75 / 231
75話 明るみ③
しおりを挟む
どうにか帰宅し、翌日朝。
丁度創立記念日の休みで助かった。
まだ疲れとか色々残ってる。今日は飯の買い出し以外外出したくない。
気がかりな事はありすぎるが、取り急ぎやるべき事はひとつ。
買い置きしていた総菜パンで朝食を済まし、ショウヤに通話を繋ぐ。
やはりというかショウヤも事が気になっていたようで、話の先手を取られる。
「なぁユート、昨日の夜のどういう事なんだよ!
お前やけに冷静だったし、何か知ってたのか!?
そんでお前、あの時何をしたんだ!?
それに……。」
一息の間ののち、ショウヤが言葉を続ける。
「…ユートは知ってたのか? キリの事。」
「あぁ、5月のはじめごろに…だったかな。」
「じゃあオレだけ知らなかった形かぁ……。」
心境を読み取りづらい声色。返す言葉に少し迷う。
「…大丈夫か?」
「大丈夫っていうかなんていうか…ちょっと待ってろ。」
少しして、チャットの方に送られてくるURL。SNSサイトの、ショウヤのお気に入りページだ。
その殆どが二人組のイラスト漫画の投稿。どういう事だろうと思いながら見ていたら、ふと気付く。
二人組の片方は人間、そしてもう片方はエルフだったりケンタロスだったり獣人やアンドロイド、果てにはドラゴンだとか。一言で纏めて表すなら「人外」か。
「…察してくれ!」
なんとなく言いたい事は分かった。
癖なんだな、そういうのが。
「でも、なら別に大丈夫なんじゃないのか?」
「いやさ、こういうのはあくまで第三者視点なのがいいからであって!
いざ当事者となると色々と…こう、さ!
…理屈じゃわかってるよ、どうあってもキリはキリだって。
でも邪念っていうか、そういうのが…!」
ある意味では大丈夫そうだな、っていう安心感。
ひっそりと「とりあえず危惧した事にはならなさそうだ」とキリにテキストで送っておく。
知見の浅いジャンルだ。相談相手という面の傍ら、未知に対する興味もちょっとだけある。
「こういう系って、どういうとこに惹かれるんだ?」
「…それオレに言わせる?」
「分からない界隈なんだ、今のままじゃ何も言えねぇよ。」
「まぁなんだ、例えばだ。
こう、生活文化が違うけど、それでも寄り添おうとするのとかさ。
それでも想いと裏腹にうまくいかず苦戦するのとか、いいじゃん?」
「じゃあ見た目っていうよりは、中身とか過程とかか?」
「そう…かもな。
異形な方が壁が厚くていいってのはあるけど、あくまで副次的なものとしてかな。」
「じゃあその方面として見たら、キリは?」
「どうって…キリは狸で、原理は知らないけど人を化かしてて。
でも昨日までそれに気づかなくて、そんくらい既に馴染んでて……。」
「なら通話での時は?」
「…普通の人間とかわらねぇな。」
ショウヤ的な落としどころに、たどり着いたようだ。
「ありがと、ちょっと落ち着いてきた。」
「キリにも一言でも送っとけよ。あっちも気にしてたしさ。」
丁度創立記念日の休みで助かった。
まだ疲れとか色々残ってる。今日は飯の買い出し以外外出したくない。
気がかりな事はありすぎるが、取り急ぎやるべき事はひとつ。
買い置きしていた総菜パンで朝食を済まし、ショウヤに通話を繋ぐ。
やはりというかショウヤも事が気になっていたようで、話の先手を取られる。
「なぁユート、昨日の夜のどういう事なんだよ!
お前やけに冷静だったし、何か知ってたのか!?
そんでお前、あの時何をしたんだ!?
それに……。」
一息の間ののち、ショウヤが言葉を続ける。
「…ユートは知ってたのか? キリの事。」
「あぁ、5月のはじめごろに…だったかな。」
「じゃあオレだけ知らなかった形かぁ……。」
心境を読み取りづらい声色。返す言葉に少し迷う。
「…大丈夫か?」
「大丈夫っていうかなんていうか…ちょっと待ってろ。」
少しして、チャットの方に送られてくるURL。SNSサイトの、ショウヤのお気に入りページだ。
その殆どが二人組のイラスト漫画の投稿。どういう事だろうと思いながら見ていたら、ふと気付く。
二人組の片方は人間、そしてもう片方はエルフだったりケンタロスだったり獣人やアンドロイド、果てにはドラゴンだとか。一言で纏めて表すなら「人外」か。
「…察してくれ!」
なんとなく言いたい事は分かった。
癖なんだな、そういうのが。
「でも、なら別に大丈夫なんじゃないのか?」
「いやさ、こういうのはあくまで第三者視点なのがいいからであって!
いざ当事者となると色々と…こう、さ!
…理屈じゃわかってるよ、どうあってもキリはキリだって。
でも邪念っていうか、そういうのが…!」
ある意味では大丈夫そうだな、っていう安心感。
ひっそりと「とりあえず危惧した事にはならなさそうだ」とキリにテキストで送っておく。
知見の浅いジャンルだ。相談相手という面の傍ら、未知に対する興味もちょっとだけある。
「こういう系って、どういうとこに惹かれるんだ?」
「…それオレに言わせる?」
「分からない界隈なんだ、今のままじゃ何も言えねぇよ。」
「まぁなんだ、例えばだ。
こう、生活文化が違うけど、それでも寄り添おうとするのとかさ。
それでも想いと裏腹にうまくいかず苦戦するのとか、いいじゃん?」
「じゃあ見た目っていうよりは、中身とか過程とかか?」
「そう…かもな。
異形な方が壁が厚くていいってのはあるけど、あくまで副次的なものとしてかな。」
「じゃあその方面として見たら、キリは?」
「どうって…キリは狸で、原理は知らないけど人を化かしてて。
でも昨日までそれに気づかなくて、そんくらい既に馴染んでて……。」
「なら通話での時は?」
「…普通の人間とかわらねぇな。」
ショウヤ的な落としどころに、たどり着いたようだ。
「ありがと、ちょっと落ち着いてきた。」
「キリにも一言でも送っとけよ。あっちも気にしてたしさ。」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる