉が答える
「時々なるんだ」
美鶴が俺を見て少し引いている
「うるせえよ姉さん。それより作戦はどうします?」
俺は朝霧さんに聞く。
「お前ら2人は真正面から攻めて俺たち3人で裏から攻めるで良いか?」
朝霧さんが答える。
「分かった」
「分かりました」
2人が了諾する
「頼んだぞ。他のメンバーはシーナの指示を聞いてくれ」
朝霧さんは他のメンバーに伝える
「任せて、作戦実行日はどうする?」
シーナは聞いてくる
「今の状況を利用する。一週間後くらいに警察署で会議が行われるからその時に攻めるってのはどうだ?」
沖田さんが提案する。
「会議時にか。分かった。一週間後までに各自準備を済ませろ」
朝霧さんが全員に伝える。その後俺たち制圧班は全員でとある場所に移動する。その場所はエリアから離れてから10分程度歩いた場所にある廃ビルであった。全員そこに入る
「制圧班はここで作戦まで隠れて準備をする」
朝霧さんが伝える
「闇商人とは俺が連絡を取り合います」
俺が答える
「分かった。任せたぞ」
朝霧さんが言う。俺は携帯を取り出してメールを送る
『おい、闇商人、武器を寄越せ』
『いきなりだねぇ。良いけど君が使う武器は?』
『P90二丁を使う。マガジンもしっかりと用意してくれ。作戦実行は変わって居ない1ヶ月後だ』
『取引場所は? どこ?』
『……場所の廃ビルだ。今日頼む』
『わかった。すぐに向かおう』
俺は携帯をしまう
……マスター今のやり取りってまさか
……さぁ、どうしたんだろうな。
……警戒しときますか?
……頼む。どうするかな。取り敢えず首輪を付けておこう。
「全員集合してください。少し話があります」
俺は全員に呼びかけると全員が集まった
「何用だ?」
朝霧さんが聞いてきた
「…………」
俺が全員に近づいて小声で伝える
「分かった。お前一体何者なんだよ」
歪鵞が聞く
「普通の高校生だったが現在テロリスト」
俺が答える
「聞くと色々とやばいな」
沖田さんが苦笑いをする
「気にしないほうがいい」
俺は答える
……取り敢えず取引する?
……あぁ、取引するぞ。武器が必要だからな
……油断しないでくださいよ。
……分かってる。最近色々とあり過ぎて何がきても驚かない自信ある
……それって私の事もだよね?
……もちろんそうだ
「それまで待機だな」
歪鵞はそう言って上に上がる
その後待機してくるのを待つ。しばらくして黒い服で姿をしている2人組が現れた。デカイ荷物を持っておりその中に銃が入っていると考えられる。俺は前に行き取引を行おうとする
「来たか。銃は持って来たか?」
俺が聞く
「持って来たが渡さない」
男が答える
「? どうしてだ?」
俺は聞く
「俺は警察だ。お前を捕まえる」
男が俺に手錠を見せてくる
「警察? 違うだろう?」
俺は笑う
「何故笑う。貴様は闇商人と取引をしていただろうが」
男は銃を向けてくる
「お前らはあいつらから携帯を奪ったそしてそのタイミングで俺から連絡があったからメールを送り返した」
俺は説明する
「だったら? どうしたんだよ‼︎ 俺たちが警察ではないと言う証拠はない」
男が叫ぶ
「この闇商人は警察とつながっているから警察は動かないんだよ。それとお前らはミスを犯した。警察なら2人だけでは来ないだろ?国家特殊暗殺部隊のメンバーさん」
俺は言ってから銃を取り出す。男達も銃を取り出して構える
……やるぞ。鎧を付ける
……良いの? バレるかもしれないよ
……構わん。こいつを倒す。
……援護します
俺は首輪に触れて鎧を付ける。一本尻尾を作って銃を弾く。
「お前らどうやって携帯を手にした?」
俺は2人に聞くがハンドガンを取り出して撃ってくるが全弾鎧によって防がれる
(どうやって剣0032と関わりがあると気づいた? GPSか? いや違う。スパイ? それも違うか。それだとあいつらは関係しているとは分からない筈だ)
俺は考える。俺は1人を掴んで壁に叩きつける
「おい、何故知っている」
俺が聞く
「剣0032の力だ。固有スキル無限情報把握」
男が答える
「固有スキル? どう言うものだ?」
俺は尋問する
「この固有スキルはある条件でマスターになる事で奴が見た人物の全ての関係性を知ることが出来る力だ」
男は説明する。
「マスターになる必要がある? あいつ自身は知っているのか? あとあいつらは無事だろうな?」
俺が聞く
「心配ない携帯を奪っただけでそれ以外は何もしていない無事だ。知っている。だがその事を理解していないだろう」
男は答える
……この人って悪い人じゃないのかな?
……さぁな、悪くても良くても関係ない
「マスターになる方法は?」
俺は聞く
「マスターになる事を認めさせる。簡単だ。あいつに言えば簡単になれるだろう」
男は説明する
「それでお前達は何故俺を捕らえようとした?」
力を強くして聞く
「ぐっ、上司命令だ。剣0032を回収して排除しろとそれと現在のマスターはその命令した人物だ」
男が答える
「成る程、報告ご苦労様、それじゃあ失せろ」
俺がそう言うと2人は走っていなくなる
「剣0032のマスター変更します。こちらの情報は全部バレているのですがそのまま行きましょう」
俺はそう言って鎧を解いてアジトに走って向かう。途中ヤクザに絡まれたが銃を取り出して威嚇して進んだ。アジトに着いたので扉を開ける
「剣0032のマスター変更をします。条件はマスターであると認めさせるだそうです」
俺は開けてすぐに伝える
「概念武装ね。シーナさんマスター登録をお願いします」
佐原がいち早く状況を把握してシーナに伝える
「分かった。私が貴方のマスターになるわ。良い? 既にマスターがいる場合はその権限を破棄する事」
少女にシーナが伝えると少女は頷いて登録をした。その際に元のマスターの権限を破棄された
「これでバレないで済むか。そいつは無邪気な概念武装 剣0032は人間を元にして生み出された概念武装だ」
俺はそう言って壁に寄りかかる
「人が概念武装になるなんてあり得るんですか?」
美鶴が聞いてくる
「生まれてからずっと一つの感情を強く受けたんだろうよ。無邪気であるが故の固有スキルだろう」
……無邪気だから本人は見えても分からないか
……面倒だね。でもマスターが変わった事によってこちらの勝利は決まった。現存している主要となる概念武装が三つ手に入ったんだからね
……凄い状況ですね
……勝ち確定だが国を変えるためにはその後が大事だ。力は俺たちが知能はシーナが主体となれば良いが反乱を抑えるために必要な人気キャラが居ないとな。佐原と美鶴と茉耶姉にそこは任せるかな?
……それは後で作戦まで準備を1週間後の作戦実行時までに完了させるよ
……分かった。あいつらとの連絡はどうするかな?
……勝手に来るのでは? アジトにさ
「作戦実行はそのままで行きます。任せたよ制圧班特に主要の君と警察の彼は失敗が許されない」
シーナが俺に言って来る
「ミスりそうになったら警察署ぶっ壊すから問題はない」
俺は答える
「問題しかないよそれ」
シーナが呆れている
「それよりシーナ終わった後の事を任せたぞ」
俺はそう言ってアジトを出る
「ちょっと待って」
美鶴に止められる
「美鶴どうした?」
俺は美鶴に聞く
「少し場所を変えよう」
美鶴は歩き出す。俺はその後ろを歩く
……なんだ?
……分からないです
……なんなんだろうね? なんかやばそうな雰囲気だね
……警戒しておきます。何があっても反応出来るように
……多分大丈夫だと思うぞ。
しばらく歩いて森の中に入って少し経つと広い草原が現れた。草以外何も無いような場所であった
……こんな場所があるんですね
……知らなかった
……? なんか変だよ。ここ
……変って何がだ?
……確かに手入れされているわけでも無いのに草の長さが均等になってる
……言われてみればそうだな
美鶴は真ん中に立ってこっちを見る。俺は止まる
「確認するよ。国を変えるんだよね?」
美鶴が聞いて来る
「変えるぞ? それがどうした?」
俺は戸惑いながら答える
「そうだよね。なら死んで」
美鶴はそう言って手を前に出す
「⁉︎ どういう事だ?」
俺は驚いて銃に手をかける
「こういう事だよ。お願い来て……ファラトラス 敵を撃って」
美鶴の姿が変わる
……ファラトラス? 概念武装なのか?
……彼女も概念武装使い? でも何かおかしいよ。あのファラトラスとかいう概念武装
……使用者が成長する概念武装?
……概念武装にそんな力は無いはず‼︎ 概念武装は感情によって姿を変えたりするけど使用者に対して発動する物なんて無い。
……ではあれは一体なんですか? 概念武装じゃないならなんですか?
……概念武装だとしても固有スキルはなんだ? ジャミングのように目に見えないものなのか?
……いや、違うよ。それなら発動時にこっちに影響が出る筈、概念武装だとしたら知っているなら何で剣0032の元マスターが動かなかったの?
……だとしたら固有スキルは成長とは違うのか? 敵を撃ってとか言ってたし
……わからないよ。彼女概念武装を持っているなんて思ってもいなかったです。怪しい動きしてませんでしたし
……マスター鎧をつけて戦うよ
俺は霊雷壊殲を身につけて攻撃に備える
「何故国を変えるのを止める?」
俺が聞くと
「私は国を変えるつもりがないの、別にこの国でも良いじゃないの。でも貴方はこの国はおかしいと言って変えようとする。逆に聞くけどこの国をなんで変えるの? 変えても意味がないのに」
美鶴が答えて質問して来る
「そりゃあおかしいと思ったし変える為の戦力もその後に必要な知能を持つ奴もいるから変える。変えて見ないと意味があるかないか分からないだろ」
俺が答える
「この国がおかしいと思ったから変える? 人の世がおかしいなんて昔からじゃないの? 今更変えるなんてしても意味がない。人の世を変えるには人自体を変えないと行けない‼︎ 国を変えたところで人は何も変わらない‼︎ 無駄に終わるだけ‼︎ それにそんな事をしたら君たちは死んじゃう。それでも多分言っても止まらないから君を殺す。君が好きだからこそ君を無理矢理でも止める。せめて楽に殺してあげるよ」
美鶴が叫ぶ
……この子知っているわね
……知っている? 何をだ?
……国を変えただけで人は変わることは無いって事を国が変われば人が変わるならこんな事にはならない。人の本質を見抜いて理解して変えないと行けない
……それ今言うことか?
「警告するよ。今君が辞めるというならやらない」
美鶴が警告してくる
「嫌だね。俺は国を変える。霊神雷乱壊鎧殲舞速攻で倒す」
俺はそう言って攻撃を仕掛ける
「無駄」
美鶴を攻撃がすり抜けて違う場所から攻撃を食らい吹っ飛ばされる
「がっ、くっそなんだこの攻撃は」
俺は体制を直そうとするがまたもや吹き飛ばされる
「無理だよ。この概念武装には勝てないよ」
美鶴は少し笑う
……すり抜ける能力?
……それなら成長した意味が分からない
……2つとも出来る能力ってなんですかね? 姿が変わるのとすり抜ける力
……何かわかる? マスター
……なんか似た力を漫画で見た事があるような気がする
……なんですか? それと同じかも知れません
「何してるの?」
声がして振り向くと攻撃を食らう
……なんだ今の‼︎ 幻覚を操る力?
……それだとしたら何か方法はあるの?
……範囲攻撃だ。一気に攻撃する
……その瞬間だけ手数を増やせばいいよね?
……あぁ、任せるぞ
俺は止まる。美鶴が止まったのを確認して全方位に刃を飛ばす。美鶴をすり抜けて草むら全体に刃が届くが何も居ない
「当たったら死んでたよ。私を殺す気だったんだね」
美鶴は少し悲しそうな顔をしている
……嘘だろ。今の攻撃が当たっていないのか? 一体なんなんだよ
……ジャミングの効果を効いていない?
「ジャミングの効果は効いてるよ。動きづらいったらありゃしない」
美鶴はそう言って立っている
……恐ろしいよ彼女、命を懸けているのに全然怖がってない。
……あいつの概念武装はなんだ。それさえ分かれば大体の予想は出来る
……認識でしょうか?
……認識を操っている? それなら一応は理由が分かるが全体攻撃を避けた方法が分からない
……そうですよね。なんでしょうね彼女の概念武装は
……概念武装はその感情などによって強くなるから彼女の1番強い感情は?
……概念武装は感情が無いと使えない筈、分からん
「絶対に分からないよ。君達にはね」
美鶴がそういうと俺は横から吹き飛ばされるがすぐに体制を直してでたらめに攻撃を行うと少し美鶴が驚いていた
「そういえばさぁ、お前ってしっかりと感情があるんだな」
俺が聞く
「無いよ。表情を変えてるだけでこんなの作ってるだけ」
美鶴が答える
「なら、辞めろ。作り笑いとかは不愉快だ」
俺が睨む
「分かった。君に好かれたいから色々と試しているんだけど駄目みたいだね。それと次で決める」
美鶴はそう言って姿を消すと何かで貫かれる
「がっ、ぐぁ……」
俺は倒れ込む
……よ、鎧の上からだと
……嘘、なんで貫けるの?
……死んじゃうまずい
「じゃあね。君達は言葉によって騙されていた事が敗因だよ。生きてたらまた会おう」
美鶴はそう言い残して姿を戻して帰って行く
……マスター死ぬな。生きろ
……死なないでください
……そんな事言われても肺や肋骨を貫かれてるから血が大量に流れてる。無理か
……諦めんなマスター
……諦めたら終わりですよ。生きて
……そんな事言われてもどうやって助かるんだ? この状況
……多分生きられると思うけど
……楽に殺すとか言ってたから多分これはわざとやったんじゃあ
……なら、誰か居るのか? さっきの戦いを見ていた誰かが
「あの小娘死に損ないを私に押し付けるとはな。殺す気などさらさら無いくせに殺してあげるとかほざいていたか。それでは其奴らは扱えんぞ。椎名楓殿」
声がする。意識が朦朧としている為確認が出来ない
「……だ……れ……だ」
俺は声を絞り出して聞く
「単なる医者だ。お前を助けるから待っていろ。概念武装 アルトラルス」
目の前に大きな機械が現れ複数の手が傷口を塞ごうとしている
……概念武装 アルトラルスって概念武装ってあれ? 強いものは3つしか無いんじゃ無いの?
……それは俺も気になったが多分確認が取れてなかったんだろうよ。こいつと美鶴のは
……これなら助かりますね。打倒美鶴ちゃん
……美鶴をどうやって倒す?
……からくりが分からないから無理だ
……概念武装が一体何のスキルを持っているんでしょうね
……それより気になった事があるけど今助けてくれてる人が椎名楓殿って言ったんだよ。美鶴ってのは本名とは違うのかな?
……どうだろう。本名じゃ無い理由も分からん
……椎名楓? 何処かで聞いた覚えがあるのですが
……どこでだ?
……取り憑く前です。彷徨っていたら確か椎名楓殿行くぞって女性が言っていたんです
……こいつは昔から美鶴と一緒に居たのか。取り憑く前だから結構前か。衛藤美鶴は偽名の可能性が高いな
……どっちから近づいたの?
……美鶴からだ。
「治ったぞ少年」
声がしたので起き上がると傷が癒えていた
「ありがとうございます。ところで美鶴のことを知っているんですね」
俺はお礼を言う
「知っている。衛藤美鶴は私と同じ特殊能力者だったからな」
女性が答える
「特殊能力者?」
俺は聞き覚えのない言葉を聞いたので聞き返した
「特殊能力者ってのはある条件下で力が目覚めた者の事だよ。私は一度行った事のある場所の光景を完全に覚える事が出来るようになった。美鶴いや、楓殿は体温を操る事が出来る」
女性が答える
「絶対記憶能力と体温操作? 体温操作とか結構やばくないか?」
俺が聞く
「その分身体も強くなっているからそこまで急激に変えないなら100度や-70度まで行けるらしい」
女性が付け加える
……厄介だね。触れられたら溶けたりするみたいだね
……溶けるのかよ怖いな
……死にますね。間違いなく、冷たくなった場合は凍死ですかね?
……概念武装を使う時に使われたら勝てないな
……使われなくても勝てないんだけどそれは
……強過ぎませんか? 攻撃はすり抜けるし居ない場所から攻撃を食らったり鎧貫かれたり勝てる気がしないです
……何かヒントがあればいいんだけどあいつが言った言葉って何だっけ?
……言葉に騙されているみたいな感じの言葉
……騙されている? 名前が違うとか? いや、名前に関してはそこまで重要じゃないからな
……そうだね。分からない。彼女は絶対に分からないよって言ってたし一体なんだろう?
「なぁ、美鶴の概念武装についてなんか知っているか?」
俺は女性に聞く
「いや知らないな。彼女は自分の事を自分から話したりはしない」
女性はそう言って自分の手元を見る
「腕輪?それが概念武装なのか?」
俺が聞くと女性は首を横に振る
「違う。これは昔、彼女が持っていた物でな。これには概念武装程の力はないがこれの所有者に邪を祓い真実を見せると言われている物だそうだ。本当かどうかは分からんがな」
女性は苦笑する
「なんでそんな物をあいつは外したんだ?」
俺は少し考えたが分からず女性に聞く事にした
「どうしてだろうね。前は大事そうにしてたんだけど2、3年前に要らないとか言ってたから貰ったんだよ。形見だったのになんで捨てたんだろう」
女性は首を傾げて考える
「形見? 一体誰の?」
俺は気になり聞く
……形見をなんで
……なんででしょうね
「両親のだよ。10年前くらいに事故で亡くなってね。その後は叔父さんの家に引き取られたんだけど半月もしないで私の所に逃げてきてからずっと私の家で住んでたんだけどその時も肌身離さずに持ってた」
女性が説明する。簡単に言うとこの人は育ての親らしい
「そうか、はぁ、あいつを止めないと駄目だよな。負の感情をもっと集めても攻撃が届かないなら意味が無いよな~」
俺は寝転がる
「負の概念武装か。私のは癒しの概念武装で楓殿は確か無情の概念武装だった筈だよ。固有スキルがよく分かっていない」
女性が語る
「無情か。どうやって出来るんだ? 無情ってのは?」
俺は女性に聞く
「人の感情を向けないのが無情だから多分それを持ってた人達が何かに関心を持っていたりしてなかったんだと思う」
女性は丁寧に答えてくれた
「そうか、感謝する。止める方法は無いかも知れないがあいつの目的を邪魔していればいずれ諦めてくれるよな?」
俺は疑問を抱えながら走り出す
「死にかけたら回復してあげるよ。だから彼女を止めて」
女性は俺に追いついて頼んでくる
「任せろ。あの事を今更ながらにしっかりと考えておこうかな」
……告白の件かな?
……止まってくれるか分かりませんが1番効果ありますね。
……あぁ、今からだがしっかりと考えて答えを出すつもりだ。どうなるかは俺にも分からない。
……振っても構わんよ。彼女がどう動くかわからないが正直に言うのが1番
……貴方に掛かっていますよ。私達の命も作戦も
……きついが今更逃げる訳には行かない。よし、覚悟を決めた。行くぞあいつを止める
しおりを挟む

処理中です...