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神国編
27.不安
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今現在もう一つの準決勝、冒険者ミスト対ハレミズを行っているところだ。これが終われば出番が来る
俺とサラは二人で控室にてその時を待っていた
「緊張はあるか?」
「あるわけないでしょ?そういうイエヒサは緊張してるみたいね」
表面上は取り繕っているつもりだが、俺の感情を察知できるサラに対してその頑張りは無意味だ
「ハハ、お見通しだな」
サラの顔をみると頬を膨らませてむっとしていた
「召喚者に力量の不安を抱かれたのはこれが初めてよ」
「別にサラが負けるかもしれないなんて考えてるわけじゃないよ。俺は自分が足手まといにならないか、それが怖いんだ」
そう、サラの実力は疑うまでもなく本物だ。だが俺は?アーサーに3日間剣術を叩きこまれたが、それは準決勝の相手に通用するものなのか
答えは否。初戦の相手であるウッドボックスにすら俺は剣術で勝てないだろう
よくアニメや漫画であるじゃないか、弱い奴を庇って誰かが攻撃を受け殺される展開が
「足手まといにはならないし、させないわよ」
「させない?」
「そうよ!イエヒサ一人だけ゛足手まといになるから~゛なんて理由をつけてサボらせるつもりはないわ!」
「サボるつもりなんて……そもそも俺がサラの助けになれるような状況が来るとも思えないし」
「アンナから魔力石を貰ってたじゃない。あれをいつでも私が使えるように持ってなさい」
俺は自身の腰に着いたポーチの中を見た。二つの魔力石が入っている
ポーチを腰から外してサラに渡す
「それならサラが持ってた方がいいだろ、わざわざ俺の所まで来て受け取るなんて面倒なことしなくても」
そう言ったが、サラはポーチを差し出した手を押し返してくる
「そんなのつけてたら動きが悪くなるわ」
(サラ、気を使ってくれてるな)
これ以上は何を言ってもサラの気遣いを無下にしてしまうだけだと判断してポーチを付けなおした
「魔力石が必要な時は直に言ってくれ、いつでも渡せるように準備しておくからな」
その言葉を聞いたサラは笑顔をこちらに向けてきた
コンコンッ
ドアがノックされたため開けると出迎えに来た騎士が居た
「前の決闘が終了したためお迎えに上がりました」
「ありがとうございます。もう準備は出来てます」
騎士に前日と同じ道を案内され、神前決闘の舞台へと入場するための通路で俺とサラは待機をした
観衆の声が聞こえてくる。そこで騎士に話しかけられた
「本日はイエヒサ様が先に紹介されますので、紹介されましたら定位置に立つようお願いします」
(そういえば昨日は全ての試合で対戦相手の後に紹介されたんだよな。別に疑問はもってなかったけど)
「分かりました」
そう返事をした瞬間に昨日と同じく、まるでスポーツの実況でもしているのかという喋り方をした人が声を張り上げる
『さあ!始まりますよ注目の一戦が!皆さん準備はよろしいですか!』
うおおおおお
といった叫びで会場が埋め尽くされる
『それでは先ず召喚士イエヒサさんに入場して頂きます!どうぞ!』
声に従い俺とサラは会場へと足を進める
そして廊下を過ぎ、会場に足を踏み入れると昨日よりも更に会場全体ボルテージが上がっていて気後れしそうになる
だが先ほどのサラとの会話を思い出し、気持ちを引き締め歩きなおした
『召喚士イエヒサは前日同様に事前に召喚した召喚獣を引き連れての入場となります!赤い髪をなびかせて歩く麗しき召喚獣です、がしかし!麗しさとは裏腹にこれまでの三戦を全て蹴り一撃で終わらせるほどの圧倒的な力を有しています!』
会場の中央付近に描かれている線に歩くまでの間、実況はサラの事を褒めちぎっていた
その声に反応して観客も入場時とは比にならない程の声を上げている
そして俺とサラが線にたどり着いたと同時に実況は喋ることを一時的に止め、観衆も何かを期待するように静かになった
『皆様お待ちかねでしょう!今年度の神前決闘大会優勝候補者として語るならまず外すことは無い人物であり、常日頃からこの国を守って下さっているこの方を!』
再び会場のボルテージが上がりだした
『聖騎士アンジュさんの入場です!』
そして目の前の通路から大歓声に包まれて、金髪縦ロールのいかにもお嬢様といった風貌の女性が出てきた
俺とサラは二人で控室にてその時を待っていた
「緊張はあるか?」
「あるわけないでしょ?そういうイエヒサは緊張してるみたいね」
表面上は取り繕っているつもりだが、俺の感情を察知できるサラに対してその頑張りは無意味だ
「ハハ、お見通しだな」
サラの顔をみると頬を膨らませてむっとしていた
「召喚者に力量の不安を抱かれたのはこれが初めてよ」
「別にサラが負けるかもしれないなんて考えてるわけじゃないよ。俺は自分が足手まといにならないか、それが怖いんだ」
そう、サラの実力は疑うまでもなく本物だ。だが俺は?アーサーに3日間剣術を叩きこまれたが、それは準決勝の相手に通用するものなのか
答えは否。初戦の相手であるウッドボックスにすら俺は剣術で勝てないだろう
よくアニメや漫画であるじゃないか、弱い奴を庇って誰かが攻撃を受け殺される展開が
「足手まといにはならないし、させないわよ」
「させない?」
「そうよ!イエヒサ一人だけ゛足手まといになるから~゛なんて理由をつけてサボらせるつもりはないわ!」
「サボるつもりなんて……そもそも俺がサラの助けになれるような状況が来るとも思えないし」
「アンナから魔力石を貰ってたじゃない。あれをいつでも私が使えるように持ってなさい」
俺は自身の腰に着いたポーチの中を見た。二つの魔力石が入っている
ポーチを腰から外してサラに渡す
「それならサラが持ってた方がいいだろ、わざわざ俺の所まで来て受け取るなんて面倒なことしなくても」
そう言ったが、サラはポーチを差し出した手を押し返してくる
「そんなのつけてたら動きが悪くなるわ」
(サラ、気を使ってくれてるな)
これ以上は何を言ってもサラの気遣いを無下にしてしまうだけだと判断してポーチを付けなおした
「魔力石が必要な時は直に言ってくれ、いつでも渡せるように準備しておくからな」
その言葉を聞いたサラは笑顔をこちらに向けてきた
コンコンッ
ドアがノックされたため開けると出迎えに来た騎士が居た
「前の決闘が終了したためお迎えに上がりました」
「ありがとうございます。もう準備は出来てます」
騎士に前日と同じ道を案内され、神前決闘の舞台へと入場するための通路で俺とサラは待機をした
観衆の声が聞こえてくる。そこで騎士に話しかけられた
「本日はイエヒサ様が先に紹介されますので、紹介されましたら定位置に立つようお願いします」
(そういえば昨日は全ての試合で対戦相手の後に紹介されたんだよな。別に疑問はもってなかったけど)
「分かりました」
そう返事をした瞬間に昨日と同じく、まるでスポーツの実況でもしているのかという喋り方をした人が声を張り上げる
『さあ!始まりますよ注目の一戦が!皆さん準備はよろしいですか!』
うおおおおお
といった叫びで会場が埋め尽くされる
『それでは先ず召喚士イエヒサさんに入場して頂きます!どうぞ!』
声に従い俺とサラは会場へと足を進める
そして廊下を過ぎ、会場に足を踏み入れると昨日よりも更に会場全体ボルテージが上がっていて気後れしそうになる
だが先ほどのサラとの会話を思い出し、気持ちを引き締め歩きなおした
『召喚士イエヒサは前日同様に事前に召喚した召喚獣を引き連れての入場となります!赤い髪をなびかせて歩く麗しき召喚獣です、がしかし!麗しさとは裏腹にこれまでの三戦を全て蹴り一撃で終わらせるほどの圧倒的な力を有しています!』
会場の中央付近に描かれている線に歩くまでの間、実況はサラの事を褒めちぎっていた
その声に反応して観客も入場時とは比にならない程の声を上げている
そして俺とサラが線にたどり着いたと同時に実況は喋ることを一時的に止め、観衆も何かを期待するように静かになった
『皆様お待ちかねでしょう!今年度の神前決闘大会優勝候補者として語るならまず外すことは無い人物であり、常日頃からこの国を守って下さっているこの方を!』
再び会場のボルテージが上がりだした
『聖騎士アンジュさんの入場です!』
そして目の前の通路から大歓声に包まれて、金髪縦ロールのいかにもお嬢様といった風貌の女性が出てきた
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