2 / 6
1話 神の加護
しおりを挟む
素早く腕を引く。
そして、不自然にならないようにサッと、端へ移動する。
……何ガ……手が焼けタ?
手を見ると、火傷を負っていた。
焼けた痛みもある。
しかし、服やナイフに焼かれた痕跡はない。
「反撃されタ? 気づかれていタ?」
勇者の姿を確認するが、気づいた様子はなく呑気に出店で食べ物を購入している。
奇襲に気づいていれば普通なら騒ぐ、追撃などの選択を行う。
一つ思い当たるものがあル。
神の加護、それなら本人の意思を介す必要がなイ。
防御反撃系の加護を持っているとなると厄介ダ。
どういう発動の条件カ、分からない以上、迂闊な手出しが難しイ。
裏路地に移動して、通信用の石を取り出す。
魔力を通すことで、石を持つ他の者と通信が可能になる。
魔王の持つ通信石に繋ぐ。
「おや、どうかしましたか」
出たのは魔王ではなく、側近のアルルスだった。
「魔王サマハ?」
「儀式の準備で手を離せません」
数年前から魔王が準備している儀式。
重要な儀式とだけは聞いているが、どのような儀式なのかはボクは知らない。
「勇者殺しの件で、報告をすル。神の加護は防御反撃系の力、接近時手が焼かれタ。発動条件効果不明、情報求厶」
情報があれば、神の加護相手でも対策を立てられる。
「それを調べて殺すのが貴女の役目です」
「情報集め、援軍求厶」
情報集めは単独では難しい。
時間がかかり過ぎる。
街に潜める魔族の支援が欲しい。
「援軍はありません。今前線が拮抗していますから、そちらに派遣する余力がありません」
……役に立たなイ。
勇者殺しは、最優先事項と言えル。
魔王サマに対抗できる存在の始末に、人員を割けないは分からなイ。
拮抗してるとはいえ、1人2人くらいなら派遣できるハズ。
「1人モ?」
「えぇ、1人も無理です。援軍がいなくともそのくらい可能なはずです。軍団長の貴女ならば。神の加護があると言っても、未熟な勇者を軍団長が殺せないというのは問題です」
通信が一方的に切られた。
石をしまう。
「仕方なイ。酒場で情報を集めて他の手ヲ」
援軍がないならないと、割り切るしかない。
酒場は人が集まるため、必然と情報が集まる。
しかし、勇者が召喚されてまだ間もないからか、加護についての情報は手に入らなかった。
……外レ。
ギルドは冒険者が集まる場所のため、避ける。
図書館で本も確認したが、今回の勇者の情報はなかった。
情報がない以上、接近しない別のやり方を試す。
直接攻撃は、外れた時のリスクが高イ。
だから、事故に見せかけル。
「ここが良いナ」
家の屋根に乗り、魔法で気配を消して、静かに待ち構える。
建築用のレンガを用意した。
勇者が近くに来た瞬間に、上からレンガを落とす。
並の人間なら当たれば死ぬ程度の規模。
勇者も肉体強度は人間種の平均程度、殺れる。
勇者が来た瞬間にレンガを落とした。
そして、素早くその場から離脱する。
その後、ゆっくりと騒ぎに気づいた野次馬を装って紛れル。
「なんだなんだ?」
「何があっタ」
「人の上にレンガが落ちたんだってよ。怖ぇな」
「危なイ」
人混みに紛れて勇者の安否を確認する。
「危なかったぁ」
勇者は生きていた。
それどころか、身体に傷1つない。
ボクは当たる軌道で落としたつもり。
……障壁カ?
石ころを強く蹴り勇者目掛けて飛ばす。
石ころは、何かに阻まれて地面を転がる。
……障壁カ。物理攻撃に対するバリア。
先程の落下物も防がれたと見れル。
障壁を撃ち抜く魔法を、ボクは持っていなイ。
近接系の魔法はあるが、確実に気づかれル。
他に仲間がいればやりようはあるが、いなイ。
ボクが失敗したら、次が派遣される……か分からなイ。
「別の作戦を決めル」
そして、不自然にならないようにサッと、端へ移動する。
……何ガ……手が焼けタ?
手を見ると、火傷を負っていた。
焼けた痛みもある。
しかし、服やナイフに焼かれた痕跡はない。
「反撃されタ? 気づかれていタ?」
勇者の姿を確認するが、気づいた様子はなく呑気に出店で食べ物を購入している。
奇襲に気づいていれば普通なら騒ぐ、追撃などの選択を行う。
一つ思い当たるものがあル。
神の加護、それなら本人の意思を介す必要がなイ。
防御反撃系の加護を持っているとなると厄介ダ。
どういう発動の条件カ、分からない以上、迂闊な手出しが難しイ。
裏路地に移動して、通信用の石を取り出す。
魔力を通すことで、石を持つ他の者と通信が可能になる。
魔王の持つ通信石に繋ぐ。
「おや、どうかしましたか」
出たのは魔王ではなく、側近のアルルスだった。
「魔王サマハ?」
「儀式の準備で手を離せません」
数年前から魔王が準備している儀式。
重要な儀式とだけは聞いているが、どのような儀式なのかはボクは知らない。
「勇者殺しの件で、報告をすル。神の加護は防御反撃系の力、接近時手が焼かれタ。発動条件効果不明、情報求厶」
情報があれば、神の加護相手でも対策を立てられる。
「それを調べて殺すのが貴女の役目です」
「情報集め、援軍求厶」
情報集めは単独では難しい。
時間がかかり過ぎる。
街に潜める魔族の支援が欲しい。
「援軍はありません。今前線が拮抗していますから、そちらに派遣する余力がありません」
……役に立たなイ。
勇者殺しは、最優先事項と言えル。
魔王サマに対抗できる存在の始末に、人員を割けないは分からなイ。
拮抗してるとはいえ、1人2人くらいなら派遣できるハズ。
「1人モ?」
「えぇ、1人も無理です。援軍がいなくともそのくらい可能なはずです。軍団長の貴女ならば。神の加護があると言っても、未熟な勇者を軍団長が殺せないというのは問題です」
通信が一方的に切られた。
石をしまう。
「仕方なイ。酒場で情報を集めて他の手ヲ」
援軍がないならないと、割り切るしかない。
酒場は人が集まるため、必然と情報が集まる。
しかし、勇者が召喚されてまだ間もないからか、加護についての情報は手に入らなかった。
……外レ。
ギルドは冒険者が集まる場所のため、避ける。
図書館で本も確認したが、今回の勇者の情報はなかった。
情報がない以上、接近しない別のやり方を試す。
直接攻撃は、外れた時のリスクが高イ。
だから、事故に見せかけル。
「ここが良いナ」
家の屋根に乗り、魔法で気配を消して、静かに待ち構える。
建築用のレンガを用意した。
勇者が近くに来た瞬間に、上からレンガを落とす。
並の人間なら当たれば死ぬ程度の規模。
勇者も肉体強度は人間種の平均程度、殺れる。
勇者が来た瞬間にレンガを落とした。
そして、素早くその場から離脱する。
その後、ゆっくりと騒ぎに気づいた野次馬を装って紛れル。
「なんだなんだ?」
「何があっタ」
「人の上にレンガが落ちたんだってよ。怖ぇな」
「危なイ」
人混みに紛れて勇者の安否を確認する。
「危なかったぁ」
勇者は生きていた。
それどころか、身体に傷1つない。
ボクは当たる軌道で落としたつもり。
……障壁カ?
石ころを強く蹴り勇者目掛けて飛ばす。
石ころは、何かに阻まれて地面を転がる。
……障壁カ。物理攻撃に対するバリア。
先程の落下物も防がれたと見れル。
障壁を撃ち抜く魔法を、ボクは持っていなイ。
近接系の魔法はあるが、確実に気づかれル。
他に仲間がいればやりようはあるが、いなイ。
ボクが失敗したら、次が派遣される……か分からなイ。
「別の作戦を決めル」
0
あなたにおすすめの小説
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました
ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる