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一,その日
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20xx年1月15日-
遂にそれは起こった。
日本中を震撼させる大地震、南海トラフ地震だ。
一度目の大きな揺れが四国、近畿地方を襲う。
その余波は、西日本を含む東日本の一部地域も揺らした。
その時、くしくも私は大阪梅田にて家族でショッピング中であった。
いつから気を失っていたのか分からないが、どうやら体と自分がいた建物は無事のようだ。
だが、地面に物が錯乱し酷い状況に変わりはない。
付近には唯一、人の姿も確認できる。
見る限り若い夫婦のようだ。
妻であろう女性は、前に赤ん坊抱いている。
自分以外の人がいるだけで安心感が格段に違った。
だが、驚く事に夫婦はこんな非常事態に何やら言い合いをしているのだ。
「あんたがこんな日に出かけようって言ったからやん。あんたのせいや!」
「お前が赤ん坊で腰痛い言うからサポーター買いにきたんやろ!」
どうやら話の流れ的に夫婦は奥さんの為に買い物に来たらしい。
しばらく様子を窺っていたが、言い合いが終了する気配がない為とりあえず仲裁に入る事にした。
「いきなりすみません、余震が来ても危ないですし取り敢えず安全な所に移動しませんか?」
いつもならきっと傍観しているだけだっただろう。だが、今は非常事態。
私が声を掛けた事で、夫婦は少し冷静になったのか喧嘩はすぐに終了した。
「すまんな、冷静じゃなかったわ。いい年して恥ずかしいわ、、。」
無事仲直りできたようで一安心だ。
あの至近距離での大声で泣き出さない赤ちゃんは将来大物になるかもしれない。
「ほんで姉ちゃんは一人なんか?」
「えーと、家族と来てたんですけど、はぐれちゃったみたいです。」
本当に娘が気を失っているに何処にいったんだよ、うちの親。
確か地震が起こる前まで一緒にいた筈なのに。
気絶していたせいか記憶が飛んで、曖昧になっている。
「そりゃ、災難やな。きっと親御さん心配しとんで。」
「そうですね!早く合流しないと...。」
みんな無事でありますように。
私が願うのはたったそれだけだ。
そして私達はたわいもない会話を繰り広げ、更に下の階を目指した。
流石と云うべきか一部瓦礫が崩れているだけで建物自体は何処も崩壊等していない。日本の建物の耐震性は抜群のようだ。
私だけだったら、不安でこんなスラスラ動けていなかった。
申し訳ないと思うが、2人が居てくれた事に本当に感謝しかない。
「いやー普段のエスカレーターの有り難みが分かるね~、2階降りるだけでこんなに掛かるとは。」
まだ、現在地は6F。結構歩いた気がするが、まだ2階分しか降りられていない。
その理由はこの建物の構造に原因がある。
厄介な事にワンフロア降りると、下の階への階段まで二十m程歩かないといけないのだ。
しかも道が狭く、物が崩れ通るだけでも気をつけないといけない。
そして、薄暗い中の唯一光源は手持ちのスマホのみ。
「余震も全然きませんね。ただ、外に出たとしてもこの辺りは高層ビルが多いので何処に避難したらいいんでしょうか。」
避難場所とかは家の近くしかわからない。通っていた小学校が避難所となっていた。
こういう場合に備えてよく出かける場所は調べておくんだった。
悔しながらも、スマホを見るがやはり画面は圏外表示となっている。
「避難場所とか住んでるとこしか知らんよな。普通調べようなんて思わんもん。」
やはり皆考える事は同じらしい。
「あっ、」
次の階へ降りる階段を見つけた時に旦那さんが突然声を上げた。
「「どうしたん(ですか)?」」
私と奥さんの声が被る。
すると、旦那さんがある方向を指差した。
指された方向を見ると、不思議な事にその場所だけ照明が点灯している。
「もしかして此処は...」
何か思い当たることでもあるのか、声と同時に旦那さんが光の方へと駆けて行く。私も奥さんと顔を見合わせ、取り敢えず後を追う事にした。
近づいて分かったが、そこはよく見るお店のカウンターだった。
旦那さんはそのカウンターの前で立ち尽くしている。
「ちょ、また地震きたらどうすんの、前にテレビで津波もくるって聞いたことあるし寄り道しとる暇ないで!」
当然奥さんは不満を漏らした。
赤ちゃんを抱いている分、疲労も私達より大きい筈だ。
「いや、ごめん。確かこの店なんや」
私と奥さんは意味がさっぱり分からず旦那さんを見つめる。
すると、何かを見つけたようで普段は従業員しか入れない場所へと入っていき、直ぐに戻ってきた。
先程は持っていなかった筈の赤い袋を携えて。
「本当は、サプライズで渡そうと思ってたんやけど、状況が状況やし今渡しとくわ。」
どうやら奥さんへのプレゼントのようだ。
確かに、お店が再開するのに凄い時間が掛かるだろうし、下手したらこのまま紛失してしまう可能性もある。
「...いいん?..勝手に取って?」
「お金も支払済やし、ええやろ」
無事に渡せてよかった。
私も家についたらママにでも娘をほったらかした罰でケーキでも買ってもらおうか。
「...開けていい?」
「ええよ。」
流石の私でも急いでいるからといって、ここで「外に行ってから開けましょう」なんて無粋な事は絶対に言えない。
若干私もプレゼントの中身が気になる。
奥さんは丁寧に梱包されている袋を、開けていく。
そして、出てきたのは可愛らしいオルゴールだ。
ミニチュアの奥さん、ご主人、赤ちゃんが乗っている。
だが、それだけではなかった。
マフラーや手袋、防寒着が一式入っていたのだ。
遂にそれは起こった。
日本中を震撼させる大地震、南海トラフ地震だ。
一度目の大きな揺れが四国、近畿地方を襲う。
その余波は、西日本を含む東日本の一部地域も揺らした。
その時、くしくも私は大阪梅田にて家族でショッピング中であった。
いつから気を失っていたのか分からないが、どうやら体と自分がいた建物は無事のようだ。
だが、地面に物が錯乱し酷い状況に変わりはない。
付近には唯一、人の姿も確認できる。
見る限り若い夫婦のようだ。
妻であろう女性は、前に赤ん坊抱いている。
自分以外の人がいるだけで安心感が格段に違った。
だが、驚く事に夫婦はこんな非常事態に何やら言い合いをしているのだ。
「あんたがこんな日に出かけようって言ったからやん。あんたのせいや!」
「お前が赤ん坊で腰痛い言うからサポーター買いにきたんやろ!」
どうやら話の流れ的に夫婦は奥さんの為に買い物に来たらしい。
しばらく様子を窺っていたが、言い合いが終了する気配がない為とりあえず仲裁に入る事にした。
「いきなりすみません、余震が来ても危ないですし取り敢えず安全な所に移動しませんか?」
いつもならきっと傍観しているだけだっただろう。だが、今は非常事態。
私が声を掛けた事で、夫婦は少し冷静になったのか喧嘩はすぐに終了した。
「すまんな、冷静じゃなかったわ。いい年して恥ずかしいわ、、。」
無事仲直りできたようで一安心だ。
あの至近距離での大声で泣き出さない赤ちゃんは将来大物になるかもしれない。
「ほんで姉ちゃんは一人なんか?」
「えーと、家族と来てたんですけど、はぐれちゃったみたいです。」
本当に娘が気を失っているに何処にいったんだよ、うちの親。
確か地震が起こる前まで一緒にいた筈なのに。
気絶していたせいか記憶が飛んで、曖昧になっている。
「そりゃ、災難やな。きっと親御さん心配しとんで。」
「そうですね!早く合流しないと...。」
みんな無事でありますように。
私が願うのはたったそれだけだ。
そして私達はたわいもない会話を繰り広げ、更に下の階を目指した。
流石と云うべきか一部瓦礫が崩れているだけで建物自体は何処も崩壊等していない。日本の建物の耐震性は抜群のようだ。
私だけだったら、不安でこんなスラスラ動けていなかった。
申し訳ないと思うが、2人が居てくれた事に本当に感謝しかない。
「いやー普段のエスカレーターの有り難みが分かるね~、2階降りるだけでこんなに掛かるとは。」
まだ、現在地は6F。結構歩いた気がするが、まだ2階分しか降りられていない。
その理由はこの建物の構造に原因がある。
厄介な事にワンフロア降りると、下の階への階段まで二十m程歩かないといけないのだ。
しかも道が狭く、物が崩れ通るだけでも気をつけないといけない。
そして、薄暗い中の唯一光源は手持ちのスマホのみ。
「余震も全然きませんね。ただ、外に出たとしてもこの辺りは高層ビルが多いので何処に避難したらいいんでしょうか。」
避難場所とかは家の近くしかわからない。通っていた小学校が避難所となっていた。
こういう場合に備えてよく出かける場所は調べておくんだった。
悔しながらも、スマホを見るがやはり画面は圏外表示となっている。
「避難場所とか住んでるとこしか知らんよな。普通調べようなんて思わんもん。」
やはり皆考える事は同じらしい。
「あっ、」
次の階へ降りる階段を見つけた時に旦那さんが突然声を上げた。
「「どうしたん(ですか)?」」
私と奥さんの声が被る。
すると、旦那さんがある方向を指差した。
指された方向を見ると、不思議な事にその場所だけ照明が点灯している。
「もしかして此処は...」
何か思い当たることでもあるのか、声と同時に旦那さんが光の方へと駆けて行く。私も奥さんと顔を見合わせ、取り敢えず後を追う事にした。
近づいて分かったが、そこはよく見るお店のカウンターだった。
旦那さんはそのカウンターの前で立ち尽くしている。
「ちょ、また地震きたらどうすんの、前にテレビで津波もくるって聞いたことあるし寄り道しとる暇ないで!」
当然奥さんは不満を漏らした。
赤ちゃんを抱いている分、疲労も私達より大きい筈だ。
「いや、ごめん。確かこの店なんや」
私と奥さんは意味がさっぱり分からず旦那さんを見つめる。
すると、何かを見つけたようで普段は従業員しか入れない場所へと入っていき、直ぐに戻ってきた。
先程は持っていなかった筈の赤い袋を携えて。
「本当は、サプライズで渡そうと思ってたんやけど、状況が状況やし今渡しとくわ。」
どうやら奥さんへのプレゼントのようだ。
確かに、お店が再開するのに凄い時間が掛かるだろうし、下手したらこのまま紛失してしまう可能性もある。
「...いいん?..勝手に取って?」
「お金も支払済やし、ええやろ」
無事に渡せてよかった。
私も家についたらママにでも娘をほったらかした罰でケーキでも買ってもらおうか。
「...開けていい?」
「ええよ。」
流石の私でも急いでいるからといって、ここで「外に行ってから開けましょう」なんて無粋な事は絶対に言えない。
若干私もプレゼントの中身が気になる。
奥さんは丁寧に梱包されている袋を、開けていく。
そして、出てきたのは可愛らしいオルゴールだ。
ミニチュアの奥さん、ご主人、赤ちゃんが乗っている。
だが、それだけではなかった。
マフラーや手袋、防寒着が一式入っていたのだ。
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