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第2話 ロッテ、王宮に上がる
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こんこんと扉を叩く音がして、ロッテは薄らと目を開けた。部屋の中はまだ薄暗く、ロッテの寝ぼけ眼では足元もよく見えない。
昨夜は雨戸を閉めっぱなしで寝てしまったのだろうか、とぼんやり考えながらベッドの上で身を起こすと、ロッテはふらふらと部屋の中をさまよった。
扉を叩く音を頼りに両眼をこすりながら手探りで扉を探していると、指先がふとドアノブに触れて、ひやりとした慣れない感覚にロッテはびくりと手を引っ込めた。
何かがおかしい。そう思いはしたものの、頭はまだ半分眠っていて。ロッテは大きなあくびをしながら扉を開けた。
「おはようございます、お師匠様。わたしよりはやく起きるなんて珍しいですね」
へらへらと笑いながらそう言ったものの、目を開けると同時にロッテの顔は蒼白になった。
「おはよう、ただのロッテさん」
刺々しい言葉とともに冷ややかな視線がロッテに刺さる。扉の前に立っていたのは、リーゼロッテとは対照的な白金の髪に小麦色の肌のグラマラスな女性——ディアナだった。
「ぐっすり眠れたようでよかったわ。とりあえず着替えてくれる? その格好、昨日のままでしょう?」
汚らわしい者でも見るような眼でロッテを見下ろしてそう言うと、ディアナは水を張った洗面器をロッテに手渡して、閉めた扉に腕を組んで寄りかかった。ロッテは慌てて寝室に向かい、サイドテーブルに洗面器を置いて、ベッド脇の床に転がっていた旅行鞄に駆け寄った。鞄の中身を確認して、割れ物の調薬器具が無事だったことにほっとする。いかにも田舎の娘らしい地味な服——ロッテはそれしか持っていなかった——に着替えると、顔を洗って薔薇色の髪を櫛で梳かし、大急ぎでディアナの元に駆け戻った。
あか抜けない姿のロッテを見て、ディアナは片方の眉を吊り上げた。けれども黙って踵を返し、こつこつと靴音が響く長い廊下を歩きはじめた。
すらりと背の高いディアナは、メリハリのある女性らしいシルエットが遠目で見ても美しい。ロッテは勝手にディアナは背が高いのだと思い込んでいたけれど、よくよく見ると、彼女はつま先立つような高いヒールの靴を履いていた。背筋もピンと伸びていて、歩き方には艶がある。
——意地悪を言わなければ、とっても憧れるのに。
ちょっぴり残念な気持ちになりながら、ロッテはディアナを追いかけた。
洗濯室や厨房や浴室などの生活に必要な部屋の場所をひと通り案内すると、ディアナはロッテを連れて玄関ホールへと向かった。広いホールの中央にある大階段を昇り、廊下の先を見据えたまま、彼女は淡々と告げた。
「昨夜ゲオルグと話し合ったのだけど、当分、私と彼で貴女の行動を監視させてもらうわ」
「……それは、ユリウス様もご存知なんですか?」
「ええ、勿論よ」
満足げに頷いて、ディアナはぴたりと足を止めた。
いつの間にか、ディアナとロッテは高い扉の前に立っていた。重厚な扉の枠には植物をモチーフにした模様が刻まれており、頂上にはフィオラント王家の象徴である片翼の鷹の紋章が刻まれている。
「この部屋がユリウス様の執務室よ。宮廷の案内を終えたら貴女を連れてくるように言われたの」
そう言うと、ディアナは金のドアノッカーを打ち鳴らし、執務室の扉を開いた。
***
ユリウスの執務室は天井が高く、ロッテの背丈の二倍以上ある高さの窓から陽の光があふれていた。一歩足を踏み出すたびに柔らかな絨毯に靴の底が受け止められて、ロッテは落ち着かない気分で部屋の中を見回した。
壁に建て付けられた本棚には整然と書物やファイルが並んでおり、暖炉を縁取るマントルピースには立派な調度品が飾られて、入口手前には上等な応接セットが備えられていた。部屋の奥に置かれた執務机の側には上等な黒い服を着た従者らしき男性が控えていて、背の高い椅子に腰掛けたユリウスが羽根ペンを動かしていた。
「おはよう、ロッテ。昨夜はゆっくり休めたかな」
穏やかな笑顔でそう言って、ユリウスは羽根ペンをペン立てに戻し、手元の書類を整えた。ロッテがこくりと頷いたのを確認すると、彼は机の上で手を組んでさらに話を続けた。
「ディアナから聞いていると思うけど、これからしばらくゲオルグとディアナがきみの身の回りの世話をするそうだから、わからない事があればなんでもふたりに聞いて」
にこやかに告げられたその言葉が、ロッテの胸をじくりと抉る。身の回りの世話と言えば聞こえは良いけれど、それはつまり、ゲオルグとディアナによるロッテの監視をユリウスが認めたということに他ならない。
どんなに皆に疑われても、ユリウスだけは信じてくれているものだと思っていた。ユリウスが信じて欲しいと言ったから、ロッテはユリウスを信じて、ユリウスのちからになりたいと思ったのに。
ロッテが黙って俯向くと、ユリウスはきょとんと目を瞬いて、それから困ったように微笑んだ。
「何か問題があるのなら、聞かせてもらえないかな」
宥めるように尋ねるユリウスは本当にロッテを心配しているようで、ディアナの言葉と目の前のユリウスと、どちらを信じるべきなのか、ロッテにはわからなかった。
「問題、というか……わたし、あまり歓迎されてないのかなって……」
躊躇いがちにロッテが答えると、ユリウスは少しだけ目を丸くして、うーんと唸りながら腕を組んで、それからまた困ったように微笑んだ。
「私が協力を頼んだのだから失礼のないようにと話して聞かせたんだけど、あのふたりはどうにも頑固でね。嫌な思いをさせてすまないけど、ふたりが納得するまで辛抱してくれないかな。きみが潔白である限り、彼らは専属の護衛と世話役と、なんら変わりはないからね」
「専属の護衛……」
つぶやくロッテに、ユリウスがゆったりと頷いてみせる。真っ直ぐに向けられた橄欖石の瞳から、ロッテはユリウスの真意を窺い知れた気がした。
ユリウスがロッテの監視を認めたというディアナの言葉はおそらく事実なのだろう。けれどもそれは、ロッテを疑うだけのものではなくて、ロッテの潔白を証明させるためのものでもあったのだ。
「そうですね。疑われっぱなしは嫌なので、ふたりに信用してもらえるようにきちんと役割を果たします」
「うん、そうしてもらえると私も嬉しいよ」
ロッテが笑顔で応えると、ユリウスは満足気に笑ってそう言った。ちょうどそのとき、軽いノック音が部屋の中に響いた。
わずかに軋む音とともに執務室の扉が開かれる。ロッテが咄嗟に振り向くと、厳つい姿の赤銅色の髪の男が不機嫌な顔でドアノブに手を掛けて、部屋の入り口に立っていた。
ゲオルグ・アインベルクは昨日の装いとは打って変わり、騎士の誇りとも言われる黒鉄の鎧は身に付けておらず、街で見かけた人々と変わらない至って普通の服を着ていた。けれど、鍛え抜かれた肉体が作る逆三角形に近い上半身に加え、上背があることも相まって、存在そのものが威圧的に感じられる。黒曜石の瞳に鋭い視線を向けられて、ロッテはびくりと身を強張らせた。
「ああ、ゲオルグ、ちょうど良かった」
ユリウスが手招くと、ゲオルグは軽く頭を下げて部屋に入り、静かに扉を閉めた。そのまま大股で進み出て、ユリウスに向かい合うようにロッテの隣に並び立った。
大柄だとは思っていたけれど、実際に並んでみると、彼はロッテより頭ふたつぶんは背が高かった。
「急に呼び出してすまなかった。実はきみに、ロッテが街に出るあいだの護衛を頼みたいんだ」
さりげなく告げられたユリウスの言葉に、ロッテはぎょっとして目を見開いた。あわあわと唇を震わせながら、ユリウスにどういうことかと目で訴える。
「ほら、昨日馬車のなかで、買い出しついでに街の見学をしてみないかって話をしただろう? ゲオルグはこの街に詳しいし治安の悪い地区に行くのも慣れているから、彼が一緒なら安心して好きなように街を見て回れるよ。荷物持ちだって頼めるしね」
ひと息にそう言いきると、ユリウスは椅子の背もたれに身を預け、朗らかに笑ってみせた。言葉も出せずに固まっているロッテの横で、ゲオルグが小さく溜め息をつく。ユリウスの思い付きに近い提案は、どうやら彼にとっては日常茶飯事のようだった。
「本当は私も同行したいけど、留守中に溜まっていた執務で手一杯で、しばらく解放して貰えそうにないからね」
お手上げだと言いたげなユリウスの言葉に、黒服の従者が静かに同意を示す。「承知しました」というゲオルグの低い声がロッテの耳に重々しく響いた。ロッテがおろおろしている間に話はまとまってしまったようだ。
ゲオルグはちらりとロッテを見下ろすと、
「正門前で馬車を用意して待っている。出かける準備をしてこい」
酷く不機嫌な顔でそう言った。
昨夜は雨戸を閉めっぱなしで寝てしまったのだろうか、とぼんやり考えながらベッドの上で身を起こすと、ロッテはふらふらと部屋の中をさまよった。
扉を叩く音を頼りに両眼をこすりながら手探りで扉を探していると、指先がふとドアノブに触れて、ひやりとした慣れない感覚にロッテはびくりと手を引っ込めた。
何かがおかしい。そう思いはしたものの、頭はまだ半分眠っていて。ロッテは大きなあくびをしながら扉を開けた。
「おはようございます、お師匠様。わたしよりはやく起きるなんて珍しいですね」
へらへらと笑いながらそう言ったものの、目を開けると同時にロッテの顔は蒼白になった。
「おはよう、ただのロッテさん」
刺々しい言葉とともに冷ややかな視線がロッテに刺さる。扉の前に立っていたのは、リーゼロッテとは対照的な白金の髪に小麦色の肌のグラマラスな女性——ディアナだった。
「ぐっすり眠れたようでよかったわ。とりあえず着替えてくれる? その格好、昨日のままでしょう?」
汚らわしい者でも見るような眼でロッテを見下ろしてそう言うと、ディアナは水を張った洗面器をロッテに手渡して、閉めた扉に腕を組んで寄りかかった。ロッテは慌てて寝室に向かい、サイドテーブルに洗面器を置いて、ベッド脇の床に転がっていた旅行鞄に駆け寄った。鞄の中身を確認して、割れ物の調薬器具が無事だったことにほっとする。いかにも田舎の娘らしい地味な服——ロッテはそれしか持っていなかった——に着替えると、顔を洗って薔薇色の髪を櫛で梳かし、大急ぎでディアナの元に駆け戻った。
あか抜けない姿のロッテを見て、ディアナは片方の眉を吊り上げた。けれども黙って踵を返し、こつこつと靴音が響く長い廊下を歩きはじめた。
すらりと背の高いディアナは、メリハリのある女性らしいシルエットが遠目で見ても美しい。ロッテは勝手にディアナは背が高いのだと思い込んでいたけれど、よくよく見ると、彼女はつま先立つような高いヒールの靴を履いていた。背筋もピンと伸びていて、歩き方には艶がある。
——意地悪を言わなければ、とっても憧れるのに。
ちょっぴり残念な気持ちになりながら、ロッテはディアナを追いかけた。
洗濯室や厨房や浴室などの生活に必要な部屋の場所をひと通り案内すると、ディアナはロッテを連れて玄関ホールへと向かった。広いホールの中央にある大階段を昇り、廊下の先を見据えたまま、彼女は淡々と告げた。
「昨夜ゲオルグと話し合ったのだけど、当分、私と彼で貴女の行動を監視させてもらうわ」
「……それは、ユリウス様もご存知なんですか?」
「ええ、勿論よ」
満足げに頷いて、ディアナはぴたりと足を止めた。
いつの間にか、ディアナとロッテは高い扉の前に立っていた。重厚な扉の枠には植物をモチーフにした模様が刻まれており、頂上にはフィオラント王家の象徴である片翼の鷹の紋章が刻まれている。
「この部屋がユリウス様の執務室よ。宮廷の案内を終えたら貴女を連れてくるように言われたの」
そう言うと、ディアナは金のドアノッカーを打ち鳴らし、執務室の扉を開いた。
***
ユリウスの執務室は天井が高く、ロッテの背丈の二倍以上ある高さの窓から陽の光があふれていた。一歩足を踏み出すたびに柔らかな絨毯に靴の底が受け止められて、ロッテは落ち着かない気分で部屋の中を見回した。
壁に建て付けられた本棚には整然と書物やファイルが並んでおり、暖炉を縁取るマントルピースには立派な調度品が飾られて、入口手前には上等な応接セットが備えられていた。部屋の奥に置かれた執務机の側には上等な黒い服を着た従者らしき男性が控えていて、背の高い椅子に腰掛けたユリウスが羽根ペンを動かしていた。
「おはよう、ロッテ。昨夜はゆっくり休めたかな」
穏やかな笑顔でそう言って、ユリウスは羽根ペンをペン立てに戻し、手元の書類を整えた。ロッテがこくりと頷いたのを確認すると、彼は机の上で手を組んでさらに話を続けた。
「ディアナから聞いていると思うけど、これからしばらくゲオルグとディアナがきみの身の回りの世話をするそうだから、わからない事があればなんでもふたりに聞いて」
にこやかに告げられたその言葉が、ロッテの胸をじくりと抉る。身の回りの世話と言えば聞こえは良いけれど、それはつまり、ゲオルグとディアナによるロッテの監視をユリウスが認めたということに他ならない。
どんなに皆に疑われても、ユリウスだけは信じてくれているものだと思っていた。ユリウスが信じて欲しいと言ったから、ロッテはユリウスを信じて、ユリウスのちからになりたいと思ったのに。
ロッテが黙って俯向くと、ユリウスはきょとんと目を瞬いて、それから困ったように微笑んだ。
「何か問題があるのなら、聞かせてもらえないかな」
宥めるように尋ねるユリウスは本当にロッテを心配しているようで、ディアナの言葉と目の前のユリウスと、どちらを信じるべきなのか、ロッテにはわからなかった。
「問題、というか……わたし、あまり歓迎されてないのかなって……」
躊躇いがちにロッテが答えると、ユリウスは少しだけ目を丸くして、うーんと唸りながら腕を組んで、それからまた困ったように微笑んだ。
「私が協力を頼んだのだから失礼のないようにと話して聞かせたんだけど、あのふたりはどうにも頑固でね。嫌な思いをさせてすまないけど、ふたりが納得するまで辛抱してくれないかな。きみが潔白である限り、彼らは専属の護衛と世話役と、なんら変わりはないからね」
「専属の護衛……」
つぶやくロッテに、ユリウスがゆったりと頷いてみせる。真っ直ぐに向けられた橄欖石の瞳から、ロッテはユリウスの真意を窺い知れた気がした。
ユリウスがロッテの監視を認めたというディアナの言葉はおそらく事実なのだろう。けれどもそれは、ロッテを疑うだけのものではなくて、ロッテの潔白を証明させるためのものでもあったのだ。
「そうですね。疑われっぱなしは嫌なので、ふたりに信用してもらえるようにきちんと役割を果たします」
「うん、そうしてもらえると私も嬉しいよ」
ロッテが笑顔で応えると、ユリウスは満足気に笑ってそう言った。ちょうどそのとき、軽いノック音が部屋の中に響いた。
わずかに軋む音とともに執務室の扉が開かれる。ロッテが咄嗟に振り向くと、厳つい姿の赤銅色の髪の男が不機嫌な顔でドアノブに手を掛けて、部屋の入り口に立っていた。
ゲオルグ・アインベルクは昨日の装いとは打って変わり、騎士の誇りとも言われる黒鉄の鎧は身に付けておらず、街で見かけた人々と変わらない至って普通の服を着ていた。けれど、鍛え抜かれた肉体が作る逆三角形に近い上半身に加え、上背があることも相まって、存在そのものが威圧的に感じられる。黒曜石の瞳に鋭い視線を向けられて、ロッテはびくりと身を強張らせた。
「ああ、ゲオルグ、ちょうど良かった」
ユリウスが手招くと、ゲオルグは軽く頭を下げて部屋に入り、静かに扉を閉めた。そのまま大股で進み出て、ユリウスに向かい合うようにロッテの隣に並び立った。
大柄だとは思っていたけれど、実際に並んでみると、彼はロッテより頭ふたつぶんは背が高かった。
「急に呼び出してすまなかった。実はきみに、ロッテが街に出るあいだの護衛を頼みたいんだ」
さりげなく告げられたユリウスの言葉に、ロッテはぎょっとして目を見開いた。あわあわと唇を震わせながら、ユリウスにどういうことかと目で訴える。
「ほら、昨日馬車のなかで、買い出しついでに街の見学をしてみないかって話をしただろう? ゲオルグはこの街に詳しいし治安の悪い地区に行くのも慣れているから、彼が一緒なら安心して好きなように街を見て回れるよ。荷物持ちだって頼めるしね」
ひと息にそう言いきると、ユリウスは椅子の背もたれに身を預け、朗らかに笑ってみせた。言葉も出せずに固まっているロッテの横で、ゲオルグが小さく溜め息をつく。ユリウスの思い付きに近い提案は、どうやら彼にとっては日常茶飯事のようだった。
「本当は私も同行したいけど、留守中に溜まっていた執務で手一杯で、しばらく解放して貰えそうにないからね」
お手上げだと言いたげなユリウスの言葉に、黒服の従者が静かに同意を示す。「承知しました」というゲオルグの低い声がロッテの耳に重々しく響いた。ロッテがおろおろしている間に話はまとまってしまったようだ。
ゲオルグはちらりとロッテを見下ろすと、
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