魔女見習いのロッテ

柴咲もも

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第4話 頼もしい味方

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 ロッテが王宮に上がってちょうどひと月が過ぎた頃のこと。騎士団から依頼された傷薬を作り終え、ロッテが昼食を取っていると、つかつかと靴音を響かせてディアナが部屋にやってきた。
 豊満な胸を抱えるように腕を組んだディアナは、つんと澄ました眼でロッテを見下ろして、二本の指でくるくると弄んでいたカードをロッテに向かって差し出した。
 片翼の鷹の紋章が描かれた真紅のカード。その裏には、柔らかな筆跡で整然と文字が綴られていた。
『親愛なるロッテ。宮殿の南西にある庭園の東屋ガゼボに、ひとりで来てほしい』
 差出人は言われなくてもすぐにわかった。王家の紋章が刻まれたカードを使うことができて、このフィオラントの王宮でロッテのことを名前で呼ぶ人物となれば、ユリウスの他にありえないからだ。
 一言礼を言ってディアナからカードを受け取ると、ロッテはすぐさま寝室に向かい、薔薇色の髪を少しおしゃれに編み直した。余所行きの服どころか髪を飾るアクセサリーひとつないのがちょっぴり残念だけれど。鏡に向かってにっこりと笑顔を作り、ロッテは足早に庭園へと向かった。
 
 緑の樹々に造られた迷路では、愛らしい小鳥のさえずりがそこかしこに響いていた。木の葉の隙間から木漏れ日のあふれる道を、ちょっぴり緊張しながら奥へ奥へと進んでいく。やがて背の高い植え込みの壁が途切れると、少し拓けた緑の庭に、鳥かごに似た真っ白な建物が佇んでいた。カードに書かれていた東屋とは、おそらくこの建物のことだろう。
 青々とした芝生に敷かれた白い小道をロッテが歩いていくと、東屋からくすくすと笑い声が聞こえてきた。ユリウスのものではない。もっと可愛らしい女性の声だ。聞き覚えのないその声に、胸がちくりと痛んだ気がして。ロッテはおそるおそる、東屋の中を覗き見た。
 白い石柱に囲われた東屋の中央には真っ白な丸テーブルが置かれていて、円状に並び立つ柱に沿うようにベンチが備え付けられており、ユリウスともうひとり、ロッテと同じ年頃の少女が座っていた。淡い桜色のドレスで身を包んだその少女は、瑠璃色の瞳にロッテを映すと、ほんの少し小首を傾げて柔らかく微笑んだ。ゆるやかに波打つ蜂蜜色の長い髪がふわりと揺れて、髪に編み込まれた白い小花とビジューが木漏れ日を受けてきらきらときらめいて。
 ——まるで天使みたい。
 ロッテの視線はすぐさま少女に釘付けになった。隣に掛けるユリウスは相変わらず見目麗しく、少女とふたりで並んでいると、まるで礼拝堂に飾られた天使の肖像画のように神秘的だった。
 ロッテが東屋の前で棒立ちになっていると、少女よりも少し遅れてロッテに気が付いたユリウスが、穏やかな微笑んで軽く手を挙げてみせた。
「久しぶり。なかなか時間を取れなくて、随分迷惑をかけたね」
 久しぶりに耳にするユリウスの優しい声で、ロッテはようやく我に返り、ふるふると首を振った。ユリウスは颯爽と席を立つと、ロッテを東屋に招き入れ、べンチに掛けるように促した。
「宮廷の医師達は情報を外部に洩らさないから、私の口添えなしでは有用な情報も得られなくて苦労しただろう? すまなかったね」
 そう言ってロッテをねぎらうと、ユリウスはロッテと向かい合う席に——あの美しい少女の隣に腰を下ろした。

 涼しげな風が東屋のなかをふわりと吹き抜けていく。ロッテが小さく縮こまっていると、ほんの少しの沈黙のあと、ユリウスの澄んだ声が東屋に響いた。
「紹介するよ。彼女はシャルロッテ、私の婚約者だ」
 隣に座る少女をロッテに紹介すると、ユリウスは続けて少女にロッテを紹介した。
「ファナの森のロッテだ。リーゼロッテ様の代わりに協力してくれる」
 ユリウスの言葉に促されて、ロッテは慌てて頭を下げた。シャルロッテと呼ばれた少女はわずかに腰を浮かせると、ロッテの前に手を差し出して、にっこりと華やかな笑みを咲かせてみせた。
「あなたもロッテという名前なのね。嬉しいわ。わたしもそう呼ばれているの。仲良くしてね」
 貴族の令嬢らしい薄いレースの手袋に包まれた手のひらを、ロッテはすこし躊躇いがちに握り締めた。
「ロッ——シャルロッテは医学を学んでいてね。王都の医学院でも一目置かれていて、今は西の外れの療養施設で患者を診ながら例の病の研究をしているんだ。街でも患者が急増していて、なかなか多忙で時間が取れなくて、紹介するのが遅れてしまった」
「殿下にリーゼロッテ様を招聘しょうへいして欲しいと頼んだのはわたしなの。森の魔女リーゼロッテは薬に詳しいと人伝に聞いて、協力していただきたくて」
 ユリウスに続いて手短に事情を説明すると、シャルロッテは物憂げに揺れる瑠璃色の瞳でまっすぐにロッテの瞳を覗き込んだ。
「協力……していただける?」
「ええ、もちろんです」
 ロッテがこくりと頷くと、シャルロッテは手のひらを口元で合わせて。
「よかった! 断られたらどうしようって、とても不安でたまらなかったの。本当に嬉しいわ。ありがとう」
 ほっと息をついてロッテに礼を言って、白いベンチに腰を落ち着けた。はにかむように微笑むシャルロッテを隣でみつめるユリウスの表情にも、自然と優しい笑みが浮かぶ。仲睦まじいふたりの姿を、ロッテは複雑な思いで見守った。


***


 黒服の従者が迎えに訪れてユリウスが席を外したあとも、ロッテはしばらくのあいだシャルロッテと話をした。宮殿に控えていたシャルロッテの侍女が紅茶と焼き菓子を運んできてくれたので、ロッテはまるでお茶会にでも招待されたような気分だった。
 ロッテの協力を得られたことがよほど嬉しかったのか、シャルロッテは魔女について、薬草学について、それからロッテ自身のことについて尋ねたり、ユリウスやシャルロッテ自身のことから疫病に関することまで、たくさんのことを話して聞かせてくれた。ロッテの説明がどんなに拙くても、シャルロッテはとても真剣に話を聞いてくれた。シャルロッテの医学の話をロッテがなかなか飲み込めなくても、嫌な顔ひとつせずに丁寧に説明をしてくれた。
 シャルロッテはとてもロッテに好意的で、ふたりはその日のうちにすっかり仲良くなった。近いうちにこれまでの研究結果をまとめてくると約束して、その日の夕刻、シャルロッテは王都の外れにあるという研究室へと帰ったのだった。

 シャルロッテの見送りを終えたあと、ロッテは心踊る気分で自室に戻った。寝室の柔らかなベッドに身を投げて、シャルロッテのことを考えた。
 とても素敵な人だった。年の頃はきっとロッテとそう変わらないのに、話し方にも立ち居振る舞いにも品があって。お人形のように可愛らしくて、まるで物語に出てくるお姫様みたいだった。街でゲオルグが言っていたとおり、ロッテのような田舎娘では逆立ちしても比較にならない、素晴らしいひとだった。
 いつのまにか、ロッテの目には大粒の涙が浮かんでいた。すっかり自信を消失して、ベッドにうつ伏せになって、枕に顔を押し付けた。薄暗い部屋のなかに、ロッテのすすり泣く声がくすんくすんと微かに響いた。
 そうして泣き疲れたロッテがうとうととしはじめたころだった。扉を軽く叩く音が聞こえた気がして、ロッテはのそりと身を起こした。
 くしゃくしゃに乱れた薔薇色の髪を手櫛でときながら寝室をあとにして、研究室の扉を開くと、目の前に大きな影が立ち塞がっていた。ロッテが目を丸くして見上げると、騎士装束に身を包んだゲオルグが、すこし緊張した面持ちでロッテを見下ろしていた。
「こんな時間にすま」
 ロッテは慌てて扉を閉めた。けれど、部屋の境目に素早く軍靴の先を捩じ込まれてしまい、ほんの少し扉が開いた状態になってしまった。
 ゲオルグの軍靴は頑丈そうではあるけれど、人の足を扉で挟んだままというのも流石に気が引けてしまって、ロッテは渋々扉を開き、改めてゲオルグと向かい合った。
「何かご用ですか」
「中に入っても……?」
 ロッテの顔色を窺うように、ゲオルグが声を潜めて言った。ロッテはちらりと部屋を振り返り、窓の外を確認した。部屋の中は薄暗く、窓の外では朱い夕陽が樹々の向こうに沈もうとしていた。
 もうすぐ人の出歩かない時間になる。あんなことがあった後で、このような時間に異性を——特にゲオルグを部屋に入れるのは気が引けてしまう。ゲオルグのあの行動が薬のせいだったとしても、いざとなれば小柄で非力なロッテでは屈強なゲオルグには到底敵わない——その事実を身をもって思い知ってしまったのだから。
「ここじゃダメなんですか?」
 そわそわと落ち着かない気分でロッテが尋ねると、ゲオルグは左右の廊下を確認して、それから一歩退いて、煮え切らない態度で口を開いた。
「先日はすまなかった。謝って済むことではないと承知の上で謝らせてくれ」

 やはりというべきか。
 ゲオルグが監視以外の目的でロッテの部屋を訪ねてくる理由なんて、それしかないとは思っていた。けれど、それでもロッテはあの話をこれ以上蒸し返してほしくなかった。
「もういいって言ったじゃないですか。あの日のことは思い出したくないんです。忘れさせてください」
 抱えた腕をさすりながら、ふるりと身体が震えてしまう。ロッテが顔を背けて俯くと、ゲオルグは上着のポケットに手を突っ込んで。
「すまん。詫びと言ってはなんだが……」
 そう言って、躊躇いがちに濃紺色の小箱を差し出した。
「なんですか、これ……」
 手渡された小箱の蓋を、ロッテはおそるおそる開けてみた。柔らかなクッション材が敷かれた箱の中に入っていたのは、初めて街へ出かけた帰り道、小物屋の店先でみつけた、あの真っ白な花の髪飾りだった。
 なにがなんだかわからなくて、ロッテは咄嗟にゲオルグを見上げた。
「お前、髪を結っていただろう。殿下の——好きな男の前ではお洒落くらいしたい年頃だろうし、その……気に入るかどうか、正直自信はないが……」
 それだけ言って、ゲオルグは落ち着かない様子で視線を彷徨わせた。いつも無愛想で素っ気ない彼の予想外の行動に、ロッテはただただ目を丸くするばかりだ。
 どのくらいのあいだそうしていたのかわからないけれど。ゲオルグは不意に口を開くと、「用件はそれだけだ」と言い捨てて、くるりとロッテに背を向けた。
 ゲオルグの背中が颯爽と遠ざかる——はずだった。はっとして、ロッテは咄嗟にゲオルグの上着の裾を引っ張った。
「待ってください」
 有無を言わさずそう告げて、長い髪をゆるやかに手早く編んだ。先ほどの髪飾りを飾れば、薔薇色の髪に可愛らしい白い花弁が花開く。
「どうですか? 似合います?」
 ロッテが首を傾けて見せると、ゲオルグはちょっぴり目をまるくして、強張っていた口元を綻ばせた。
「ああ、よく似合っている」
 ロッテは嬉しくなって、濃紺色の小箱をきゅうっと胸に抱きしめた。

 贈り物を貰ったのは初めてではなかった。リーゼロッテは使わなくなった学術書や調薬の道具をいつもロッテにくれたし、どの贈り物もロッテにとっては嬉しいものだった。けれど、それでもやっぱりロッテは女の子だから、物語に出てくるようなお姫様にも憧れたし、可愛らしい服やアクセサリーにだって興味はあった。だから、ロッテを女の子だからと気に掛けてくれたゲオルグの言葉が、純粋に嬉しくて。
「ありがとうございます。わたし、こんな女の子みたいな贈り物を貰ったの、初めてです」
 素直な気持ちを口にして、くるりと部屋を振り返って、それからロッテはもう一度、ゲオルグの顔を見上げて言った。
「せっかくだから、お茶でも飲んでいきませんか?」


***


 金色の蜜をカップに注ぎ、簡易コンロで沸かしたお湯で割ると、部屋中に優しい香りが広がった。ロッテが硝子のティーカップを手渡すと、ゲオルグは穏やかに口元を綻ばせた。
「ありがたい。お前が淹れるハーブティーには不思議と疲れが癒されるからな」
 そう言ってカップの端に口を付け、ハーブティーをひとくち啜る。ゲオルグの向かいの席に、ロッテはちょこんと腰掛けた。
「今日、シャルロッテ様にお会いしました」
 ロッテがぽつりと呟くと、ゲオルグは微かに眉を動かして、顔を上げてロッテを見た。
「ゲオルグさんが言っていたとおりの方でした」
「俺が……?」
「わたしみたいな田舎娘じゃ比較にならない、とっても素敵なひとでした」
「それは……」
 ゲオルグが何か言い掛けて、困ったように視線を逸らす。ロッテが小首を傾げると、彼は小さく息を吐いて、もう一度ロッテの顔を見て、それから深々と頭を下げた。
「あのときはどうかしていた。殿下のように余所者を信用しすぎてはならないと気を張るあまり、礼に欠ける態度を取ってしまった。不快な思いをさせてすまなかった」
「いいんです。実際にシャルロッテ様に会って、身の程を知りましたから」
 淡い桜色のドレスで着飾ってロッテに微笑みかける天使のようなシャルロッテの姿を、今でもはっきりと思い出せる。知性も品性もロッテなんかでは遠く及ばない、ユリウスの妃に相応しい素敵なひとだった。
「わたしなんかじゃ相手にならない……」
 弱々しい本音が口をつく。ロッテが俯いてティーカップに視線を落とすと、ゲオルグは両腕を組み、訝しむように首を傾げた。
「お前くらいの容姿なら、学校にでも通えば、同じ年頃の男に告白の一度や二度くらいされるだろう」
「それって褒めてるんですか?」
「卑屈になる必要はない、と言っているだけだ」
 素っ気なくそう言って、ゲオルグは硝子のカップに口を付けた。
 どうやら彼なりに気を遣っているつもりらしい。わざとらしい澄ました態度が、ちょっぴり胸にくすぐったい。
「励ましてくれたんですよね」
「別に……そう取ってくれて構わない」
「ありがとうございます。ちょっと元気出ました」
 ロッテが軽く肩を竦めて笑ってみせると、ゲオルグは目をまるくして、それからまた微かに口元を綻ばせた。

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