真水のスライム

ふぃる

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レミレニア編

63話 再起動②

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 ラディも一緒にリフレッシュして、なんて考えていたが、そうシンプルに事は運ばなかった。

 何かを隠すように「気が乗らない」とだけ理由を添え、一人で宿に。
 そして自分は明確な目的が無いまま、漠然と大通りをふらつく。

 普段通らない小道に入り、気付けば見た事が無い風景。
 最初街に来た時がそうだっけ。ラディの手伝いで小道に入って、迷って、元の場所に戻っちゃって。
 その正確な場所は覚えてないけど、まさに今のこの場所がそんな感じの町並みだった。
 目立たない、静かな場所。だけどそこには生活が確かにある。
 表の華やかさとは打って変わって日用品の並ぶ金物屋、色も料理屋ではなく肉屋や青果屋といった食材の店の数々。
 それらが立ち並ぶでもなく、住居の間に点々と存在している。そんな非日常の合間を突き抜け、見慣れた大通りに出る。


 そんな最中さなか、ふと痕跡が視界に入る。
 壁についた無数の爪痕、例の一件があったのだろう。
 「潜入魔物」と呼ばれるようになった一連の事は、レミレニアの中でもこの一帯でのみ発生している。
 昨日は確認されただけで14件にもなり、いつ襲われるか分からない状態。流石に人通りも順調に減ってきている。
 ギルドからも休日も武器の携行が推奨されている。裏の意図としては「不意に出会ったら対処しろ」という事だろう。なんとも身勝手な話だ。
 武器が不要なエンだとかならともかく、剣をいつものように携行していては休まりづらい。

 …ラディの方は大丈夫だっただろうか。
 宿まで短い道中だったとはいえ、もしも遭遇してしまったら……。

 ラディ自身は何ら問題はないだろう。
 だが無傷での制圧とはいかないだろう。民衆の前で爪の一撃でももらってしまえば、その身の一部を水として散らしてしまえば、知らぬ人からすれば「人に化けてる得体の知れない魔物」。そうなってしまえば、好意的な反応は、望む方が(厳しいだろう。)
 自分なら詭弁を混ぜつつ押し通せるだろう。しかしラディは……。

 ……。

 …そうか。
 段階を見誤っていた。
 ラディに必要なものは、武力だとかそういう表面的なものじゃない。

 困った時に頼れる仲間、何があっても受け入れてくれる居場所。
 たとえハルドレーンさんを敵に回す事になったとしても、守ってくれるほどの相手。
 そんな大役を僕ができるのか?

 …違う。
 やれるのは、僕だけなんだ。
 やるか、ラディを見捨てるか。そういう二択だ。
 そうとなれば、答えはすぐに出た。

 ラディには僕しかいない、なんて傲慢な事は言わない。
 けどせめて、ラディの事を分かってくれる人がもっとできるまで付き合えるくらいには……。
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