真水のスライム

ふぃる

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レミレニア編

99話 夜が明けて③

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 「爆槍」さんがパーティの2人に連れ去られる形で退場し、丁度入れ替わるようなタイミングでエンがラディを連れて席につく。
 救護施設では二人のタイミングが合わず、こうして3人で揃うのは、あの時以来だ。

「とりあえず…っていうのもあれだけど、まずは確認しておかないとね。
 義手の調子、どう?」
 最初に切り出したのはエンだった。
「慣れてはきた…けど、冒険者活動するのはまだ厳しそう。」
 とりあえず日常生活で使う分には問題ないんだけど、剣代わりの棒で試し振りしてみると、やっぱり動きがにぶい違和感はある。
 義手を通して魔術を使うにも勝手が違うようで、いまいち制御しきれない。
「とりあえず解決案として魔石を良質な物に取り換える、というのは挙がってるけど、コンジュさんの手持ちにはいいのが無かったって。
 そこいらの行商人が扱える物でもないから、試すにも時間と手間がかかるってさ。」
「具体的には?」
「『シント』ってとこでなら確保の目途はあるらしい。
 けどまだ高濃度魔力の影響が残ってる以上、下手に伝書を飛ばす訳にもいかないから直接取りに行きたいって。」
「…馬車移動でも片道3日、って所ね。」
 既に休止期間はかなり開いてしまっている。加えて往復6日以上となると、流石に無視できないロスである。

「エンさんは、冒険者をつづけるのです?
 その、もくてきは果たしたのでしょう?」
 今度はラディからの質問。気にはなったが、聞きづらかった疑問だ。
「そう、ね。…けど、二人の意見優先すべきだと思う。
 聞かせて。セイル達はどうしたい?」
 含みのあリ気な言い方だ。
 理由がどうあれ一度組んだ以上、このままレミレニアで冒険者を続けるのが道理なのだろう。
 けどエンが聞きたいのは多分そういう事じゃないのだろう。
 悪く言ってしまえば「利用していた」関係性。それを白状した上で、このままパーティを組み続ける事を容認するか否か、といった所だろう。
 だがそんな思惑、知ったこっちゃない。
 これは自分にとっての、そしておそらくエンにとってもいいきっかけだろう。
「シントに行ってみたい。どんな所なのか興味がある。
 ラディはそれでいいか?」
「はいです。
 それも冒険、なのでしょう?」
「…いいの?
 自分で言うのもアレだけど、このまま冒険者続ければ、いい収入維持できると思うよ?」
 確かに名声は上がった。けどまだ小さなものだ。
 普通に暮らす上でなら、このままパーティを存続させるのが無難だろう。
 だが自分の冒険の目指す先は、もっと上だ。
 それに──
「僕の方もあの術の中で少し見えちゃったけど、ずっとディエルと二人で旅してきたんだろ?
 だからエンはディエルと過ごせばいい…というのじゃダメか?」
 少しの間、思う所ありげな様子。
 それでも口調だけは冷静に、話を進める。
「……分かった。
 それじゃパーティは解散、という事でいい?」
「そう、なるかな。
 これまでありがとな。」
「…それはこっちのセリフよ。」

「それで、ディエルさんはどうだったのです?」
 ひと段落した所で、ラディが聞く。
「今の所としては『何も分からない』だって。目立った異常は異常は見つからなかった。
 ただ、ここだと測定器が古くて、ろくに調べられないのが大きな要因かもって言ってた。」
 その手の事はレミレニアの専門外なんだろうな、魔石の事も込みで。
「比較分析しようにも他の竜に直に触れた人なんてまずいなくて、これがすぐに調べられる事の限界。
 だから物も資料もあるシントの方に移してって事になった。」
「…それって、僕の答え次第で…?」
 結果的にいい選択であった安堵と共に、もし違う選択をしてたら…とも。
「その時は送り出して、冒険者続けるつもりだったよ。
 別に所在も分かってるし、大丈夫って分かってれば一時いっときの別れくらいは別に構わないし。」
 半分ほど嘘が混じってる、そんなエンの様子。
「ただ、セイル達の言う『冒険』もちょっといいなって思ってきてたから、ちょっと寂しいのはどっちも同じ、かな。」


「話のついでにひとついいかな?
 エンに手伝ってほしい事があるんだ、」
 話が一区切りついた所で、もう1つ。
「分かった、私にできる事なら。」
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