英傑活動の傍らで

ふぃる

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90話 ひと段落した後①

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「思ったよりすんごい事なってるねー。」
 数日後、拠点のメインルーム。エビットがそう呟く。
 中央卓は、活動日であればありえないくらいに雑誌で散らかっていた。

 被害の程度に差はあれど、騒ぎはシント全域で起こっていた。本命を通す為の囮だろうか?
 それで一番の被害であった南西地区の占拠が目立つけど、全体での破損被害も相当なものになっている。
 だから英傑も街の復旧に回っていて、その為のスケジュールを上が定めている。それで今日は、チーム単位で休みの日。
 他の人達は出掛けてて、今は部屋にエビットとふたりきり。

 事の情報があふれ過ぎて、連日刊行されてるニュース雑誌の号外。その1冊を目を通し終え、テーブルに放り次のを手に取る。
 仕事関係だからというのもあるが、単純にシントの住民として何が起こっているのかを知っておくべき、と思い今に至る。

「南西のあそこも、まだ奪還できてないんだな……。
 てか何だこの比較図。私らとジェミナイツ、どっちの方が活躍したかとか言ってる場合じゃなくね?」
 被害の中でも今なお続くあの場所の事は、毎号状況報告が載っている。
 ジェミナイツに任せた後も全面の奪還とはいかず、その後迎撃装置が増えて要塞と化してるらしい。
 そして「ダーティ・ホイール」とどちらがどの場所を奪還したかが色分けで比較されている。ざっくり目測、ジェミナイツの方が1.5倍くらい広い。
「でも私ら別働で姐さん1人での戦果な訳だし、それ考えれば姐さんの戦果の方がやばいでしょ。」
「まーな。単騎戦力なら負けるつもりはねーよ。
 もひとつ気になるの、『赤霧の鎧』ってのは何だ?」
「私も知らないよ。北東地区担当だったし。」
「だよなぁ。
 南門地区…か」
「なんか心当たりあんの?」
 うろ覚えだけど、確かあいつらが拠点を構えたのが、南門地区だった気がする。
「いや、情報のアテを思い出しただけだ。
 ただ、そいつらも忙しいだろうし、今そんな興味で行くのも邪魔だよなって。予定合わせるのも厳しいだろうし。」
「…仕事扱いにすればどうにかなるんじゃない?」
「片付けが済むまでは厳しいだろうな、あの『一番隊』の様子じゃ。」
 どうせ戦力として必要となったら、こっちから動かずとも話は来るだろう。

「さて、私もちょっと出かけてくる。留守は任せた。」
「ん、いってらー。」
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