全ての魔法は千変万化~異世界転移したけど補填と言われて与えられたスキルがピーキー過ぎる!~

syami1000

文字の大きさ
27 / 35
神国編

27.不安

しおりを挟む
 今現在もう一つの準決勝、冒険者ミスト対ハレミズを行っているところだ。これが終われば出番が来る
 俺とサラは二人で控室にてその時を待っていた

「緊張はあるか?」

「あるわけないでしょ?そういうイエヒサは緊張してるみたいね」

 表面上は取り繕っているつもりだが、俺の感情を察知できるサラに対してその頑張りは無意味だ

「ハハ、お見通しだな」

 サラの顔をみると頬を膨らませてむっとしていた

「召喚者に力量の不安を抱かれたのはこれが初めてよ」

「別にサラが負けるかもしれないなんて考えてるわけじゃないよ。俺は自分が足手まといにならないか、それが怖いんだ」

 そう、サラの実力は疑うまでもなく本物だ。だが俺は?アーサーに3日間剣術を叩きこまれたが、それは準決勝の相手に通用するものなのか
 答えは否。初戦の相手であるウッドボックスにすら俺は剣術で勝てないだろう

 よくアニメや漫画であるじゃないか、弱い奴を庇って誰かが攻撃を受け殺される展開が

「足手まといにはならないし、させないわよ」

「させない?」

「そうよ!イエヒサ一人だけ゛足手まといになるから~゛なんて理由をつけてサボらせるつもりはないわ!」

「サボるつもりなんて……そもそも俺がサラの助けになれるような状況が来るとも思えないし」

「アンナから魔力石を貰ってたじゃない。あれをいつでも私が使えるように持ってなさい」

 俺は自身の腰に着いたポーチの中を見た。二つの魔力石が入っている

 ポーチを腰から外してサラに渡す

「それならサラが持ってた方がいいだろ、わざわざ俺の所まで来て受け取るなんて面倒なことしなくても」

 そう言ったが、サラはポーチを差し出した手を押し返してくる

「そんなのつけてたら動きが悪くなるわ」

 (サラ、気を使ってくれてるな)

 これ以上は何を言ってもサラの気遣いを無下にしてしまうだけだと判断してポーチを付けなおした

「魔力石が必要な時は直に言ってくれ、いつでも渡せるように準備しておくからな」

 その言葉を聞いたサラは笑顔をこちらに向けてきた

 コンコンッ

 ドアがノックされたため開けると出迎えに来た騎士が居た

「前の決闘が終了したためお迎えに上がりました」

「ありがとうございます。もう準備は出来てます」

 騎士に前日と同じ道を案内され、神前決闘の舞台へと入場するための通路で俺とサラは待機をした

 観衆の声が聞こえてくる。そこで騎士に話しかけられた

「本日はイエヒサ様が先に紹介されますので、紹介されましたら定位置に立つようお願いします」

 (そういえば昨日は全ての試合で対戦相手の後に紹介されたんだよな。別に疑問はもってなかったけど)

「分かりました」

 そう返事をした瞬間に昨日と同じく、まるでスポーツの実況でもしているのかという喋り方をした人が声を張り上げる

『さあ!始まりますよ注目の一戦が!皆さん準備はよろしいですか!』

 うおおおおお

 といった叫びで会場が埋め尽くされる

『それでは先ず召喚士イエヒサさんに入場して頂きます!どうぞ!』

 声に従い俺とサラは会場へと足を進める
 そして廊下を過ぎ、会場に足を踏み入れると昨日よりも更に会場全体ボルテージが上がっていて気後れしそうになる

 だが先ほどのサラとの会話を思い出し、気持ちを引き締め歩きなおした

『召喚士イエヒサは前日同様に事前に召喚した召喚獣を引き連れての入場となります!赤い髪をなびかせて歩く麗しき召喚獣です、がしかし!麗しさとは裏腹にこれまでの三戦を全て蹴り一撃で終わらせるほどの圧倒的な力を有しています!』

 会場の中央付近に描かれている線に歩くまでの間、実況はサラの事を褒めちぎっていた
 その声に反応して観客も入場時とは比にならない程の声を上げている

 そして俺とサラが線にたどり着いたと同時に実況は喋ることを一時的に止め、観衆も何かを期待するように静かになった

『皆様お待ちかねでしょう!今年度の神前決闘大会優勝候補者として語るならまず外すことは無い人物であり、常日頃からこの国を守って下さっているこの方を!』

 再び会場のボルテージが上がりだした

『聖騎士アンジュさんの入場です!』

 そして目の前の通路から大歓声に包まれて、金髪縦ロールのいかにもお嬢様といった風貌の女性が出てきた


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...