そして俺は召喚士に

ふぃる

文字の大きさ
228 / 231

228話 姿を現すレイドボス④

しおりを挟む
 エンの極大雷撃レーザーが、オロチを貫く。
 照射が終わった後、当たった場所から見受けられる魔力漏出、確かなダメージ。

 けど、その一撃を通す為に、無茶をし過ぎた。もうあれだけの妨害を仕掛けられるだけの魔力は、ストラトスフィアに残ってはいない。足手まといになる前に、とその場を撤退。その途中、何か細かいものが当たる感触。
 改めて周囲を見ると、この短時間の内に空は雲が覆い、雨が降ってきている。
「後は任せて、下がってて。」
 更に上空で轟く雷、それを制御するエン。もしかして意図して降らせたやつか?
 …そうか、いたな。術で天候操作できるとか言ってたやつ。

 手出しができない以上、上空に留まっても仕方ない、と下降していく。
 意気込んでおいて大した事も…とは思ったが、過激になる背後の戦闘音、何よりエンの自信に満ちた語調。むしろ巻き込まない為に、という意味もあったのだろう。
 途中で意識が遠のき、気付けば地上の本体の方に戻ってきていて、降りてくるストラトスフィアを迎える形になる。
 抱えるにはもう無理が生じる体躯。座ってる俺の隣に降りてきて、脚の上に頭を預けぐったりと休んでいる。
 見た目には爬虫類っぽいのに、こう懐かれるのはなんだか不思議な感じ。


 上空のオロチとエンの雷撃が、距離以上に遠くに感じる。
 ただ見ている事しかできないのがもどかしい。

 上空にばかり気を取られていたが、地上の方でも動きがあった。
 不自然に集まり、大きな塊へとなっていく雨水。そうか、ナナノハの為の雷雨でもあった訳か。
 次第に網のような雷撃空間に追いやられ、オロチの高度が下がってくる。
 そして水の塊から、いつか見た氷の頭蓋の蛇が。何本も生えたそれが、地上側からオロチの拘束にかかる。
 しかし水量が足りないのかオロチが弱り切ってないのか拘束に至れず、千切れた水蛇の首が水の塊へと落ち、また生えなおし。

 何かここからできる事はないか。俺やロロが、少しでも力添えになれる何か……。
 …ロロがこれまでやってきた事、あれならもしかしたら…?
「なぁストラトスフィア、もう一瞬だけ頑張ってくれるか?」
 伝わる肯定の意思とともに、短い唸り声。


 相変わらず距離感覚がおかしくなりそうな規模だが、さっきの戦いで雰囲気は掴んだ。
 この場所からでも、届く。
 爆発的にストラトスフィアの魔力が放出され、その扱いを委ねられる。
 精神を集中させ、作り慣れたイメージを現出させる。
「喰らいつくして、ロロ!」
 可視化される程高まった魔力の塊から、ツノと翼の特徴的な狼が、オロチに向かって駆け出す。

 ナナノハの追撃もある中、その狼の牙から逃れるすべは無く、オロチの胴にロロが噛み付く。
 噛み千切り、魔力を喰らい取り込んでいく。ストラトスフィアは魔力が尽きたが、続けて何度もにロロがオロチを喰らい、その魔力で巨体を維持していく。
 オロチの断面からどんどん魔力が抜けていく。

 それをチャンスと見て、また別の動き。
 後方、封印術の為の杭が強い光の柱を放ち、4方向へと光の線を走らせる。やがて円周上に仕掛けた杭の場所、合わせて5本の柱が立つ。
 上空でも柱同士が結ばれ、五芒星の陣を描く。それが下降し、オロチを地の中へと押し込めていく。
 地面全体が強い光を放ち、耐えきれず目を腕で覆う。次に辺りを見渡せた時には、オロチも何もなかったかのように、ただ山があるだけだった。

 そして、魔力の供給源を失ったロロが黒い煙状の魔力として散り、俺の内へと戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

レオナルド先生創世記

山本一義
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...