猫なので、もう働きません。

具なっしー

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5スパダリお兄様

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私がこの世界に来てから、そして養子として屋敷に住んでから――あっという間に1ヶ月が経った。
森で目覚めた日から考えると、信じられないくらい穏やかで、満ち足りた日々。
そして今は、もうすっかり夏になっていた。

今日は特別な日。お兄様が学院から夏休みで帰ってくる日なのだ。
初対面だから、とても緊張している。妹として、受け入れてもらえるだろうか…

お父様が言うには、

「俺の息子は学院では王子様とトップを争う秀才だ。剣、格闘、学問、芸術、魔法……なんでもできる完璧超人だ!きっと俺に似たんだな!わっはっはっ!」

そんな人が私の兄になるの!!??
おまけにあのお父様の息子なのだ…美形でないわけがない…鼻血吹いたらどうしよう…
私の歳は9歳と判明からお兄様は6歳年上の15歳。
緊張するなぁ…

ゴゴゴ――豪奢な玄関扉が開く。
陽光を背に(神様すら味方につけているの!?この光はなに?輝いてる…)そこにいたのは、妖精なのか?と思うほど美形すぎてもはや人外の青年だった。すらりとした体格、背筋の伸びた立ち姿、お父様譲りの長くてさらさらな藍色の髪。目が合うと溺れてしまいそうになる深海の瞳。

600年生きている私にも衝撃でフレーメン反応が起こった。
ポカーンとしている私に向かって兄様…は笑顔を向けた。
うっっっキラキラしい…まぶ死ぬ!

「君が僕の妹だね?はじめまして。レオンハルトだよ。よろしく」

わたしは慌ててスカートの裾をぎゅっと握りしめて答えた。きっともうすっかり馴染んだ猫耳はヘニョリと垂れてぴるぴる震えてしまっていることだろう。

「わ、私の名前はフィオナです。よろしくお願いします!!……あの…お兄様…って呼んでもいいですか?」

その瞬間、レオンハルトお兄様の中で何かが弾けたのか目と口をしぱしぱ、ぱくぱくしていた。
フレーメン鯉反応(?)起こってますよ。
あまりに返事がないのでやっぱりダメだったかな…て不安になっていたら

「……なんて、いい子なんだ……。もちろん!喜んで!僕もフィオナって呼んでいいかい?」
私は思わず顔がぱあああっと明るくしてしまう。
それをみた兄様がなにやらぐっっ、とか言って悶えていた。周りを見るとセドリックもお父様も膝をついてプルプル震えていた。何かの病気かな、?

「フィオナ?僕と庭園でお茶会をしない?学院の近くにある人気のケーキと僕が好きな紅茶を買ってきたんだ!フィオナともっと仲良くなりたいんだ。」
私はちらっとお父様の方を見た。
「フィオナ、まだ庭園には行ったことがなかったよね。レオンハルトとなら安心できる。セドリックもつけるし、警備は問題ないよ。楽しんでおいで!」
「やったー!お父様ありがとう!お兄様、はやくいきましょう!」
私はスキップでもしそうなくらいルンルンだった。
そんなフィオナの様子をみんな美形なのに残念なへにょり顔で見つめていた。


夏の日差しの下、白いテーブルクロスの上には、お花の匂いがする紅茶と色んな種類のケーキが並んでいた。
お兄様はなぜか向かいの席ではなく、隣にいた。そして
お兄様は涼やかな笑顔で、フォークを手にしてーーー

「フィオナ、口を開けて?……あーん」

「え!え?あ、あーん!?!?」
恥ずかしすぎて耳まで赤くなる私に、微笑みながらケーキを差し出す。
一口食べても、胸のドキドキが強すぎて、味がわかんなかった。

「フィオナ、美味しい?」
私はりんごくらい赤かなった顔でこくんと頷いた。
「ぐはっっっっっ、そ、それは良かったよ!また買ってくるね!……可愛いな……妹って、こんなに尊いものなんだな」
お兄様が何かぶつぶつ喋りだした…

その時、
「失礼します、お嬢様お口にクリームがついています。」
完璧爽やか執事ことセドリックが綺麗なハンカチでちょんちょんと優しく拭き取ってくれる。なんだか本当に子供みたいで恥ずかしい。
「あ、ありがとう!セドリック!」
「どういたしまして」

「……ふーん…いつもこんなことしてるの?セドリック」
「お嬢様が何不自由なく生活できるようにすることが私の仕事ですので。」
「でも、僕の妹に不必要に触れるのは控えてもらえるかな?」
「旦那様のご命令ですので…」
「こいつ…」

面白くてなさそうな顔をして拗ねたような表情をするお兄様に
にこやかな笑みを浮かべながら目だけが笑ってないセドリック

……え?お兄様?セドリック?なんかバチバチいってるよ…2人はあまり相性が良くないのかな…?ん?なんだか天気も悪くなってきたような、

急に黒い雲が流れて小雨がぱらつく。
「お、雨が降ってきたね、あ!そうだ。フィオナに面白いものを見せてあげる!」

そう言ってお兄様は軽く指を鳴らした。
すると私達がいる庭の上空だけ晴れ渡り、虹がかかる。

「どう?フィオナ。僕からのプレゼントだよ。君には、雨よりも虹が似合うと思うんだ!」

「わー!すごい!お兄様、てるてる坊主みたい!」

「ん…?あ、ありがとう?(手強いなぁ、)……僕をそんな風に呼ぶのは、きっと君だけだよ」
呆れたように笑いながらも、優しい目で見つめてくるお兄様。

こうして、私達兄弟の初対面は大成功に終わったのだった。

***
お茶会を終えて私はお昼寝の時間になった。今日は猫の姿で寝ることにする。

屋敷に戻る途中

「お兄様の声って……すごく落ち着きます」
私はずっと思ってたことを伝えた。
それを聞いたお兄様はいたずらな笑顔を浮かべた。
「じゃあ……子守唄を歌ってあげようか?」
それを聞いた私は嬉しくなってにかっと笑った。
「ほんとですか!?今からお昼寝するので歌ってください!」

お兄様は目を見開き、口を押さえて固まる
「こ、この子は……!!」
3回ほど深呼吸して落ち着いたのか
「フィオナ……僕以外に、そんなこと言っちゃダメだからね」と言った。

「……?わかりました。でもお兄様、2週間後には学院に帰っちゃうんですよね……。
私、お兄様がいないと眠れなくなっちゃいそう……」

!!!??(レオンハルト心臓を撃ち抜かれて悶絶)
「うん、決めた!これからは、ここから学院へ通う」
「え?でも大丈夫なんですか?」
「あぁ、ここからでも学院はそれほど遠くない。何の問題もないよ」
「そうなんですね!お兄様と一緒に暮らせるの、嬉しいです!」

くっっっ(レオンハルト完全陥落)
「あぁ……僕もだよ、フィオナ。僕も君と出会えて、本当に幸せだ」

そうして部屋につき、猫の姿になった私はお兄様の膝に丸くなり、なでなでしてもらった。
お兄様の美声子守唄はそれはそれは素晴らしかった。一瞬で夢の世界の住人となってしまったが…眠くない時に是非とも堪能してみたい。

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