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第二章 死する狼のための鎮魂歌
心変わりと、その理由①
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焼け落ちた集落を迂回して、少年は薄暗い森の中を走った。殺戮者の手から逃れた仲間を捜すために。
数日ぶりに村へ帰る、その途中だった。人間の数十倍にも及ぶ少年の嗅覚が鼻につく異様な臭いを感じ取り、異変に気付いた少年は咄嗟に繁みの中へ身を隠した。丘の上は遠すぎて、村を見降ろす殺戮者の姿は、はっきりとはわからなかった。けれど、その人数が相当のものだということを、少年は一目で理解した。
まだ火の粉が舞う集落に漂う動物が焼ける臭い。おそらくそれは、少年の家族の、友人の、仲間達のものだった。
あまりにも唐突で無慈悲な現実を突き付けられ、少年はその場にへたり込んだ。絶望と恐怖で、彼は動くこともできなかった。
全てを失った少年の身体が、怒りとも哀しみとも言えない叫声を上げようとしたとき、少年の目が森へ逃げ込む小さな影を捉えた。その直後、丘の上で甲高い笛の音が鳴り響く。弾かれるように少年は立ち上がり、森の中を走り出した。
――奴等が丘を降りる前に、森に逃げ込んだ仲間を見つけなければ。
少年は走った。この広い森の中、たったひとりの仲間を見つけるのは、とても困難なことに思えた。通常であれば、鼻を効かせて見つけることもできるだろうが、いかんせん、この異臭では――。
少年が足を止め、苦々しく顔を歪める。仲間の影を追うことを諦めかけた、そのとき。少年の元に、風にのって花の香りが届いた。
「レティシア……」
少女の名を呟いて、少年は再び走り出した。異臭の中に微かに混ざる花の香りを頼りに、繁みを掻き分けて走り抜ける。辿り着いたその先で、暗闇を駆ける少女の姿をみつけた。
脚がもつれ、転びかけた少女に、少年は手を伸ばした。
***
自由都市アルティジエの夕暮れどき。この街唯一の宿屋である『羊の安らぎ亭』の食堂は、夕食に訪れた鉱山夫と職人で溢れかえっていた。
「マリアちゃん、こっち、おかわり!」
「こっちも、追加で頼むよ!」
「はい! すぐにお伺いします!」
次々と投げかけられる言葉に細やかに気を配りながら満席の食堂内を行き来するのは、先日から食堂の給仕を任されたマリアンルージュだ。
大皿料理を片手にテーブルのあいだを器用にすり抜け、客の元へ注文の品を運ぶその動きには全く無駄がない。くるくると向きを変えて客の呼び声に応える様は、まるで舞台上で舞う踊り子のようだった。
マリアンルージュがこの食堂で働き始めて、すでに三日が経っていた。一昨日の夜から働き始めた新顔の美人給仕の噂は、その夜から朝方に掛けて、瞬く間に街の男達のあいだに広がった。
翌昼、夜と客足が増え続け、遂には他の食堂の常連客までもが列を成して『羊の安らぎ亭』に食事に来ている有様だった。
お世辞にも清潔とは言えない姿のゼノとマリアンルージュを、女将のヴァネッサが快く雇った理由が、今のゼノには良くわかる。
「これが狙いだった、と……」
うまい話にまんまと乗せられ、マリアンルージュを餌にされてしまった。
眉間に皺を寄せ、不満気な表情で、ゼノは苦々しく溜め息を漏らした。
マリアンルージュと同じようにゼノも給仕の仕事を任されているというのに、この店の客ときたら、ゼノには全く声を掛けようともしない。待たされるのを承知の上で、忙しく動き回るマリアンルージュを目で追い、隙あらば声を掛ける。その繰り返しだ。
「この街の男は、どれだけ女性に飢えているんだ……」
竜人族の里のように女性が少ないわけではないはずなのに。それにも関わらずこの有様とは、人間とはつくづく欲深い。
厨房の入り口で立ち止まり、ゼノがぼやいていると、
「この街にも若い娘はいるんだがなぁ。マリアほどのべっぴんさんは、そうそう見かけねぇもんよ」
大声で笑いながら、この宿の主人であるダニエルが厨房から現れた。
短く切り揃えた墨色の髪と、揉み上げと繋がった顎髭が囲むその厳つい顔に、勝ち誇ったような笑みが浮かべられている。どうやら、連日増え続ける客にご満悦の様子だ。
いつにも増して無愛想な顔で、ゼノが客の引いたテーブルを片付け始めると、ダニエルはやれやれと肩を竦め、ゼノの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「恋人が野郎共の見世物にされて腹立たしい気持ちはわかる。だが、客の前でそんな不機嫌な顔すんじゃねぇ」
「どうせ誰も俺の顔なんて見てませんよ。それに、マリアとは恋人ってわけじゃ……」
鬱陶しそうにダニエルの手を払いのけてゼノが言い返すと、まるで子供の相手をするかのように、ダニエルはおおらかに笑って見せた。
「まぁ、ああやって騒いじゃいるが、おっさん連中は単に華が欲しいだけだ。自宅じゃ怖い嫁さんに尻に敷かれてんだから大目に見てやってくれ。惚れた腫れたの話なら、おっさん連中よりも若ぇのに注意したほうが良いな」
そう言って、ダニエルは奥のテーブル席を指差した。
ちょうど気性の荒そうな風貌の若い男が、マリアンルージュを呼び止めているところだった。
「あの兄さんは、一昨日の夜うちでマリアを見てから昼夜続けて通い詰めてる。ありゃあ、明らかに下心があるぞ。今夜あたり、勝負に出てもおかしくねぇ」
顎に蓄えた髭を弄りながら、面白そうにダニエルが言った。若い男とマリアンルージュのやり取りを、ゼノは遠巻きに注視した。
要件を尋ねにテーブルへ向かったマリアンルージュに、男が何やら話しかけていた。
にこやかに微笑んで、マリアンルージュは男の誘いをやんわりとかわしている。常日頃から故郷の男達に好意を寄せられていただけのことはあり、異性をあしらうのも手馴れた様子だ。
だが、男は想像以上にしつこかった。ダニエルが言うように、今夜が勝負だとでも思っているのかもしれない。
幾度となく誘いをかわしつづけるマリアンルージュの態度に痺れを切らしたのか、男が急に腕を伸ばし、マリアンルージュの手を強く掴んだ。驚いたマリアンルージュが慌てて後退ろうとするが、男は握った手を放そうとしない。
無意識に、ゼノは拳を握り締めた。
「行ってやんな。お嬢ちゃんが困ってる」
促すように、ダニエルがゼノの背中を押す。
面白半分に煽られて、ゼノは釈然としないまま足を踏み出した。他の客を避けながら、つかつかと奥のテーブル席へ向かう。それに気付いた周りの客が、道をあけ、ゼノの向かう先へ次々と視線を向けた。
気に入った女を口説き落とそうとする男と、それを止めに入るもうひとりの男。
喧嘩騒ぎが大好物の鉱山の男達は、三人の男女のやり取りに興味津々だった。
「失礼ですが、彼女はまだ勤務中です。他のお客様に迷惑がかかりますので、お引き取りください」
淡々と言い放ち、ゼノは男の手首を掴んだ。明らかに機嫌を損ねた様子で、男がゼノに視線を向ける。
男の気が逸れた僅かな隙をついて、マリアンルージュが逃れると、「ちっ」と軽く舌打ちして、男はゼノに向き直った。
「なんだ? 誰だお前。俺は彼女に用があるんだが?」
喧嘩腰にそう言うと、男は勢い良く席を立った。鉱山夫らしい屈強な身体だ。身長だけでもゼノと頭ひとつ分の違いがあり、体格差は歴然としていた。
苛立ちを隠そうともせず、男がゼノを睨みつける。けれど、この程度のことではゼノも引き下がらなかった。
「口にしないだけで、彼女は迷惑しています。必要なら俺がお相手しますよ」
淡々とそう告げると、ゼノは男の眼をキッと睨み返した。
「ふん、良い度胸だ」
男が上着を脱ぎ捨てる。筋肉の隆起した雄々しい肉体を晒し、拳を構えた。
空いたグラスに残った氷が溶けて崩れ、乾いた音がカランと響く。
それが合図になった。
次の瞬間、汗臭い男達で溢れた食堂内に、熱気を帯びた歓声が湧き上がった。
数日ぶりに村へ帰る、その途中だった。人間の数十倍にも及ぶ少年の嗅覚が鼻につく異様な臭いを感じ取り、異変に気付いた少年は咄嗟に繁みの中へ身を隠した。丘の上は遠すぎて、村を見降ろす殺戮者の姿は、はっきりとはわからなかった。けれど、その人数が相当のものだということを、少年は一目で理解した。
まだ火の粉が舞う集落に漂う動物が焼ける臭い。おそらくそれは、少年の家族の、友人の、仲間達のものだった。
あまりにも唐突で無慈悲な現実を突き付けられ、少年はその場にへたり込んだ。絶望と恐怖で、彼は動くこともできなかった。
全てを失った少年の身体が、怒りとも哀しみとも言えない叫声を上げようとしたとき、少年の目が森へ逃げ込む小さな影を捉えた。その直後、丘の上で甲高い笛の音が鳴り響く。弾かれるように少年は立ち上がり、森の中を走り出した。
――奴等が丘を降りる前に、森に逃げ込んだ仲間を見つけなければ。
少年は走った。この広い森の中、たったひとりの仲間を見つけるのは、とても困難なことに思えた。通常であれば、鼻を効かせて見つけることもできるだろうが、いかんせん、この異臭では――。
少年が足を止め、苦々しく顔を歪める。仲間の影を追うことを諦めかけた、そのとき。少年の元に、風にのって花の香りが届いた。
「レティシア……」
少女の名を呟いて、少年は再び走り出した。異臭の中に微かに混ざる花の香りを頼りに、繁みを掻き分けて走り抜ける。辿り着いたその先で、暗闇を駆ける少女の姿をみつけた。
脚がもつれ、転びかけた少女に、少年は手を伸ばした。
***
自由都市アルティジエの夕暮れどき。この街唯一の宿屋である『羊の安らぎ亭』の食堂は、夕食に訪れた鉱山夫と職人で溢れかえっていた。
「マリアちゃん、こっち、おかわり!」
「こっちも、追加で頼むよ!」
「はい! すぐにお伺いします!」
次々と投げかけられる言葉に細やかに気を配りながら満席の食堂内を行き来するのは、先日から食堂の給仕を任されたマリアンルージュだ。
大皿料理を片手にテーブルのあいだを器用にすり抜け、客の元へ注文の品を運ぶその動きには全く無駄がない。くるくると向きを変えて客の呼び声に応える様は、まるで舞台上で舞う踊り子のようだった。
マリアンルージュがこの食堂で働き始めて、すでに三日が経っていた。一昨日の夜から働き始めた新顔の美人給仕の噂は、その夜から朝方に掛けて、瞬く間に街の男達のあいだに広がった。
翌昼、夜と客足が増え続け、遂には他の食堂の常連客までもが列を成して『羊の安らぎ亭』に食事に来ている有様だった。
お世辞にも清潔とは言えない姿のゼノとマリアンルージュを、女将のヴァネッサが快く雇った理由が、今のゼノには良くわかる。
「これが狙いだった、と……」
うまい話にまんまと乗せられ、マリアンルージュを餌にされてしまった。
眉間に皺を寄せ、不満気な表情で、ゼノは苦々しく溜め息を漏らした。
マリアンルージュと同じようにゼノも給仕の仕事を任されているというのに、この店の客ときたら、ゼノには全く声を掛けようともしない。待たされるのを承知の上で、忙しく動き回るマリアンルージュを目で追い、隙あらば声を掛ける。その繰り返しだ。
「この街の男は、どれだけ女性に飢えているんだ……」
竜人族の里のように女性が少ないわけではないはずなのに。それにも関わらずこの有様とは、人間とはつくづく欲深い。
厨房の入り口で立ち止まり、ゼノがぼやいていると、
「この街にも若い娘はいるんだがなぁ。マリアほどのべっぴんさんは、そうそう見かけねぇもんよ」
大声で笑いながら、この宿の主人であるダニエルが厨房から現れた。
短く切り揃えた墨色の髪と、揉み上げと繋がった顎髭が囲むその厳つい顔に、勝ち誇ったような笑みが浮かべられている。どうやら、連日増え続ける客にご満悦の様子だ。
いつにも増して無愛想な顔で、ゼノが客の引いたテーブルを片付け始めると、ダニエルはやれやれと肩を竦め、ゼノの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「恋人が野郎共の見世物にされて腹立たしい気持ちはわかる。だが、客の前でそんな不機嫌な顔すんじゃねぇ」
「どうせ誰も俺の顔なんて見てませんよ。それに、マリアとは恋人ってわけじゃ……」
鬱陶しそうにダニエルの手を払いのけてゼノが言い返すと、まるで子供の相手をするかのように、ダニエルはおおらかに笑って見せた。
「まぁ、ああやって騒いじゃいるが、おっさん連中は単に華が欲しいだけだ。自宅じゃ怖い嫁さんに尻に敷かれてんだから大目に見てやってくれ。惚れた腫れたの話なら、おっさん連中よりも若ぇのに注意したほうが良いな」
そう言って、ダニエルは奥のテーブル席を指差した。
ちょうど気性の荒そうな風貌の若い男が、マリアンルージュを呼び止めているところだった。
「あの兄さんは、一昨日の夜うちでマリアを見てから昼夜続けて通い詰めてる。ありゃあ、明らかに下心があるぞ。今夜あたり、勝負に出てもおかしくねぇ」
顎に蓄えた髭を弄りながら、面白そうにダニエルが言った。若い男とマリアンルージュのやり取りを、ゼノは遠巻きに注視した。
要件を尋ねにテーブルへ向かったマリアンルージュに、男が何やら話しかけていた。
にこやかに微笑んで、マリアンルージュは男の誘いをやんわりとかわしている。常日頃から故郷の男達に好意を寄せられていただけのことはあり、異性をあしらうのも手馴れた様子だ。
だが、男は想像以上にしつこかった。ダニエルが言うように、今夜が勝負だとでも思っているのかもしれない。
幾度となく誘いをかわしつづけるマリアンルージュの態度に痺れを切らしたのか、男が急に腕を伸ばし、マリアンルージュの手を強く掴んだ。驚いたマリアンルージュが慌てて後退ろうとするが、男は握った手を放そうとしない。
無意識に、ゼノは拳を握り締めた。
「行ってやんな。お嬢ちゃんが困ってる」
促すように、ダニエルがゼノの背中を押す。
面白半分に煽られて、ゼノは釈然としないまま足を踏み出した。他の客を避けながら、つかつかと奥のテーブル席へ向かう。それに気付いた周りの客が、道をあけ、ゼノの向かう先へ次々と視線を向けた。
気に入った女を口説き落とそうとする男と、それを止めに入るもうひとりの男。
喧嘩騒ぎが大好物の鉱山の男達は、三人の男女のやり取りに興味津々だった。
「失礼ですが、彼女はまだ勤務中です。他のお客様に迷惑がかかりますので、お引き取りください」
淡々と言い放ち、ゼノは男の手首を掴んだ。明らかに機嫌を損ねた様子で、男がゼノに視線を向ける。
男の気が逸れた僅かな隙をついて、マリアンルージュが逃れると、「ちっ」と軽く舌打ちして、男はゼノに向き直った。
「なんだ? 誰だお前。俺は彼女に用があるんだが?」
喧嘩腰にそう言うと、男は勢い良く席を立った。鉱山夫らしい屈強な身体だ。身長だけでもゼノと頭ひとつ分の違いがあり、体格差は歴然としていた。
苛立ちを隠そうともせず、男がゼノを睨みつける。けれど、この程度のことではゼノも引き下がらなかった。
「口にしないだけで、彼女は迷惑しています。必要なら俺がお相手しますよ」
淡々とそう告げると、ゼノは男の眼をキッと睨み返した。
「ふん、良い度胸だ」
男が上着を脱ぎ捨てる。筋肉の隆起した雄々しい肉体を晒し、拳を構えた。
空いたグラスに残った氷が溶けて崩れ、乾いた音がカランと響く。
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