25 / 38
3日前
しおりを挟む
体調が急激に悪化したのはこの頃からだった
咳が喉を吐いて出、呼吸さえもままならない
ベッドから起き上がる事も出来ず、蹲るばかりの自分の傍ら
妻は心配そうな顔ばかりしている
そんな顔を、させたい訳じゃないのに
どうして、身体を病んだのが自分だったのだろう
どうして、他の人間じゃなかったのだろう
そんな事を考えてしまう自分に、嫌悪感ばかりが先に立つ
後、2日しかないのに
歯痒さに奥歯を噛み締めながら何とか身を起こし
妻の身体を抱き寄せる
抱きしめた、つもりだった。だが力が入らずに縋りつく様な様になってしまっていた
「……今日は、本当駄目だな」
余りに惨めで情けなかった
このままでは自分は妻の重荷になるばかりなのでは、と
喉の奥に、嫌な味を感じる
何か、食べられそうですか?
何も言う事が出来ず、顔をうつむかせてしまっていた自分へ
妻は努めて普段通りに問うてくる
見せてくれて微笑みに自分は暫く間をおいた後
「……また、粥が食いたい。頼めるか?」
何とか食べれそうなソレを伝えてやれば
食べる事が出来るという事に妻は喜んでくれ、直ぐ作るからと台所へ
その背を見送り、自分はソファへと身を寛がせた
「天気、悪ィな」
薄ぼんやりと、霞んだ空
まるで自分の様だと唯々ソレを眺め見る
どれ位そうしていたのか、ふわり甘い香りが漂ってきた
今日はミルク粥にしてみました
完成した粥を盆に乗せた妻がソレを自分の膝上へ
蓮華を差し出され、受け取ると一口
柔らかなミルクの甘さに、全身の怠さが若干だが和らいだような気がした
「……美味い」
一言言って返してやれば、不意に背後から妻の腕が自分を抱いてきた
もう少し、もう少し、生きて下さい
そうすれば自分も一緒に逝くことが出来るからと
訴えてくる声が微かに涙で歪んでいたのだった……
咳が喉を吐いて出、呼吸さえもままならない
ベッドから起き上がる事も出来ず、蹲るばかりの自分の傍ら
妻は心配そうな顔ばかりしている
そんな顔を、させたい訳じゃないのに
どうして、身体を病んだのが自分だったのだろう
どうして、他の人間じゃなかったのだろう
そんな事を考えてしまう自分に、嫌悪感ばかりが先に立つ
後、2日しかないのに
歯痒さに奥歯を噛み締めながら何とか身を起こし
妻の身体を抱き寄せる
抱きしめた、つもりだった。だが力が入らずに縋りつく様な様になってしまっていた
「……今日は、本当駄目だな」
余りに惨めで情けなかった
このままでは自分は妻の重荷になるばかりなのでは、と
喉の奥に、嫌な味を感じる
何か、食べられそうですか?
何も言う事が出来ず、顔をうつむかせてしまっていた自分へ
妻は努めて普段通りに問うてくる
見せてくれて微笑みに自分は暫く間をおいた後
「……また、粥が食いたい。頼めるか?」
何とか食べれそうなソレを伝えてやれば
食べる事が出来るという事に妻は喜んでくれ、直ぐ作るからと台所へ
その背を見送り、自分はソファへと身を寛がせた
「天気、悪ィな」
薄ぼんやりと、霞んだ空
まるで自分の様だと唯々ソレを眺め見る
どれ位そうしていたのか、ふわり甘い香りが漂ってきた
今日はミルク粥にしてみました
完成した粥を盆に乗せた妻がソレを自分の膝上へ
蓮華を差し出され、受け取ると一口
柔らかなミルクの甘さに、全身の怠さが若干だが和らいだような気がした
「……美味い」
一言言って返してやれば、不意に背後から妻の腕が自分を抱いてきた
もう少し、もう少し、生きて下さい
そうすれば自分も一緒に逝くことが出来るからと
訴えてくる声が微かに涙で歪んでいたのだった……
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語
紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。
しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。
郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。
そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。
そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。
アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。
そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
偽夫婦お家騒動始末記
紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】
故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。
紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。
隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。
江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。
そして、拾った陰間、紫音の正体は。
活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる