アブノーマル・アビリティ

ハイドン

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二班③

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「ようこそ、僕の世界へ」


活気のない少年がけだるそうに言う


「あんた影薄いからやりあうのは初めてだな、能力の紹介でもしないかい?」


「君のは知ってるし。僕の能力は【平行世界】」


「平行世界?」


「俗に言うパラレルワールド。さっきの世界で殴られる寸前で僕の能力が発動したんだ。

つまり、君の攻撃を受けた僕、横に避けた僕、跳んで避けた僕…などなど。

同じ時間軸にいくつもの世界ができたんだよ。そして避けた世界に移動したの」


「あんたの倒し方は?」


「君が攻撃するといくつかの世界ができる。だから世界ができ得ない、つまり僕が回避するあらゆる可能性を潰した攻撃を1度できめないと永遠に僕と鬼ごっこだね。鬼のお姉さんだけに…ふふっ」


「面白くねーんだよ!」


百合がまた殴りかかると目の前が真っ白になってまた少年が百合から距離をとっている光景があった。


「何これウケる。」


「僕も楽しいよ。」


向かい合って笑う2人の間を風が吹き抜ける。


百合が今度は高く飛び上がって殴りかかる。
すると少年の姿は目の前にはなく、背中に鋭い痛みが走った。

振り向くと少年が木の枝を背中に突き刺していた。


「今のはもちろん攻撃を受けた僕がいたけど、それを避けて反撃した僕もいたんだよね。まぁ反撃してる世界ができる確率はそんなに高くないんだけど」


「ちっ」


少年が離れてすぐに距離をとる。


「あー、だりぃなー。能力使うかー」


百合が深呼吸して地面を踏む
周りの落ち葉がふわっと巻き上がったあとに風が吹き荒れる


山を削り、木を薙ぎ倒し、岩をも砕くその衝撃に少年は目を瞑った

目を開けると鬼がいた

この世のどんな生物よりも恐ろしいものが目の前で、自分の支配する空間で、自分をひねり潰そうとしている。



次の瞬間にはもう別の世界に移動していた。


「何とか助かったのか…」


一瞬安堵して、敵を視認しようとしたときにはもう体が吹っ飛んでいた。

元の世界だ

「鬼人」というよりは「鬼」そのものだった百合の攻撃は新しい世界ができ得ないほどの速さと力でパラレルワールドを吹き飛ばした。


地面に転がった少年はうっすらと目を開ける。

額から突き出た1本の白い角が鈍く光って禍々しい雰囲気を演出していたものの、その下にある顔は笑っていた。

「あんた、やるな」

百合が手を差し伸べる

「そっちこそ」

さっきとは打って変わって、穏やかな風が吹いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


神谷と菫、その横に天狗も向かい合っていた。

「俺は新入りとやりあってみたいんだよ。とっとと失せてもらうぜ」


「ふはははは、その前に降参してもらうでござる」

天狗が一気に距離を詰めると神谷が指を鳴らした。


「な!?消えた!」


「え!5人!?」

天狗と菫が同時に言った。

天狗の目には神谷はおらず、菫の目には5人に見える。


「視覚が食い違ったらどーすんだろーな」

神谷がニヤっと笑った。




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