真水のスライム

ふぃる

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レミレニア編

83話 即断即決⑧

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 「薬屋」の身柄をギルド本部に届け終え、気付けば戦いの音は大分遠く。
 ここに来る道中で戦闘の様子も魔物の姿も無く、誘引された魔物はほぼ集まり切ったらしい。
 となれば中心となる「薬屋」周辺が片付けば、一先ず事は収束するだろう。
 緊張の傍ら、目立つ活躍への期待もいだいていたが、実際にはあまりにもあっけないものだった。

 そして、ひとつ気になる事もあった。
「ラディ、大丈夫か?」
 そこはかとなく落ち着かない…いや、おそらくは……。
「いえ、ただ、あのひとが言った事が、ゆるせなくって。
 それでたぶん、わるい考えがわいてきて、それで……。」
 戸惑い、不安な様子。ラディにとって怒りは、未知の感情だったのだろう。
「別に怒るのは、悪い事じゃない。行動に出さなきゃ、どう思おうとその人の勝手だし。
 けど行動に出しちゃったら、大体の場合それは『悪』だ。だから抑えたのは偉いよ。」
「『怒る』……。
 …とりかえしが付かなくなるような事も考えてしまって、じぶんでもこわかったです。」
 もしもラディがその戦闘能力を、意志の制御無くあの場で振るってたら……。
「…流石にラディを実力で止めれる自信は無いな、ごめん。」
「ラディは、やはり『危険物』なのでしょうか?」
「今回みたいに自分で抑えれるなら、大丈夫だよ。
 それにあいつの言い方には、僕もちょっとムカついたし。」
「そう…ですよね。」
 そのラディの声は、かすかな希望にでもすがるかのようなか細さだった。
「まぁその、僕と出会う前はあいつの『都合のいい存在』だったラディが、世界を知って、今は自分の意思で行動して。
 スランプだって乗り越えて、今日こうして活躍して。
 そんなラディの成長を、僕は信じるよ。」
「…ラディのかんがえすぎ、なのでしょうか?」
「かもね、でも悩むのは悪い事じゃない。
 今日悩んだ事を忘れなければ、今はそれでいいと思うよ。」
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