真水のスライム

ふぃる

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レミレニア編

91話 白と黒①

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 その場所は、外と隔離されたかのように静かだった。

 大きく開いた天井の窓からは陽光が差し込み、空間を照らしている。
 横重力で壁の一面に水が流れ込み、そのせせらぎが響く。
 そんな穏やかさと相反する無機質な灰色の部屋とのコントラストは、風情すら感じるほど。

 そんな四角い部屋の中心に、純白の竜はただ静かに眠っていた。


「あれが、そのディエルってやつ、なのか?」
 もっと荒々しい状況を想定してただけに、確証に自信が持てなかった。
「えぇ、間違いない。」
 歩み寄りがたい圧は感じる。が、今のところ脅威的ではない。
 いつものように探知を仕掛けるエンの水色の瞳が、魔力で煌いている。事前に聞いていた精神探知もかけているのだろう。

 それに気付いたディエルが目を覚ます。
 同時に豹変するかのように、黒いオーラが立ち上る。
 部屋に轟く咆哮と共に、黒を纏った風の渦が襲い掛かる。

 だが不思議と敵意は感じない。これは…威嚇?
「抗ってる。ディエルの意志と、どす黒い何か。
 …来るよ。」

 直後、無数の黒いトゲが降ってくる。
 剣で受け流しながら前に踏み込む。当たった感触がある、物理的に防げる。
 気を引くために左手に炎を溜めながら、次の一撃を警戒する。
 だがシンプルに渦巻く風が厳しい。まともに接近するのも叶わず、足元がふらつき、よろける。

 直後、すぐ脇を黒いトゲが掠める。背後からだ。地に刺さった物から伸びている。
 その間にもエンが数発、水色の光線を打ち込んでいく。
 エンを守るように、ラディが氷の大盾を構えている。ディエルに自分の相手をさせている限り、後ろは大丈夫そうだ。

 駄目元で火球を撃ってみるが、風で散り散りになる。
 それでも敵意と判断してか、飛び掛かりの強襲。
 そういうのなら慣れてる。剣で爪をいなし、横に引く。
 だが反撃を考えてる時に気付く、追撃の黒いトゲ。反射的に剣で受け止め飛ばされ、想定以上に距離が空く。
 そこに刺さる青い光線。見た目以上に効いているのだろう。もだえ、全方位にトゲを生成、接近を許さない。

 そのまま大量のトゲを纏ったまま浮上。大きなつむじ風と共に乱射。
 風で軌道がずれて咄嗟に読めない。ラディの助け、後方左右からの水が氷の屋根になる。
 見るとラディが壁から水を供給し伸ばしている。そのまま伸びる屋根を盾に、ディエルの足元まで潜り込み、風の中心部に達する。
 トゲの届かない微風地帯。ラディがらせん状に展開した足場を頼りに、上空のディエルに接近する。

 そこに襲い掛かるディエルの爪。だが自身の風でバランスを崩し、届きはしなかった。
 そこにエンの青いビーム2発。弾き出されたディエルがどうにか着地し、風が止む。

 今のうちに、と大きく踏み込む。だが反撃の手も早い。
 ひときわ大きな黒い杭が一本。直線的、突進と同じ要領で剣で受け流す。

 だが、同時に妙な金属の音、予想よりも早く消える重量感。反射的に音の方を確認。
 剣の耐久は限界を超え、刃が宙に舞っていた。
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