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馬鹿王子と悪役令嬢とヒロインと【前編】
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「ベルグランド公爵令嬢ロゼアンナ!私の愛するキャサリンにいじめを重ねていたこと断じて許せん!貴様との婚約を……」
この言葉を発した、ここフィオナ王国第二王子レオン・イグ・フィオナ。
しかし途中で言葉が途切れ、そして何を思ったか自分の顔面を思い切り殴った。
この場はフィオナ王国の王立学園の卒業パーティー。王子レオンは最下位に近い成績だったが王子と言う立場が幸いしたか留年もせず無事に卒業を迎えていた。ちなみにロゼアンナは首席だ。
「えっ?」
先の言葉を浴びせられた公爵令嬢ロゼアンナは婚約者の第二王子が取った行動が理解できなかった。そしてレオンの後ろにいる男爵令嬢キャサリン・メア・ベルベッドもレオンの意味不明な行動に戸惑っている。
鼻血が出たレオンは懐から取り出したハンカチで鼻を拭う。
「い、いや、すまないロゼアンナ、パーティーの熱気にチト当てられたらしい。少し頭が混乱している」
「は、はあ…」
後ろにいた男爵令嬢キャサリンは焦れて小声で
「レオン様!ロゼアンナ様に婚約破棄を告げるのでは!?」
「黙りなさい」
「……え?」
猫をかぶり可愛い女の子を演じたら、あっさり篭絡できた馬鹿王子のくせに。
何やら顔つきが変わったかのような。
「ロゼアンナ、パーティーは楽しめているかな?君の美貌だと、ダンスの相手にと求めて来る者も多いだろうが…婚約者の前であまり楽しそうに踊ってくれるなよ?結構嫉妬深いんだ私は」
「え?ええ?」
傲慢な振る舞いが目に余る馬鹿王子がいきなり良い方向に豹変している。後ろにいるキャサリンも唖然としていた。
「ロゼアンナ、彼女を知っているか?」
「いえ、初対面ですが?」
「なっ、なにを!貴女は私をさんざんいじめて!」
「だから黙っていなさい。やっぱりな…」
「殿下、何の話をしているのですか?」
ロゼアンナが訊ねる。
「いや、彼女はキャサリン、ベルベッド男爵家令嬢なのだが学園生活の中で君にいじめを受けたと私に言ってな。その確認だよ」
「いじめも何も…私はその人と会うのは今日が初めてなのですよ?」
「何を抜け抜けと!貴女は!」
「だから黙っていなさいと云うのに。コホンッ、ロゼアンナ…。彼女の実家はあまり裕福ではないうえ、お父上は重い病と聞く。治療代もかかるだろう。だから己が美貌を持って私を篭絡し、あまつさえ君を陥れて王妃の座を奪おうとした。後世、悪女や毒婦と罵られるのを覚悟のうえでな。彼女も必死だったんだ。私からも詫びる。許してやってくれ」
「でっ、殿下!何を言って!?」
何で知っている!?と、驚きの表情を見せるキャサリン、レオンにそのことを話したことはない。
「許すも何も…先ほども言った通り彼女とは初対面ですし」
「ありがとうな」
この男が私に頭を垂れるなんて…明らかにおかしいとロゼアンナは感じた。まるで中身が別人になったよう。思い切って訊ねる。
「貴方は誰ですか?」
単刀直入に聞いた。中身が別人になったとしか思えない。こればかりはキャサリンも同意見のようでレオンの返事を待つが返ってきたのは、当たり前の答えだった。
「誰も何も、君の婚約者のレオンだが?」
「「…………」」
幸い、パーティーは他の催しに注目が集まっていた。レオンはロゼアンナとキャサリンを連れて城のテラスに出た。下は薔薇園、上は月夜が美しかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「なあロゼアンナ」
「はい」
「実を言うと、君が私との婚約を嫌がっているのは知っていた。私から婚約破棄を告げさせて、そしてあわよくば国外追放の言質を私から取る。そうなれば、君は大手を振って国外に出て行けるからね」
「……!?」
図星だった。ここフィオナは海洋国家、交易で栄えている国だ。海の向こうの国の商人がやってくる。彼らから様々な話を幼いころから聞いていたロゼアンナは見知らぬ国に行ってみたい、世界をこの目で見てみたいと思っていた。
しかし王子の婚約者では叶わぬ身。まだ王子が一生添い遂げるに足る人物ならば良縁とも思えるが、とてもそんな器はない。こんな男の子供を生むなんて冗談ではないと思っていた。いくら貴族としての務めとしても限界がある。
だから王立学園では鬱陶しがられるくらい苦言を呈し、成績が最下位に近い王子を罵倒した。
結果思惑通り、王子は優しく篭絡してくる薄っぺらな女に騙され、さあ大願成就と思えば婚約破棄宣言が発せられず今に至る。
「どうして…」
「そりゃ、婚約者だからな」
「それが事実だとしても少し考えが甘いのでは?盗賊やモンスターも出るのですよ」
キャサリンの言葉に頷くレオン。
「私も正直そう思う。深窓の令嬢が一人旅なんて無謀なことだからな。しかし…」
ニコリとロゼアンナに微笑むレオン。
「そんな危険を冒してでも外に出たかったんだよな…。私の伴侶となり、私の子を生むくらいならば、いっそ国外追放されてでも、と。すまんなぁ、そこまで君を追い詰めて」
「ど、どうしたのですか殿下?」
誰だ貴様は、と心の底から思う。しかし、そう訊ねても返事は先ほどと変わらないだろう。
実を言うとロゼアンナは攻撃魔法と剣の腕も一流だ。
しかし、それを徹底して秘している。露見すれば国に自由を奪われるのは明らかなこと。
先ほどから見てきたようなことを語るレオンだが、さすがにロゼアンナのそちらの秘密は知らなかったようだ。
もしくは知っているうえで黙しているのか。
「ロゼアンナ、私は君を縛る気はない。自由に生きるといい。だから君との婚約は無かったことにする。その手続きは明日にでも行う。正式な通達は文書で出す」
「…………」
「キャサリン」
「は、はい…」
「今まで隠していたが、私は治癒魔法が使える」
「えっ!?」
「それで君のお父上を治そう」
「で、殿下!?」
治癒魔法そのものは珍しくはないが、使い手は国に仕えていることが多い。
そして治癒魔法を施してもらうのは高価だ。ちなみにロゼアンナは使えない。彼女の用いる攻撃魔法は炎である。
「それと…私は王位継承者から外れるつもりだ」
「「えっ?」」
「このままでは第一王子派と第二王子派の争いが起きる」
レオンは第二王子だが母親が正妃だったので継承権第一位は彼だ。
「兄上は優秀な方で王の器がある。その器のない私は去るべきだ。この国にいるだけで騒乱の種になる」
「では…」
「そうだロゼアンナ、君とも、そしてキャサリンとも結婚する理由がなくなるわけだ。公爵家は次代の王でなければ嫁がせる意味がないし、キャサリンも王子でなくなった私に興味は無いだろう?」
「そんなこと…!」
「いいんだ。家族と領民のためとはいえ…好きでもない男を篭絡するのは辛かったであろう」
「…………」
「婚約破棄の手続きを終え次第、キャサリンのお父上の元に向かおう。おって使いを出す。ここはこれにて」
ロゼアンナとキャサリンに軽く頭を垂れて、レオンはパーティーに戻っていった。
「どうなっているの…」
「いや、私が聞きたいですよ。ロゼアンナ様…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
一人の旅人がいた。町から国へ、村から街へと歩く自由な風来坊の男。
彼は類稀な治癒魔法を使い、病に苦しむ人々を助けてきた。
多くの女性たちとの恋物語も綴られることになる。王族や貴族、皇族でもない在野の人物として歴史上もっとも子福者であったと伝わる。彼の子孫を名乗る者は多く、この世界いくつかの町や村では我らの命を救って下された神の化身と敬われ神格化もされている。
また、彼は一流の治癒師であると同時に一騎当千の武人でもあった。その男の名はレオンと言った。
彼は若いころの話を人にしたことがない。
しかし、近年の歴史家の調査が実り、彼がかつてフィオナ王国の第二王子であったことが判明している。
宰相ベルグランド公爵の娘と結婚をするはずが、男爵令嬢の篭絡により惑わされて婚約を破棄。
激怒した父王と宰相により平民に落とされたうえキャサリン男爵令嬢もろとも国外追放されたという。
そこから王子レオンの足跡は全くと言っていいほどない。しかし追放から十数年後に彼は流浪の治癒師として世にその名が知られることになる。
王子レオンと流浪の治癒師レオンが同一人物と判明した書簡が発見される。
それはフィオナ王室がレオンの帰還を要請している書簡である。差出人はレオンの兄でフィオナ国王ルークである。
レオンは治癒師として傑出した人物だった。治癒魔法は基本外傷しか治癒できない。
しかし、彼は治癒魔法と共に卓越した薬草知識を持ち、その病に対して特化したポーションが作れた。出来上がったポーションに彼の治癒魔法も付与されていたため、彼は外傷のみならず病さえ治してしまうほどの人物だった。
国外追放をした者に帰ってきてほしいと言うほど、フィオナは疫病の大流行に苦しめられていた。
しかし、当時の通信技術の拙さに祟られた。レオンにその書簡が届くことはなく、彼は故郷の窮状を知ることが出来なかった。
結果フィオナ王国は滅亡する。彼の元婚約者ロゼアンナ、彼を篭絡したキャサリンも、この疫病により場末の酒場で死んだと言われている。
荒野となった生まれ故郷に戻ってきたレオン、フィオナ王国は元々漁師町が発展して大きくなった国。レオンはそのフィオナ発祥の地、ビオラに漁師町を興し、二人の婚約者の御霊を弔い続け、当時としては長寿の94歳で永眠した。
彼は晩年まで治癒師として現役であったと言う。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
テラスでロゼアンナたちと話し終えたあと、パーティーに戻ったレオン。
(…何が、どうなっておるんじゃ。儂はついさっきビオラで子供たちと孫たちに看取られて死んだはずじゃろ?なんで、このロゼアンナに婚約破棄宣言をしたパーティーに戻っておるんじゃ、わけが分からんわ!)
主宰の席に腰かけたレオン、背もたれに体重を預けたあと項垂れる。
(なんてことじゃ…。せっかくあの世の妻たちと先立たれた子供たちに会えると思ったのに…ロゼアンナとキャサリンに助けてやれずすまないと詫びを入れられると思っていたのに…94まで生きたんじゃ。もう十分に生きたんじゃ。普通に死なせてくれてもええじゃないか…)
天井を見上げたレオン。耳にはパーティーの喧騒と楽団が奏でる音楽、すべて懐かしい。
(思えば、あれが終わりの始まりであったのう…)
『ベルグランド公爵令嬢ロゼアンナ!私の愛するキャサリンにいじめを重ねていたこと断じて許せん!そのような者が我が妃になる資格など無い!貴様との婚約を破棄させてもらう!』
(…………)
天井を見つめたままレオンは独り言ちた。
「なんと愚かであったのか…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
さて翌日、レオンは父母に謁見して廃嫡を願い出た。驚く父母に
「このままでは第一王子派と私、第二王子派の争いが起きます。私さえいなくなれば連中も掲げる旗印が無くなり、やがて静まりましょう。英邁な兄上が国王になると彼らにとっては厄介。少しおだてるだけで意のままに操れる第二王子の方がよいと見込んだのでしょうが…」
「ふりだったと申すか?」
と、父王。
「いえ、キャサリン嬢に熱を上げたのは本当です。でも昨日にお別れしました」
「も、もしやロゼアンナ嬢に婚約破棄を告げたのでは!?」
正妃である母親がヒステリックに叫ぶ。
「はい、後継者でなければベルグランド家も私と縁を持つ必要はございませんから」
「なんてことを貴方は勝手に!」
「母上、なんとしても身内で争うのは避けなくてはなりません。確かに序列で言えば正妃の子たる私が王に就くべきでしょう。しかし私は兄上の足元にも及びません。人物的な器量、そして学問も剣も魔法も。ならばこの国の行く末のため私が身を引くことが最善と判断しました。勝手にことを進めたのはお詫びします。しかし事前に相談すれば第二王子派の連中の耳に入ることも有り得ます。そうすれば何をしてくるか分からないのです。どうかご理解を」
少しの沈黙があり、やがて父王が口を開いた。
「…許そう」
「陛下!」
「レオンの言うことは正しい。兄ルークを擁する第一王子派とレオン擁する第二王子派、王子同士は不仲ではないと云うのに、まったく困った連中だ。これが内乱となれば近隣諸国が黙ってはいまい。好機とばかり攻め込んでくるわ」
「…………」
「あい分かった。その方の身勝手な振る舞いに対する処分は望む通り廃嫡にいたすことにする。婚約破棄についての処置は我らに任せよ。お前はもう自由にするがいい」
「父上、母上、今までお育て下さりありがとうございました!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その日の午後、レオンはキャサリンと城門近くで待ち合わせをしていた。
「キャサリン嬢、こちらです」
「で、殿下?その話しようは何ですか?」
「私はもう平民ですから。はは、見て下さい。この旅人の服と革鎧!父と母が餞別にと贈ってくれたものなのですよ」
「よ、よくお似合いです」
「さて、キャサリン嬢のお父上を治療したら、そこでお別れです。屋敷に連れて行って下さい」
「ほっ、本当に父の体を…」
「まずは診てからでないと…え?」
ロゼアンナがその場に歩いてきた。
「ロゼアンナ嬢、どうされた?」
ロゼアンナもレオンの変化した話し方に驚いたが、そのまま要件を伝えた。
「当家は正式に婚約破棄を受け入れました」
「「…………」」
「家を出たいと言ったら父に勝手にしろと言われましたので…もう私は自由です」
「それは…」
「いえ、元々父母や兄たちとは不仲でした。清々しているんですよ。ふふっ」
これは本心であった。彼女が国を出たいと言う理由の一つでもあった。
ロゼアンナもまた旅人の服と革鎧を身に着けている。もう家に帰る気はないようだ。
「…そうでしたか。貴女とは縁がありませんでしたが…これからは体に気を付けて下さい。旅に出るのならなおさらです」
「あ、ありがとうございます殿下…」
「それではこれで。キャサリン嬢、ご案内を」
「分かりました。ロゼアンナ様、これにて」
「あの、私も一緒に行ってよいですか?」
「「えっ?」」
「私は治癒魔法を使えませんから…見たいのです」
「…キャサリン嬢、かまいませんか?」
レオンが取り成す。
「え?ええ…かまいませんけど…。でも父の臥所に入るのはおやめください。父の体はいま悪疾で崩れていて…見ず知らずの若い女性にそんな姿を見られたくないでしょうから…」
「…!わ、分かりました」
こうして一行はキャサリンの自宅へと歩いて行った。
この言葉を発した、ここフィオナ王国第二王子レオン・イグ・フィオナ。
しかし途中で言葉が途切れ、そして何を思ったか自分の顔面を思い切り殴った。
この場はフィオナ王国の王立学園の卒業パーティー。王子レオンは最下位に近い成績だったが王子と言う立場が幸いしたか留年もせず無事に卒業を迎えていた。ちなみにロゼアンナは首席だ。
「えっ?」
先の言葉を浴びせられた公爵令嬢ロゼアンナは婚約者の第二王子が取った行動が理解できなかった。そしてレオンの後ろにいる男爵令嬢キャサリン・メア・ベルベッドもレオンの意味不明な行動に戸惑っている。
鼻血が出たレオンは懐から取り出したハンカチで鼻を拭う。
「い、いや、すまないロゼアンナ、パーティーの熱気にチト当てられたらしい。少し頭が混乱している」
「は、はあ…」
後ろにいた男爵令嬢キャサリンは焦れて小声で
「レオン様!ロゼアンナ様に婚約破棄を告げるのでは!?」
「黙りなさい」
「……え?」
猫をかぶり可愛い女の子を演じたら、あっさり篭絡できた馬鹿王子のくせに。
何やら顔つきが変わったかのような。
「ロゼアンナ、パーティーは楽しめているかな?君の美貌だと、ダンスの相手にと求めて来る者も多いだろうが…婚約者の前であまり楽しそうに踊ってくれるなよ?結構嫉妬深いんだ私は」
「え?ええ?」
傲慢な振る舞いが目に余る馬鹿王子がいきなり良い方向に豹変している。後ろにいるキャサリンも唖然としていた。
「ロゼアンナ、彼女を知っているか?」
「いえ、初対面ですが?」
「なっ、なにを!貴女は私をさんざんいじめて!」
「だから黙っていなさい。やっぱりな…」
「殿下、何の話をしているのですか?」
ロゼアンナが訊ねる。
「いや、彼女はキャサリン、ベルベッド男爵家令嬢なのだが学園生活の中で君にいじめを受けたと私に言ってな。その確認だよ」
「いじめも何も…私はその人と会うのは今日が初めてなのですよ?」
「何を抜け抜けと!貴女は!」
「だから黙っていなさいと云うのに。コホンッ、ロゼアンナ…。彼女の実家はあまり裕福ではないうえ、お父上は重い病と聞く。治療代もかかるだろう。だから己が美貌を持って私を篭絡し、あまつさえ君を陥れて王妃の座を奪おうとした。後世、悪女や毒婦と罵られるのを覚悟のうえでな。彼女も必死だったんだ。私からも詫びる。許してやってくれ」
「でっ、殿下!何を言って!?」
何で知っている!?と、驚きの表情を見せるキャサリン、レオンにそのことを話したことはない。
「許すも何も…先ほども言った通り彼女とは初対面ですし」
「ありがとうな」
この男が私に頭を垂れるなんて…明らかにおかしいとロゼアンナは感じた。まるで中身が別人になったよう。思い切って訊ねる。
「貴方は誰ですか?」
単刀直入に聞いた。中身が別人になったとしか思えない。こればかりはキャサリンも同意見のようでレオンの返事を待つが返ってきたのは、当たり前の答えだった。
「誰も何も、君の婚約者のレオンだが?」
「「…………」」
幸い、パーティーは他の催しに注目が集まっていた。レオンはロゼアンナとキャサリンを連れて城のテラスに出た。下は薔薇園、上は月夜が美しかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「なあロゼアンナ」
「はい」
「実を言うと、君が私との婚約を嫌がっているのは知っていた。私から婚約破棄を告げさせて、そしてあわよくば国外追放の言質を私から取る。そうなれば、君は大手を振って国外に出て行けるからね」
「……!?」
図星だった。ここフィオナは海洋国家、交易で栄えている国だ。海の向こうの国の商人がやってくる。彼らから様々な話を幼いころから聞いていたロゼアンナは見知らぬ国に行ってみたい、世界をこの目で見てみたいと思っていた。
しかし王子の婚約者では叶わぬ身。まだ王子が一生添い遂げるに足る人物ならば良縁とも思えるが、とてもそんな器はない。こんな男の子供を生むなんて冗談ではないと思っていた。いくら貴族としての務めとしても限界がある。
だから王立学園では鬱陶しがられるくらい苦言を呈し、成績が最下位に近い王子を罵倒した。
結果思惑通り、王子は優しく篭絡してくる薄っぺらな女に騙され、さあ大願成就と思えば婚約破棄宣言が発せられず今に至る。
「どうして…」
「そりゃ、婚約者だからな」
「それが事実だとしても少し考えが甘いのでは?盗賊やモンスターも出るのですよ」
キャサリンの言葉に頷くレオン。
「私も正直そう思う。深窓の令嬢が一人旅なんて無謀なことだからな。しかし…」
ニコリとロゼアンナに微笑むレオン。
「そんな危険を冒してでも外に出たかったんだよな…。私の伴侶となり、私の子を生むくらいならば、いっそ国外追放されてでも、と。すまんなぁ、そこまで君を追い詰めて」
「ど、どうしたのですか殿下?」
誰だ貴様は、と心の底から思う。しかし、そう訊ねても返事は先ほどと変わらないだろう。
実を言うとロゼアンナは攻撃魔法と剣の腕も一流だ。
しかし、それを徹底して秘している。露見すれば国に自由を奪われるのは明らかなこと。
先ほどから見てきたようなことを語るレオンだが、さすがにロゼアンナのそちらの秘密は知らなかったようだ。
もしくは知っているうえで黙しているのか。
「ロゼアンナ、私は君を縛る気はない。自由に生きるといい。だから君との婚約は無かったことにする。その手続きは明日にでも行う。正式な通達は文書で出す」
「…………」
「キャサリン」
「は、はい…」
「今まで隠していたが、私は治癒魔法が使える」
「えっ!?」
「それで君のお父上を治そう」
「で、殿下!?」
治癒魔法そのものは珍しくはないが、使い手は国に仕えていることが多い。
そして治癒魔法を施してもらうのは高価だ。ちなみにロゼアンナは使えない。彼女の用いる攻撃魔法は炎である。
「それと…私は王位継承者から外れるつもりだ」
「「えっ?」」
「このままでは第一王子派と第二王子派の争いが起きる」
レオンは第二王子だが母親が正妃だったので継承権第一位は彼だ。
「兄上は優秀な方で王の器がある。その器のない私は去るべきだ。この国にいるだけで騒乱の種になる」
「では…」
「そうだロゼアンナ、君とも、そしてキャサリンとも結婚する理由がなくなるわけだ。公爵家は次代の王でなければ嫁がせる意味がないし、キャサリンも王子でなくなった私に興味は無いだろう?」
「そんなこと…!」
「いいんだ。家族と領民のためとはいえ…好きでもない男を篭絡するのは辛かったであろう」
「…………」
「婚約破棄の手続きを終え次第、キャサリンのお父上の元に向かおう。おって使いを出す。ここはこれにて」
ロゼアンナとキャサリンに軽く頭を垂れて、レオンはパーティーに戻っていった。
「どうなっているの…」
「いや、私が聞きたいですよ。ロゼアンナ様…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
一人の旅人がいた。町から国へ、村から街へと歩く自由な風来坊の男。
彼は類稀な治癒魔法を使い、病に苦しむ人々を助けてきた。
多くの女性たちとの恋物語も綴られることになる。王族や貴族、皇族でもない在野の人物として歴史上もっとも子福者であったと伝わる。彼の子孫を名乗る者は多く、この世界いくつかの町や村では我らの命を救って下された神の化身と敬われ神格化もされている。
また、彼は一流の治癒師であると同時に一騎当千の武人でもあった。その男の名はレオンと言った。
彼は若いころの話を人にしたことがない。
しかし、近年の歴史家の調査が実り、彼がかつてフィオナ王国の第二王子であったことが判明している。
宰相ベルグランド公爵の娘と結婚をするはずが、男爵令嬢の篭絡により惑わされて婚約を破棄。
激怒した父王と宰相により平民に落とされたうえキャサリン男爵令嬢もろとも国外追放されたという。
そこから王子レオンの足跡は全くと言っていいほどない。しかし追放から十数年後に彼は流浪の治癒師として世にその名が知られることになる。
王子レオンと流浪の治癒師レオンが同一人物と判明した書簡が発見される。
それはフィオナ王室がレオンの帰還を要請している書簡である。差出人はレオンの兄でフィオナ国王ルークである。
レオンは治癒師として傑出した人物だった。治癒魔法は基本外傷しか治癒できない。
しかし、彼は治癒魔法と共に卓越した薬草知識を持ち、その病に対して特化したポーションが作れた。出来上がったポーションに彼の治癒魔法も付与されていたため、彼は外傷のみならず病さえ治してしまうほどの人物だった。
国外追放をした者に帰ってきてほしいと言うほど、フィオナは疫病の大流行に苦しめられていた。
しかし、当時の通信技術の拙さに祟られた。レオンにその書簡が届くことはなく、彼は故郷の窮状を知ることが出来なかった。
結果フィオナ王国は滅亡する。彼の元婚約者ロゼアンナ、彼を篭絡したキャサリンも、この疫病により場末の酒場で死んだと言われている。
荒野となった生まれ故郷に戻ってきたレオン、フィオナ王国は元々漁師町が発展して大きくなった国。レオンはそのフィオナ発祥の地、ビオラに漁師町を興し、二人の婚約者の御霊を弔い続け、当時としては長寿の94歳で永眠した。
彼は晩年まで治癒師として現役であったと言う。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
テラスでロゼアンナたちと話し終えたあと、パーティーに戻ったレオン。
(…何が、どうなっておるんじゃ。儂はついさっきビオラで子供たちと孫たちに看取られて死んだはずじゃろ?なんで、このロゼアンナに婚約破棄宣言をしたパーティーに戻っておるんじゃ、わけが分からんわ!)
主宰の席に腰かけたレオン、背もたれに体重を預けたあと項垂れる。
(なんてことじゃ…。せっかくあの世の妻たちと先立たれた子供たちに会えると思ったのに…ロゼアンナとキャサリンに助けてやれずすまないと詫びを入れられると思っていたのに…94まで生きたんじゃ。もう十分に生きたんじゃ。普通に死なせてくれてもええじゃないか…)
天井を見上げたレオン。耳にはパーティーの喧騒と楽団が奏でる音楽、すべて懐かしい。
(思えば、あれが終わりの始まりであったのう…)
『ベルグランド公爵令嬢ロゼアンナ!私の愛するキャサリンにいじめを重ねていたこと断じて許せん!そのような者が我が妃になる資格など無い!貴様との婚約を破棄させてもらう!』
(…………)
天井を見つめたままレオンは独り言ちた。
「なんと愚かであったのか…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
さて翌日、レオンは父母に謁見して廃嫡を願い出た。驚く父母に
「このままでは第一王子派と私、第二王子派の争いが起きます。私さえいなくなれば連中も掲げる旗印が無くなり、やがて静まりましょう。英邁な兄上が国王になると彼らにとっては厄介。少しおだてるだけで意のままに操れる第二王子の方がよいと見込んだのでしょうが…」
「ふりだったと申すか?」
と、父王。
「いえ、キャサリン嬢に熱を上げたのは本当です。でも昨日にお別れしました」
「も、もしやロゼアンナ嬢に婚約破棄を告げたのでは!?」
正妃である母親がヒステリックに叫ぶ。
「はい、後継者でなければベルグランド家も私と縁を持つ必要はございませんから」
「なんてことを貴方は勝手に!」
「母上、なんとしても身内で争うのは避けなくてはなりません。確かに序列で言えば正妃の子たる私が王に就くべきでしょう。しかし私は兄上の足元にも及びません。人物的な器量、そして学問も剣も魔法も。ならばこの国の行く末のため私が身を引くことが最善と判断しました。勝手にことを進めたのはお詫びします。しかし事前に相談すれば第二王子派の連中の耳に入ることも有り得ます。そうすれば何をしてくるか分からないのです。どうかご理解を」
少しの沈黙があり、やがて父王が口を開いた。
「…許そう」
「陛下!」
「レオンの言うことは正しい。兄ルークを擁する第一王子派とレオン擁する第二王子派、王子同士は不仲ではないと云うのに、まったく困った連中だ。これが内乱となれば近隣諸国が黙ってはいまい。好機とばかり攻め込んでくるわ」
「…………」
「あい分かった。その方の身勝手な振る舞いに対する処分は望む通り廃嫡にいたすことにする。婚約破棄についての処置は我らに任せよ。お前はもう自由にするがいい」
「父上、母上、今までお育て下さりありがとうございました!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その日の午後、レオンはキャサリンと城門近くで待ち合わせをしていた。
「キャサリン嬢、こちらです」
「で、殿下?その話しようは何ですか?」
「私はもう平民ですから。はは、見て下さい。この旅人の服と革鎧!父と母が餞別にと贈ってくれたものなのですよ」
「よ、よくお似合いです」
「さて、キャサリン嬢のお父上を治療したら、そこでお別れです。屋敷に連れて行って下さい」
「ほっ、本当に父の体を…」
「まずは診てからでないと…え?」
ロゼアンナがその場に歩いてきた。
「ロゼアンナ嬢、どうされた?」
ロゼアンナもレオンの変化した話し方に驚いたが、そのまま要件を伝えた。
「当家は正式に婚約破棄を受け入れました」
「「…………」」
「家を出たいと言ったら父に勝手にしろと言われましたので…もう私は自由です」
「それは…」
「いえ、元々父母や兄たちとは不仲でした。清々しているんですよ。ふふっ」
これは本心であった。彼女が国を出たいと言う理由の一つでもあった。
ロゼアンナもまた旅人の服と革鎧を身に着けている。もう家に帰る気はないようだ。
「…そうでしたか。貴女とは縁がありませんでしたが…これからは体に気を付けて下さい。旅に出るのならなおさらです」
「あ、ありがとうございます殿下…」
「それではこれで。キャサリン嬢、ご案内を」
「分かりました。ロゼアンナ様、これにて」
「あの、私も一緒に行ってよいですか?」
「「えっ?」」
「私は治癒魔法を使えませんから…見たいのです」
「…キャサリン嬢、かまいませんか?」
レオンが取り成す。
「え?ええ…かまいませんけど…。でも父の臥所に入るのはおやめください。父の体はいま悪疾で崩れていて…見ず知らずの若い女性にそんな姿を見られたくないでしょうから…」
「…!わ、分かりました」
こうして一行はキャサリンの自宅へと歩いて行った。
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