英傑活動の傍らで

ふぃる

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11話 二者は交じり合い⑤

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 それから2日後。
 いつもの待ち合わせの時間、ロイノはいつもの場所にいた。
 仕草での招き入れに従って暗さに紛れたところで、ロイノが言う。
「お待たせ。換金担当の戻り待ちだ、『路地裏』で待とう。」

 まだ覚えれていない道筋を、ロイノの後を追って進んでいく。
 見覚えのある表通り、この先もうすぐで到着だったはずだ。ロイノを見失わないよう注意しながら、前に貰った茶ローブを纏う。
 そして到着した「路地裏」の広場。前に来た時は気付かなかったけど、無人のように見えたこの場所にも、他にも誰か居る。
 けど素性を知らない私を避けて、遠巻きに観察されている。仕方ない事かと割り切りながら、フードを深めに引っ張る。

「今更なんだけどさ、ここって土地としてどういう場所なの?
 周りより大分その…ボロいけど。」
 その問いに、ロイノが手招きで答える。何かあるんだろうとそれに従い、屋内の階段を上る。
 2階分上がったその先は、建物の屋上だった。
 広場は全容を見下ろせるけど、その外側は更に背が高い建物で囲まれている。荒れてる「路地裏」の建物と違い、表通りで見るようなきれいな建物の壁だ。
「ニメージュは、この街の地図を見た事はあるか?」
「うん、簡単なものなら。」
 荷運びの場所を確認する為程度の簡単なものだが、主な大通りくらいは分かる東門地区の地図だった。
「ここはな、地図と地図の隙間なんだ。」
「…どういう事?」
「この街の地図って、地区毎の地図はよくあるんだけど、街全体の地図ってのが見た事がないくらい、普及してないんだ。
 で、ある時、別の地区の地図で境目の形が微妙に違うのに気付いて、それで見つけた『地図に載ってない場所』がここなんだ。」
「そんな事がありえるの?」
「私も見つけた時は驚いて、何度も確認した。
 けど、お陰でここに知らない人は来ないし、私らみたいなのが隠れて暮らすのにはちょうどいいってわけ。」
「…改めて聞きたいんだけどさ、その『私らみたいなの』って、どういう括りなの?」
「お前らの視点からすれば『異形』だろうな。
 私みたいに種族に曰くつきの奴、遠くじゃ一般的でもここじゃ珍しい種族の奴。そういう表で暮らしにくい奴らだ。」
「だから盗みで…?」
「真っ当な稼ぎ方ができない以上、仕方のない事だ。」
 それ以上、この流れに踏み込む事はできなかった。

「で、お前は何でこんな手段取ってまで金が必要だったわけ? なんか訳アリっぽい雰囲気だったけど。」
 お返しにとばかりに、ロイノが問いを振ってくる。
「ざっくり言えば薬の為みたいなもの、かな。友達の為の。」
 ごまかしながらだけど、そう間違ってもいない答えのはずだ。
「そんな困窮してるナリには見えないが、高い薬なのか?」
「えっと、街の外にキャンプあるのは知ってる? あそこで暮らしてるの。」
「あー、遠巻きに見た事はあるな。あれは何の一団なんだ?」
「竜災から逃げてきたんだよ。いきなり来た竜によって、村の全ては炎に飲まれて。」
「竜災って…今の時代にマジで?」
 私も竜災なんて歴史上だけの出来事と思っていたから、自分が遭遇するなんて思いもしていなかった。
「うん。炎が押し寄せてきて、その向こうで吼える声がして。
 避難してきて街に援助はしてもらってるけど、そもそも街の事まだよく知らないし、完全に自由が利く訳じゃなくって。」
「…その事情は、私には計れないな。」
「うん、分かってもらおうなんて思ってない。
 私にも私なりの理由がある、ただそれだけの事。」
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