英傑活動の傍らで

ふぃる

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20話 提示される選択肢④

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 柑橘系ソースが利いた肉団子を食べながら考える。
 不意の話に流されないように、現状の根底に立ち返って。

 そもそも何で金を稼いでるのか。
 暮らす金を稼ぐため…なんてわけではない。避難民保護は成人となる来年いっぱいまで受けられる事になっている、それまでは生活を心配する必要は無い。
 いずれこの街を出て、他の街で暮らしていきたい。その為の資金作りだ。

 別にシントに不満がある訳ではない。もうとっくに街には慣れたし、恩を感じてるところもある。
 けどそれ以上に思い出してしまう、昔の事を。


 かつて「路地裏」と呼ばれた場所は、もう存在していない。再開発の一環で廃屋たちは取り壊され、今は南東地区の一般的な街並みだ。
 けど、その周辺は大きく変わってはいない。近くを通る度に、あの短くも無視できない時を思い出す。

 サーシャに必要だった茶葉を盗んだのは、ロイノ達の一団のひとだろう。そしてその活動に、私も加わっていた。
 もちろん私が茶葉の事に直接関与した訳ではない。それは分かってはいる。
 けど、全くの無関係と思う事もできない。自分の行いも知らないところでもしかしたら…と考えると、自分がサーシャに手を下したかのような感覚。錯覚とは分かっていても、ずっと抜けない。
 こうして思い出すたけでも気が沈む。おいしいはずの飯が、ただ腹に入れるだけの作業になってしまうくらいに。


 逃げたい、それが今の原動力。
 「新しい治安組織」とやらがどういうものになるかは分からないけど、初期から関わるとなったら、短い付き合いでは済まないだろう。
 長期的にこの街で暮らす前提の働き口の話には、気が乗らない。

 けど、いつまで続けるか不明という前提の上で受けた仕事。それにこれ以上の宣伝はキャパオーバーになるというのも、表の列を見れば納得はする。
 ここでの配達にこだわりがある訳ではない。稼げるんなら別にどこだっていい。
 それに、流れ任せとはいえピア店長の勧め。考え無しに無下にしたくもない。

 頭の中で選択肢を天秤にかけたら、答えは決まった。
 とりあえずその治安組織とやらに行ってみて…その後の事はなんとか考えて誤魔化そう。
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