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二班

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耳鳴りで頭がガンガンする。


「耳にきたってことは神谷くんっすねー」


「そーだな。2班だよ」


葛谷が苦しそうに言うと神谷の冷たい声がした。


「ええい、うっとおしいわ!」


天狗が団扇を振ると風が巻き起こり、耳鳴りが止んだ。

前を見ると急な急な突風に狼狽した4人がいた。


「天狗かよ、ヨンゴーは不利だな」
1人は神谷だった。


「ナメたことしてんじゃねー!」


百合が神谷に殴りかかろうとすると横から細々とした少年がさっと出てきて神谷の前に立った。

百合のパンチは豪快にきまった










ように思われた。


百合と少年の動きは止まっていた。


百合が攻撃をやめたわけでもなく、
少年が攻撃を受け止めたわけでもなく、
ただそこに2人が銅像のように固まっていた。


「そっちの脳筋女は平野に任せとくとして、俺は妹の方を潰しに行くわ。そっちの新入りに下手に手出すと塵にされるぞ。」


「任せて!」


「……狩る…」


2班はそう打ち合わせると、神谷は菫の方に、スポーツウェアの短めの髪の青年と動きにくそうなローブを纏ったロングヘアの女の子がこちらへ向かって来た。

菫は走り出し、神谷は菫を追い、天狗はすかさず神谷を追う



青年は唐突に走り出した後にこう叫んだ。



「能力コピー!」



「(能力コピーってことは相手の能力をコピーするってことか?俺か葛谷くんの能力をコピーするってことは原子分解か狼少年。どっちをコピーされても困る)」


走ってくる敵の動きを観察していると


「大橋さん気をつけて!ただの能力コピーだったらそいつはこんな特殊な能力者の学校に来ない!そいつの能力は…」


神谷がそう言いかけたとき一気に距離を詰めてきていた敵に思い切り殴られた。



「「「え…」」」



京一以外の3人の声がハモった。



「大丈夫っすか!?大橋さん!あいつの能力は敵の能力を複数コピーできるんすよ。今の状況だと、俺と大橋さんの能力の強さをそれぞれ2分の1して2つコピーできるんすよ」


「おかしいな…。神谷くんには殴れば塵にできると聞いていたんだが…。おい!能力の発動条件はなんだ!」


そこで1つ大きなことを思い出した。

「(モグラを使役した少年に聞かされた俺の能力の制限の話、神谷くんや園部さんにしてない…!)」


一気に自信がついた


「お、教えるわけ、ないだろぉ!?」

やばい、俺カッコ悪い…


「そーだそーだ!そんな大事なこと教えれるわけないだろ!」

葛谷もノリノリだ。



「じゃあ【僕って実は飛べるんだよね】」

青年が呟いた。


「へ?【俺たちも飛べるんすよ?】」

葛谷が返す。


何を言ってるんだと思った瞬間、体がふわりと浮く。


「俺の狼少年パクんじゃねーよ」


「いいじゃないか。どーせ2分の1しかコピーできないんだから、飛んでいられる時間は君らの半分だよ」


そして青年が下に向かって叫ぶ


「いっしーは下からやっていいよ!」


下を見るとローブの女の子は地上にいる。


「あっちゃー、2人とも飛ぶべきじゃなかったっすね」



いきなり下から現れた大蛇が噛み付いてくるのを間一髪で避ける。



「彼女の能力は【メデューサ】。

蛇を自由に使役できるのと、

自分もしくは特定の蛇の目を敵の目と合わせて凝視することで相手を石のように動けなくさせれる

1つの能力で2つの攻撃ができるのさ」



こうして初めての空中戦が幕をあけた



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