甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー

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二章 かけがえのない時間

17パッキング

私がこの世界へ来てから約1年が経過していた。色々なことがあったなぁ…みんなで釣りをしたり、演劇をしたり、スポーツ大会をしたり、ボードゲームをしまり、絵を描いたり、魔法を練習したり(結局私は使えなかったけど…)、黒歴史製造事件も…あったなぁ……フィンくんが熱を出した事件もあったし、ベンのパン講座をみんなで受けたり、サイロスのマナー講座もやったなぁ…ロウの魔物講座も………あれは…うん、思い出さないでおこう。

楽しい日々を過ごしつつも、私達はそれぞれ準備をしていた。

ちなみに1年経ったが、私はまだ穢れていない…ままだった。貞操の危機が何度かあったけど、緑の加護がある理由がわからないうちは、このままがいいと、判断したのだ。夫達は協定を結び、桃のあそこは不可侵領域としてゔっゔん……まぁ、とにかく、そんな感じだった。





朝の光が差し込む。冬が明け、季節は春に移り変わっていた。窓の外では鳥たちがさえずり、風が花々を揺らす。
今日は、旅に出る予定の2日前。5人は、床に荷物を広げ、鞄に押し込め、長い旅の準備を進めていた。

「……フィン、荷物はもう完成したのか?」

ベンが眉を寄せて聞く。フィンは得意げな顔を浮かべ、布にくるまれた数点の荷物を背負う。

「ふっふっふ!見て驚け!!軽くて、必要なものだけだ。無駄はない!!」

「え、これだけ? もっと食べ物とか、薬とかいるんじゃないの?大丈夫?お腹空かない??」
桃は慌てて、カゴに乾燥果物やハーブ、簡単に作れるスープの素を詰め込む。包帯や絆創膏、薬も入れる。

「現地で調達できるし、荷物は軽い方がいい」

桃はフィンのその言葉を聞いてまた、慌てて今詰めた荷物を取り出す。
そんな様子を見て苦笑いを浮かべるフィン、、

「え~!!フィンちゃんいが~い!もっと人形とかいらないもの詰めてると思ってた!!」
「失礼な!!俺はもう子供じゃないんだからな!!そういうロウはどんな荷物なんだよ?」

「良くぞ聞いてくれました!僕は~これだよ?じゃーーーん!!」

みんながロウを見るとカラフルな布や奇妙な装飾品を次々にバッグに押し込んでいるところだった。

「え、ロウ…それ、本当に必要なの?」

桃が眉をひそめる。見るからに重く、使い道が想像できない小物の数々――光る石、羽根付きの扇子、見たこともないような玩具。

「必要だよ!旅は楽しむものさ!見ろ、この輝く羽根、絶対桃の役に立つって!」

ロウは得意げに振り回すが、羽根はカーテンに引っかかり、少し破れてしまった。桃はため息をつくが、微笑みも隠せない。

「ふっ…さすが狂犬ですねぇ…お気に入りのものを収集する…まさに犬ですねぇ…フィンより犬です」
「むむ~!そう言うサイはどうなのさ?」

その言葉にみんながサイを見ると、サイは、バッグの中に小さな音楽箱や手作りのお菓子を忍ばせていた。桃と目が合うと楽しそうに見つめて小さくウインクする。

「……また、甘やかす気?」
桃はそう言いつつ、サイが入れたクッキーの袋を手に取り何故か今食べ始める。
「…サイのクッキーおいしい!やっぱり、旅に必要!!」
「ふふ!そうでしょ?」

そんな2人を横目にフィンとロウは
「あいつ、あざといよな…俺らだって桃を楽しませる物持ってるに決まってるのに…クッキーなんて長旅に持っていけるわけないだろ…多分今食べさせる為に出来立てをわざと桃に見せたぞ?」
「まー、ムッツリだからね」
「確かに、ムッツリだからしょうがない…か」

「聞こえてますよ!!」

「お前ら五月蝿いぞ。準備が終わったのなら桃のパッキングを手伝え、というか、桃にパッキングさせるな、桃の荷物は俺らで持つぞ」

「ベンさん!私もパッキングするんです!みんなに見られたら恥ずかしい物だってあるから…だめ!」

「はいわかりました。でも旅の時は俺らに任せてくれよ?お姫様に重いものは持たせられないからな…」

「はいはい~そんなベンちゃんの荷物は~??…」

その声に全員がベンの荷物へ顔を向けた。

「「「「………」」」」

剣、短剣、弓矢、鎧、爆弾、銃、メリケンサック、ボウガン、杖、ヌンチャク、斧、刀、棍棒、手裏剣、手榴弾、槍……



「物騒すぎるだろ!!もっと他にもなんかあるだろ!!脳筋!!!」
沈黙を破り、フィンのツッコミが炸裂した。

「だが、用心するに越したことは…」
「うるせぇ!お前の荷物で敵の武器まで補えるぞ、ばーーーか!!」
「まぁまぁ、フィンくん落ち着いて…ベンの荷物がこうなることはわかりきっていたことじゃないか…」
「白虎のなのにヌンチャクとかも使えるんですね…」
「武器集めは俺の趣味だ…」

終着点の見えない会話に3人が桃へSOSを送った。

「ベンさん、武器は持っていっても良いですが、本当に必要な物だけにしましょうね?万が一、盗まれたり、紛失したりしたら悲しいですからね?ちゃんと、生活に必要な物も持ちましょう?」

「はーい」

「チョロ…」
「こいつ手懐けてる桃が最強だな、」
「白虎の剣士のこんな姿みたら、全国の幼児が泣きますね…」
3人はこそこそ言い合っていた

「聞こえてるからな!!!」

ーーーーーーーーーー


「フィン、あの通帳、持ったのか?」
サイロスが小さな声で聞いた。
フィンは小さな革袋を指さし、通帳の存在を確認させる。
「ある。」
「……そうか、お前の実家が、お前のこと探してるって噂になっているぞ、気をつけろ」
「あぁ…桃達には迷惑をかけねーようにする。」
「そうじゃない、1人で抱え込むなと言ってるんだ。フィン、俺達は強いぞ?ハイエルフと、あの白虎の戦士、ついでに…狂犬者までついてるんだからな、」
「ふっ、そうだな。頼もしいな」


「そういえば、桃ちゃんはどんなものを詰めてるの?」
ふと思い出したように、ロウが尋ねた。

「え?私は普通だよ??」

テッテレー!企業努力の賜~キャリ~ケ~ス~

「桃…?そのでかい塊はなに?」
「これはねー、前の世界の旅行鞄なんだけど、精霊ちゃんが出してくれたんだよね♪」

「あー、また精霊が桃を甘やかしてるよ…」
「ロウより好かれているな」
「心の綺麗な人がわかるんでしょうね」
「ちょっと??2人とも???」

「で?桃…中身は何が入ってるんだ?さっき、一生懸命出したり戻したりしてたけど…」
「ふっふっふ!見て驚き!この中には必要なものが全て揃ってます!!」

「「「「なに!?」」」」

「ジャーーーン!!見てください!」

桃はジーーーーとチャックを開けた。するとそこには…

「わーお…この屋敷の美容グッズぜーんぶ詰まってる…(遠い目)」
「ほぼ…服と靴だな」
「いや、みなさん油断しないでください…ここに鍋と調味料がありますよ!?」
「うわ、本当だ…どうやって詰めたんだよこれ…桃の世界って魔法ないんだよな…?」

「もー!みんななんか引いてない??人間は、些細な温度変化に弱いんだよ、寒いとすぐ風邪ひくし、熱いとすぐ倒れるんだから!裸足で歩けないの!!この屋敷は精霊印の自動室温、湿度調整システムがあるけど、旅では使えないでしょ??」

「!!??人間はそんなにか弱いのか??敵を倒してだけいれば守れると思っていたが、桃自身からも守らないといけないと言うのか???くっっ、勉強しとけば良かった…」
「桃の存在がチートすぎて、人間なの忘れてた…」
「えーー!!嘘でしょ…そんなにか弱いの?…荷物増やした方が良いかなぁ…精霊も何体か連れて…」
「鞄をひとつ追加しますか…桃を楽しませる用と桃の体調管理用と…」

「もーー!!現地で調達すれば良いんでしょ??これじゃあ、いつまで経っても終わらないよぉ…」



数時間後…

窓から差す光が荷物に反射し、各自の個性を映し出す。
ロウの奇妙な装飾箱…プラスキャリーケース
サイの娯楽箱…プラスキャリーケース
ベンの戦闘用具…プラスキャリーケース
桃のキャリーケース
そしてフィンの実用的な荷物…プラスキャリーケース

結局全員が、自分の荷物…プラス桃用に必要だと思う物をキャリーケースに詰めた。
それぞれの色と形が、旅の始まりを鮮やかに彩った。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日常編かいたことによってなんか書きやすくなってきましたー!よろしくお願いします

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