令和日本では五十代、異世界では十代、この二つの人生を生きていきます。

越路遼介

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第八話 流浪の治癒師レッドクロス!

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ギルドで報酬を得て、定宿『きのこ亭』に帰った。夕食も終えて部屋のベッドで横になり
『子供を亡くしたか、もしくは死が避けられない子供を持つ母親の顔な…』
「ああ、数多の現場、そして阪神淡路大震災、東日本大震災でも見てきたよ」
『よくそんな過酷な仕事を三十年以上も出来たものだ』
「ありがとう、シゲさん。ちょっと気になるから『遠視』で見てみるよ」

本人は自覚していないかもしれないが、たとえ魔力と闘気を持たない人でも、それぞれ小なりであれ気配というものがある。ましてエレナさんは一級の『鑑定』持ちで魔力がある。居所を探るのは難しくない。俺はエレナさんの『魔力』を検索して『遠視』を使い、悪いと思ったけれど彼女の自宅内を見た。今の俺と同じくらいの歳の男の子が病で伏せている。同時に鑑定し
「この世界特有の病なのかもしれないが…こりゃ令和日本でも難病指定だろうな」
『だが闘気の治癒なら治せてしまうだろう』
「出来るな。しかし万病を治せる者なんていたら大騒ぎになる。やはり変身スーツを用意していて正解だった。『流浪の治癒師レッドクロス』初出場だ!『着装』!」

全身が光に包まれて、俺は一瞬でレッドクロスに変身。胸には赤十字、ベルトのバックルも赤十字。フルフェイスのヘルメット、その額部分にも赤十字。上下純白の作業服、マントとブーツも白だ。
着装スキルを使うのは、これが初めてだったけれど一瞬で変身できたことで俺のテンションはドッカンドッカン上がった。男はいくつになっても子供なんだな。
「シゲさん!某宇宙刑事は変身完了まで0.5秒と言っていたけれど、俺の方が早いよな!たぶん0.2秒くらいじゃね?我ながらすごいわ!超カッケェ!」
『…盛り上がっているところ悪いが、某宇宙刑事が変身に要する時間は0.05秒じゃ』
シゲさんのため息交じりのコメントは耳に入らなかった。
「それじゃ行くぜ、シゲさん、レッドクロス初陣だ」
『いや、初診療じゃろ』



【王都冒険者ギルド職員エレナ視点】
私らしくもない…。たとえ律師とはいえ、あんな坊やに私的なことを愚痴ってしまうなんて。
息子と同じ年の…トシに。
守護神ハイゼル様は不公平だ。私の息子アレンは五歳の時に難病を発して以来ベッドから出られたことはない。夫のカルツはアレンにいい治療を受けさせようと働き続け過労で死んだ。高いお薬やどんなに高価なポーション、高位神官の治癒魔法でも息子の病気は治せなかった。
ハイゼル様は私たち親子をとことん嫌っているようだ。残酷だ。
なんで、こうも違うの?トシはあんなに体が頑健で、しかもあの若さで律師。
ドブさらいの仕事の達成度☆五つ、冒険者としての才能もある。

「お母さん…。おかえり…」
そろそろ最期が近いかもしれない。やせ細った体、精気の欠片もない顔で私に微笑んでくれる息子。今だって全身がひどく痛むだろうに優しい子。
夫が死んで泣いていると『僕のせいだ。ごめんなさい』と言ったアレン。母親失格だ。

今日も仕事を終えて帰宅したあとは、ずっとアレンに寄り添う。
トシの話をしてあげた。幽谷で祖父母に武術と魔法を習い、王都にやってきた不思議な少年。同じ年ということでアレンは私が話すトシに感情移入したのか、聴いていてとても楽しそうだった。
私は帰宅途中、トシがやったドブさらいの成果をこの目で見た。町の誰もが近づきたくないほど汚れきっていた溜め池を明日には町中の子供たちが水浴びにくるのではないかと思うくらい美しくなっていた。それをアレンに伝えると目を輝かせて『すごい、すごい』と言っていた。額に汗をにじませながら。私はその汗を拭いてあげた。

「エレナ、もう休みな」
「ママ…」
私の母メル、私が仕事中にアレンの世話を焼いてくれる。こんな年にもなって母親に面倒をかけていると思うと情けない。
「ううん、もう少しだけアレンと一緒に…」


ひゅううううう


「あら、向こうの部屋、窓が開いて…」
と、ママがそちらの部屋に行こうとすると
「要救助者一名発見…」
ドアの向こうから声が。えっ、誰、まさか泥棒?うちは共同住宅の三階なのに、どうやってあっちの窓から。私はとっさに息子を守ろうとベッドの前に。ママが『泥棒―!』と叫んでも周りに全く響かない。

「遮音魔法…!?」
完全に私たちの部屋は孤立したことになり、私とママは青ざめた。ドアが開く。
「そして要救助者の隣で涙する者も、また要救助者である」

全身白衣、白いマント、胸元に赤い十字のマーク、真っ白の仮面に目元は黒い窓。
遮音魔法などかけられなくても、私とママは何が何やらで声が出なかった。ゆっくりと歩み、その白い何かは私とママの前に立ち名乗った。
「私は『流浪の治癒師レッドクロス』!」
何か変なポーズをしている。
「「………」」

「コホン、ご子息を診せなさい」
スタスタとアレンのベッドに。アレンも言葉が出ず怯えている。
「ちょっ、ちょっと何ですか、アンタ!」
ママが止めようとすると
「私は『流浪の治癒師レッドクロス』!」
「それはさっき聴いたよ!いちいち変なポーズすんじゃないよ!いきなり大切な孫を診せろと言われて、はい、そうですかってなるわけないだろう!」

「ふむ、あくまで予想だが、ご子息は生まれつきか、もしくは幼少のおりに発症して今に至り、これまで高額のポーションと治癒魔法を施しても治らず。違うかね?」
私とママは顔を見合い、私が答えた。
「そんなの見れば分かるでしょ!何なのアンタ、息子を怯えさせて許さないよ!」
「冒険者ギルド職員エレナよ」
「えっ?」
「そんなおばはんになるまで冒険者ギルドの窓口やっていたのに勉強不足であるな」
額に見事なまでの青筋が立ったのを自覚できた。大きなお世話だ。
「おばはんって、この…!」

「ポーション、治癒魔法、この二つ以外に病に立ち向かうエネルギーがある。知らないのか」
「そんなのあるわけ…」
「闘気だ」
「はぁ?」
闘気、国によってはオーラ、チャクラとも呼ばれている。しかしそれはあくまで剣士や格闘家が戦いの際に使うエネルギーだ。
「闘気で病を治すなんて聞いたことがない…」
「はっははは!ブルムフルト王国はとんだ闘気術後進国だな。私の国では闘気の使い道は戦闘だけにあらず。医療にも使う」
「…!医療にっ!?」
白い男の全身が黄金色の光に包まれる。そしてアレンから掛け布団を静かにはぎ取り、アレンの手を握り
「闘気『万病治癒』」
アレンに向けて闘気を放った。アレンの全身も黄金色に包まれた。そして

「…!いっ、痛くない、体も熱くない、何も苦しくない!」
信じられないことにアレンからベッドから出て、ピョンピョン跳ねているのだ。
「お母さん、お婆ちゃん!僕、治ったよ!どこも苦しくない!翼が生えたように体が軽いんだ!」
信じられない光景を目の当たりにして、私とママは立ち尽くし、やがて状況を理解したママは泣き崩れ、私はアレンを抱きしめて泣いた。こんな嬉しいことない。
ついさっきまで死相が出ていたアレンの顔。なんて美しい肌の色となっているのか。
お礼を言わなきゃ、そう思って部屋を見渡すと白い男『流浪の治癒師レッドクロス』は消えていた。隣の部屋から『救出完了二十時マル五分』という言葉が聴こえた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

俺は宿に戻った。変身を解いてベッドで横になると。
『あれほどの治癒闘気…。魔族でもそうおらぬ。よく身に着けたな』
「おそらく救命士の資格を取るさい、これでもかと医学書を読んだことと救急隊としての実働経験が反映されたんだろうな。このセイラシアの人々は人体構造のこともよくわかっていないだろう。大昔の日本のように病の快癒に巫女さんが祈祷する、そんな程度の」
『そうだな。怪我は治癒魔法で治せるが重い病の治療は神頼みが一般的だ』
「また、あそこまでの難病だと、さすがに対応した特化ポーションは作れない。闘気の『万病治癒』を使うしかなかった」
事務方が出来ないと逃げるように辞めた消防士。だけどやはり俺は消防士だと思う。
命が助かった子供の母親、その歓喜の涙を見ることが何よりの喜びであり誇りだ。


翌朝、俺は宿の食堂で朝食を食べていた。安い宿だが風呂もあり、朝食はバイキング形式でありがたい。美味いし、しばらくはここを拠点にしようと思う。
女将さんが
「聴いたよ、トシ。あの溜め池をきれいにしたのってアンタなんだってね」
「へえ、もう噂になっているんですか」
「さすが、その若さで律師になっただけはあるね。これは一市民として町をきれいにしてくれたお礼だよ」
テーブルに生野菜を置いてくれた。
「ご馳走になります」

定宿きのこ亭を出た。ギルドに行って仕事をもらわないと。
「シゲさん、今のところ俺はソロの冒険者だけれど、やはり仲間って必要だろうか」
『あまり賛成できんなぁ…。トシには色々と秘密が多いしのう。儂もついついトシを仕込むのが面白くて強くさせ過ぎてしまったから…』
「いや、感謝しているよ。五十四歳の不発男がこうして若返り違う世界で冒険できるなんて夢のようだし」
『まあ確かに、ソロだと受けられるクエストも限られるからな。遺跡には入れないし実入りのいい商人護衛も受けられないからのう』
「ああ、遺跡はいいよ。あんな辛気臭いところ、よく入れると感心するよ」
この世界にはファンタジーの定番である迷宮はほとんど存在しない。あったとしても廃坑や吉見百穴のような大昔の人が生活を営んでいたと思われるもの。国に管理されていて入ることも出来ないから魔物の巣窟になっているなんて展開もない。
しかし遺跡というのは存在する。このセイラシアは現在の守護神ハイゼル降臨から始まる『聖暦』の前に文明があったらしい。その前の文明も。それらの遺跡を探し当てて探索というのも冒険者にとって大きな実入りとなるらしいけれど、俺には興味ない。

『仲間が欲しいなら、いっそ奴隷でも買えばいいのではないか。トシの秘密を知っても口外が出来ないからの』
「奴隷か…。性奴隷もいるのか?」
『いるぞ。しかし泣く泣く抱かれる女を相手にしたいか?』
「嫌だな。それは素人童貞卒業にならないだろう」
せっかく十五歳の体に戻れて、かつ幸いに同じ黄色人種が多くいる国を最初の拠点に出来た。俺はときめくような恋愛を人生で一度も経験していない。燃えるような恋を経て、その女性と結ばれたいのだ。それを言うと
『夢見すぎじゃ』
と、シゲさんに笑われた。

「…でも、それが成就したとしたら世界なんて周れない。この国に落ち着いて治癒師を生業にして暮らすってのもありかな」
『ええんじゃないか?』
「え、いいの?なんというか俺の目を通してシゲさんを連れて魔王ゼインの死後の世界を見せるのが、このセイラシアに来た俺の役目かと思っていたから」
『それはそれで嬉しいが、トシはわが友、幸せになるのを邪魔する気はない。この数日でギルドの資料も含め、多くのことを知ることが出来たからの。無理に儂の目となって世界を周る必要もない。自由な道を選んでええんじゃよ。折を見て儂もトシの体の中から消えるつもりじゃし』
「シゲさん…」
『ほれ、もうギルドに着いたぞ』

ギルドに入り、クエストが貼られている掲示板に歩いていくと
「トシ、ちょっとおいで」
エレナさんに呼ばれた。目の前には紙の束が。
「案の定だ。先のトシのドブさらい達成度☆五つを聞いて他の街区からも依頼が来た」
「私は幽谷から出てきたばかりで城下町の形と構成をよく知りません。教えてくれたら」
「ああ、ここブルムフルト王国王都はニナ湖の北に位置し、東には同湖の支流である大河がある。城壁に囲まれ、王城は北に位置し、城の目の前は貴族街だけれど平民の立ち入りも許されている。貴族街の仕切りを越えると平民の町だ。平民の町は八街区で分けられてあり、ギルドは二番街にある。城下町で徒歩以外の行き来は駅馬車と用水路の舟が主要だ。で、二番街以外の街区すべてから、トシにドブさらいの依頼が来ている。どうする、やるか?」
「用具は全部同じですか?」
「ああ、同じだよ」
「なら、引き受けます。ポンプが無いと大変ですから」
「よし、ギルド印をクエスト依頼書に押すから待っていてくれ」
良かった。息子が元気になれば母親も元気になるってもんだ。実年齢五十四の俺からすればエレナさんは少し年の離れた妹のようなもの。助けられてよかったよ。
「期日は十日だ。頼んだよ。達成後は各街区からの報酬だけじゃなくギルドからもボーナスを出すからね」
「そりゃ、嬉しい。さっそく掛かります」
良かった。俺がレッドクロスとバレていないようだ。
まあ、声も魔法で変えているからな。
「さて、また放水訓練だ」
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